X (エックス) 1枚目のアルバム「VANISHING VISION」。
1988年にリリースされた、本格的なX始まりの1枚。
配信では文字のみシンプルなものに変更されていますが、オリジナルは画家 西口司郎氏が作成した、1度見たら忘れない衝撃的なジャケットでした。
この過激さは当時だからこそで、超痛そう & 乳◯出てますし、現在だったらまず表に出すことは無理そう…。
とはいえジャケット、ビジュアルだけでなく、音の衝撃はもっと大きな1枚。今改めてであっても、初めて聞いたことを思い出せせてくれる内容です。
VANISHING VISION 収録曲概要
「VANISHING VISION」収録曲は以下の通り。
- DEAR LOSER
- VANISHING LOVE
- PHANTOM OF GUILT
- SADISTIC DESIRE
- GIVE ME THE PLEASURE
- I’LL KILL YOU
- ALIVE
- KURENAI
- UN-FINISHED…
X JAPANと言えば曲も歌詞もYOSHIKIが全て書くイメージですが、今作のクレジットを見ると、主体ではあってもバラけている形。
曲調にも現れていますが、改めて確認して聞くと興味深く感じます。また、最初はCDではなくLPでリリースされたことも、今となったら面白く感じる部分。
あえてレコードをリリースする、現在とは状況が異なります。
また、LP時のキャッチコピーは「五感を切り裂くXの狂気! 待望のファーストアルバム・リリース」。時代性が出ているのも、興味深く感じてしまいます。
VANISHING LOVE
インスト「DEAR LOSER」から爆発させる「VANISHING LOVE」。(2曲目)
消えていく愛への嘆き。どうすることもできない男の弱さからの思いは、音のみと歌詞を含めて聞くのでは、大きく印象が変わってくるのも特徴です。
また、開放弦のリフは、この曲と「BLUE BLOOD」で覚えたと言って過言ではないかも…。テンポは早くても難しくはないので、コピーをオススメします。
ブリッジミュートも出来るようになりますから、ギタリストは必須かも…。
I’m bored to death (Go mad)
「死ぬほど退屈している (発狂する)」。その理由は愛が消えゆいていくから。歌詞からは自ら招いた種であると感じさせるのも、男ならではの弱さです。
そらで歌えるぐらいの歌詞でも、文字として改めて見ると面白さがあります。
今も追い続けてる
作られた狂気装い
相手が理由ではなく、自分の行動からの結果と知っているから。狂気を装うというのが男ならではのことだと、今更ながら共感をしてしまいます。
勢いの激しさのある音は、自ら招いた後悔を音として表しているようです。
PHANTOM OF GUILT
ToshIが自らのコンプレックスを歌詞にした「PHANTOM OF GUILT」。(4曲目)
TAIJI 作曲で、展開に面白さがあります。ハードロックで決めをこれでもかとがっちりと決めるのは、弦楽器をがっつり弾くからこその作曲を感じさせます。
Violator 光の前にたちはだかったものは
Vicious mind 醜いつらした俺だった
自分を客観的に見て、気付くこと。ToshIのコンプレックスとは、自分に素直になれない。思っても踏み込むことができない弱さなのかもですね。
音自体に古さはありますが、少し今のアレンジを加えたら、今の曲になりそうです。楽器隊とボーカルのどちらの見せ場もある曲は、思いの他に少ないので…。
SADISTIC DESIRE
横須賀サーベルタイガー「SADISTIC EMOTION」のリメイク「SADISTIC DESIRE」。(4曲目)
所属バンドから当然のようにHIDE作で、Xと言えば思い浮かべる曲。シングル「Silent Jealousy」のカップリングにも、再度リメイクで収録されています。
タイトル通り、欲望でもサディスティックなもの。怖いというか狂気ですね。
引き裂かれる 黒いドレス
視界を染める Desire
見える視界は、全て欲望に。引き裂かれる黒いドレスをきっかけに、スイッチが入った瞬間。想像していたことと、現実がリンクする糸が切れたのでしょう。
無邪気な女を
笑いながら嬲り殺して
その行いだけでも非現実的なことであるのに、笑いながら実施する。正にサディスティックな狂気。おかしいと分かってもしてしまうのが、狂気なのでしょう。
また、「VANISHING VISION」のジャケットはこの曲を歌詞をモチーフに、メンバーがモチーフを出したとのこと。Wikiで見て、今更ながらなるほどねです。
