Tremonti (トレモンティ) 3枚目のアルバム「Dust」。
前作「Cauterize」から11カ月弱。昨今のアルバムとしての間隔とすると、かなり早いミタイミングでリリースされた1枚。これには理由があります。
ジャケットにも共通点がありますが、2枚分を同時にレコーディングしていたから。「Cauterize」にはボーナス・トラックもあったので、合計で22曲。
かつ「Dust」がアウトトラック集ではなく、完全なる3枚目のアルバム。ギタリストとしても、ソングライターとしても格の違いを見せつけてくれます。
Dust 収録曲概要
「Dust」収録曲は以下の通り。
- My Last Mistake
- The Cage
- Once Dead
- Dust
- Betray Me
- Tore My Heart Out
- Catching Fire
- Never Wrong
- Rising Storm
- Unable to See
見て分かりやすい曲名はどのアルバムでも共通のもの。聞こえてくる音に怒りはあるんですが、寂しさが残るの内容であるのが特徴なアルバム。
本職がギタリストのソロだからこそギターに注目すべき点が多いのは事実でも、思いがある分、歌詞を見ながら聞いてほしい1枚です。
「My Last Mistake
もう過ちなんかしないという意思「My Last Mistake」。(1曲目)
怒りのようにも思えますが、もうこれで関係が終わるのだからと、あなたを懐かしいんでいうようにも聞こえます。もうどうでもいい! の思いかも…。
I swear that this time I will justify
Until I flee again
「これからは正当化することを誓う。次に逃げるまで」。逃げるまでとは行っていますが、後ろに振り返ることはないからこその言葉なのでしょう。
間違いだったけれど、部分的にもうないんだと寂しそうに歌うのがいいですね。短いギター・ソロは、別れを惜しんでいるようにも聞こえます。
Once Dead
高速バッキングが特徴的な「Once Dead」。(3曲目)
歌パートでは抑えめになりますが、ウォーミングアップなしでいきなり弾いたら間違いなく手がつる曲。それでも弾きたくなるのは、ギタリストの性ですね。
I need your pain again
I know you’ll bring it
「もう1度あんたの痛みがいる。持ってきてくれることを知ってる」。マゾかよという感じですが、痛みがあるからこその生きている実感なのでしょう。
いきなり同テンポで弾くと手を痛めるので、コピーの際は注意が必要です。
Dust
アルバムタイトル曲「Dust」。(4曲目)
自分が間違っていたのかと、問う思い。決して答えが戻ってくることのない問いかけに、寂しさが増していきます。
Why did you head out?
Did you lack the love?
「なぜ出て行ったの? 愛が足りなかったから? 」 。相手は女性ではなく、バンドメイトとも捉えることもできる表現。いろいろと勘ぐっちゃいます。
Creedもですが、同時録音の「Cauterize」の時点でベーシストが変わってますし…。あなたがいなくなり、残ったものは全てほこりになったとの表現。
タイトル曲ということいろいろな思いは入っていると思いますが、男ならではの不器用だからこその結果と、寂しさを聞かせてくれます。
Catching Fire
曲名のイメージからは少し異なる世界「Catching Fire」。(7曲目)
火を付けるのは、それしか選択肢がなくなったから。怒りからの爆発ではなく、終わらせるためにというのが、聞いていて切なくなります。
Make this world
Make this world his own
「この世界を作る。自分のものにするために」。作るとは言っているけれど、燃えた後に残るのは全てがなくなった世界。続きを考えると寂しい…。
切なく感じるのは、新たに何かを作るとは感じられないからでしょうか。受け取り方によって異なるでしょうけれど、全てを終わらせるために火を付ける。
そこに救いの世界が広がるかと言われたら、別の物を想像しちゃいます。
Unable to See
最後は負けない強さを「Unable to See」。(10曲目)
希望という前が見えないことを切なく思いながら、それでも俺たちは下を向かずに顔を上げるんだの思い。静かな曲の中に、強い闘志を感じさせます。
Still we sing tonight
And it will last forever and ever
「それでも俺たちは歌う。ずっと永遠に」。よくある前に進むではなく、俺たちは歌うと表現。これはロック魂のようなものじゃないでしょうか。
やりきれない寂しさが多い中で、最後に負けない強い意思があることで、救われます。本当に何も見えなかったら、やり切れない気持ちだけになりますから…。
「Cauterize」から続いてきた表現の最後の曲が、「Unable to See」であることに意味がある。これ以上のない終わり方になっていますよ。
あとがき
「Cauterize」と同時にレコーディングされたからこそ、ジャケットが似ているだけではなく、対になる1枚。合わせて聞いた方が、間違いなく楽しめます。
「Cauterize」では怒りだったものが、「Dust」では寂しさに。意図があって曲を振り分けていると思いますが、興味深い世界が聞けるのは間違いありません。
ギタリストのソロというとギターに振り切ってしまうことも多々ありますが、Tremonti というバンドの音を表現しているので、聞いていて実に面白い!
ですからギタリストにはもちろんですが、カッコいいロックが聞きたい! という方にもTremonti はオススメします。聞き漏れちゃうのは勿体ないですよ。
以上、『Tremonti:Dust ~終わりを迎えることで先に見えたもの~』でした。
Tremonti 関連記事
2012/7/17 release 1st Album
Tremonti:All I Was ~過去の思いはここに置いていく~
2015/6/9 release 2nd Album
Tremonti:Cauterize ~全てはここで何度でも焼灼される~
2016/4/29 release 3rd Album
Tremonti:Dust ~終わりを迎えることで先に見えたもの~ ←今ココ
2018/6/8 release 4th Album
Tremonti:A Dying Machine ~朽ちていくのか、それとも…~
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