楠木ともり (くすのき ともり) 3枚目のEP「narrow」。
前作「Forced Shutdown」から5カ月半。先行シングル「タルヒ」を含む形でリリースされるのは、ジャケットから伺える”冬”をテーマにした1枚。
繰り返して聞いて慣れ親しんだ頃にはより、心に入ってくる内容になりそうです。
narrow 収録曲概要
「narrow」収録曲は以下の通り。
- narrow
- よりみち
- 熾火
- タルヒ
- narrow (Instrumental)
- よりみち (Instrumental)
- 熾火 (Instrumental)
- タルヒ (Instrumental)
インタビューで見ましたが、タイトル曲「narrow」は、1枚目のEP「ハミダシモノ」収録「ロマンロマン」の主人公目線の曲。
そこに「僕の見る世界、君の見る世界」の主人公が絡んでくるストーリー。
2つあることは3つあるということで、「タルヒ」は「Forced Shutdown」に収録「sketchbook」の絵描きの子が恩師から手紙を受け取る内容なんだとか。
これは全ての曲に関わっているからこそですが、アプローチとしてはバンドに近い形。他の声優アーティストとは一線異なるものがあります。
詞や曲が作れるのがアーティストにとってマストとは言いませんが、興味深い存在であることは間違いありません。曲に繋がりがあるなどもいいですね。
であるのに楽器自体はあまり得意でないみたいで、クリックに歌メロを乗せた曲をアレンジャーに託す形で、楽曲が出来上がっているんだとか。
頭の中では音が鳴っているんでしょうけれど、面白いなと思ってしまいます。
narrow
このままではいたくない「narrow」。(1曲目)
タイトルの「narrow」。その多くは狭いとして使われると思いますが、この曲で表現されているのは「窮屈」でしょうか。
「ロマンロマン」の主人公目線で「僕の見る世界、君の見る世界」の主人公が絡んでくるストーリーは、開放されたい思いを感じさせます。
ここじゃ星は見えないよ
目を閉じても はるか遠く
家の中やテキトーにただ見上げるだけじゃ、星はそこにはない。見える場所に移動してこそという、当たり前のことに気付けないのも窮屈さ。
その物をちゃんと知らなければ、目を閉じても想像もできなさそうです。
歌う理由を知らない僕に
何度も見せてくれた イヤホンを外す仕草
もう見なくていいように
聞くだけではなく、自ら表現してこそ面白みが増す音楽。自分から出てくるものを歌うことができた時こそ、窮屈から開放がされそうです。
と同時に、他の方の作った音がより刺激的になるのも音楽。自分でリミットをかけるのではなく、開放して行きたいんだという気持ちを感じさせます。
声優だからや、したいことを制限するのではなく、今やりたくてできる歌を表現する。彼女自身の気持ちを歌として、大きく反映された曲でありそうです。
よりみち
今日はしたい気分な「よりみち」。(2曲目)
何か目的があるわけではないけれど、そのまま家に帰るのではなくしたくなるよりみち。見慣れた景色でも、新たな発見があったりする大切な時間です。
普段の何気ないことが曲となる。音楽ならではの面白さがあります。
なんだかな 帰りたくないのかな
そういえば 買い忘れはないかな
なんとなくの感情からのよりみち。なんとなく目的を作った方がいいかなと買い忘れがないかなと考えるんですけれど、意外とないんですよね。
必須でないこともふと考えられるのも、よりみちの時だったりします。
ナイナイしよう頑張った
賛成 私の時間よ
“ナイナイ”はいわゆる赤ちゃん言葉だと思いますが、自分との会話だからこそ逆に自然に。自分はちょっとないですけれど、意外と多いかもしれません。
発言するのも返答をするどちらも自分な会話として。ふと空を見上げてみたり、しなくてもいいよりみちをしてしまうのは、何気に冬が多いかもです。
熾火
想像する気持ちが「熾火」。(3曲目)
薪や炭が炎を上げず、芯が真っ赤に燃えている状態を指す「熾火」。答えが見つからないからこその思いをタイトルに。なるほどねと感じる表現です。
どこ探しても
正解ない しょうがない? んなことない
どんなに探しても答えが見つからない。もう少しのところだと感じていても、それは出てこない。一番頭が混乱をしてしまう時かもしれません。
頭の中も、表情も真っ赤になっているのはこういう時かも…。
君は知らない 私は甘くない 君は知り得ない
私はそこにいないわ
そこに存在はするけれど、本当の自分はという感じでしょうか。できることなら、本来を私をあなたには知って欲しい。
すぐそこまできている答えが見つかればいいのにと思ってしまいます。
時間は短いですが、アドリブのギターソロ。いい味になっているのもポイントです。ライブでは全てではなくとも、毎回少し変わってくる部分になるかも…。
あとがき
前作「Forced Shutdown」の時と同様に、ライブ・アルバム「Tomori Kusunoki Story Live 「LOOM-ROOM #725 -ignore-」」をリリース。
「バニラ」を除く各楽曲の前に、朗読が含まれる形。今作の曲は含まれてはいませんが、ライブだからこその生感が溢れるものになっています。
完全ではないのですけれど、オリジナル音源に人間味が増した形。思っている以上にいい感じですので、合わせて聞いてみることをオススメします。
他の声優さんとは少し表現のアプローチが異なる彼女。これからも引き続き興味深い曲を聞かせてくれると思いますので、要注目です。
パーソナリティーもいいですし、いい感じに火が付くことを期待しています。
以上、『楠木ともり:narrow ~ここで自分自身を開放したい~』でした。
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