I’LL KILL YOU
裏切ったあなたへ「I’LL KILL YOU」。(6曲目)
自主制作でリリースしたA面曲のリメイク。あなたを殺し、後から俺も逝く。初期Xだからこそのメタルらしい歌詞は、今に聞くと新鮮です。
It’s all over with me now
And I’ll kill you
「もう全てが終わった。そして、俺はあなたと殺す」。怒りでも殺すとは尋常じゃないですが、愛情を奪ったから。愛するからこその裏切りへの殺意。
I’ll kill you (You go to the grave with me)
「あなたを殺す! (一緒に俺も墓に行くから)」。全てを終わらせるため。過ごしてきた時間だけでなく、その存在もなかったことにしたいのかも…。
メタルでありカッコいい曲ですが、その思いの背景は寂しさがあります。
ALIVE
初のピアノが取り入れられた「ALIVE」。(7曲目)
Xと言ったら印象的なピアノ。含まれるのはこの曲からと知ると、興味がより強くなります。また、生きる苦しみを歌っているからこそ、なんとも寂しげです。
Dead or alive, can’t live in the past
Only one way to live
「死ぬか生きるか。過去に生きることはできないから、その道は一つ」。どんなに思っても、その時は変えられないもの。
Now I’m alive and I’m walking to town again
「今、俺は生きていて、再び歩き始めた」。どんなに今が苦しくても、生きることを選んだ自分。何があっても折れないんだという、意思なのでしょう。
ピアノもですが、生と死について1枚目から踏み込んでいるということ。改めてしっかりと聞くと、異なる発見をさせてくれます。
UN-FINISHED…
次作「BLUE BLOOD」に完全版が収録される「UN-FINISHED…」。(9曲目)
未完成の名の通り、突然途切れて終わる形。歌詞も英語ですし、子供だった自分にはよく分からないというのが、当時の印象だったと記憶しています。
No need to be hurted anymore
all vision’s going to vanish
「もう傷付く必要はないよ。全ての展望が消えていく」。改めて途切れる直前の歌詞を見ると、必然だったのかなと言う気になります。
語順はその通りではないですが、アルバムタイトルに繋がりますし…。
また、今だったらしないであろう、英語の誤記があるのも印象的。ここもあえて未完成にしたという意味があるのかも…。興味深さが消えない曲です。
あとがき
続く2枚目「BLUE BLOOD」とともに、兄が聞かせてくれたのがこのアルバムに触れた最初。確か家に来た初のCDが、この2枚だったと記憶しています。
個人で買ったのはまた別で、伊藤美紀「RISAの片想い」。バンドはBUCK-TICK「悪の華」。大分お姉さんでしたが、女性の趣味が全く変わらないという…。
タイプ的にずっと好きなゆかるん(佐々木優佳里ちゃん)なんて、正にこの系統。幻影を追い求めているわけではないですが、本質的に好きなんでしょうね。
Xに話を戻すと、ロックに目覚めるきっかけと言っていい1枚を、今も変わらずに聞いている。コピーもめっちゃしましたし、全てが三つ子の魂百までかなと。
ちょうどこのブログが1,000記事目でしたので、意味のある1枚にしてみました。普段は思いつきで書いているのに、滅多にない機会は気にするという…。
まだまだ好き勝手にバンバン書いていきますので、よろしくお願いします。
以上、『X:VANISHING VISION ~この狂気を消えゆく存在にはさせない~』でした。
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1988/4/14 release 1st Album
X:VANISHING VISION ~この狂気を消えゆく存在にはさせない~ ←今ココ
1993/8/25 release Studio Album
X JAPAN:ART OF LIFE ~人生の薔薇はいつまでも咲き続ける~
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X JAPAN:THE LAST SONG ~大きく次に進むために残す歌~
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JOE (ジョウ)
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