Theory of a Deadman (セオリー・オブ・ア・デッドマン) 6枚目のアルバム「Wake Up Call」。
前作「Savages」から3年3カ月ぶり。アルバム・タイトルからして爽やかになりましたが、曲調が今までの活動の中で一番ポップな音。
セオリー・オブ・ア・デッドマンならではの寂しさも持ち合わせつつ、音がポップであるからこそ、バンドの最初の入り口として入りやすい1枚です。
Wake Up Call 収録曲概要
「Wake Up Call」収録曲は以下の通り。
- Straight Jacket
- Rx (Medicate)
- Echoes
- Wake Up Call
- PCH
- G.O.A.T
- Loner
- Time Machine
- Glass Jaw
- Po Mouth
- Wicked Game
曲名がシンプルであること、11曲で41分というコンパクトさは今までと同様。基本として、まわりくどくせずに伝える。曲を作る際は逆に難しいかも…。
リリース周期が一貫して3年に近いのも、この変に理由がありそうですね。
音がポップである分、歌が中心となって耳に入ってくる1枚。とはいっても特に前半の曲の歌詞は重いので、単なるポップでないのも特徴になっていますよ。
Straight Jacket
連弾のピアノが印象的な「Straight Jacket」。(1曲目)
曲名が変わっていますが、描いているのは精神が病んでしまっている人たちの世界。難しいテーマを表現したオープニング。曲もですが、MVも寂しげです。
I’m freaking out, I’m panic attacking
「俺はおかしくなり、パニック発作をしている」。自分では管理ができなくなっているのは、ある意味で正常に目覚めていない状態。
自らではなく、誰かに姿勢を正されるからこそ、「Straight Jacket」なのかも…。自分は普通ではないと気付くことが、この曲の本題でありそうです。
Rx (Medicate)
薬物の問題について歌った「Rx (Medicate)」。(2曲目)
曲調はポップなのですが、歌詞はヘビーなもの。MVは日本のアーティストであったら、まず描かれないもの。でも、実際こうなんだろうなと思わせます。
Nothin’ to do today
I guess I’ll sit around and medicate (Medicate)
「今日はやることがなし。じっくりと座って薬でもやるか」。日本であれば余計に分かりえない思いだからこそ、怖さを感じる行動と感情。
その思いや行動は普通じゃないと気付かせるのが、狙いなのかも…。口笛は思わず楽しい時に吹くものだと思っていましたが、この曲ではとても悲しげです。
Echoes
心へ響く思いを描いた「Echoes」。(3曲目)
切ないことも、楽しさのどちらもが、自分を形成していく思い。サビの反響するようなメロディも含めて、興味深く感じる曲。目の付け所が面白い!
It echoes, echoes
It echoes in my mind
「響く、反響する心に響く」。考え方次第でいい方向にも、悪くにもなって心の中に浸透していく思い。物の見方の重要性を感じさせます。
これは違う、嫌だなと感じた時は、少しでも楽しくなる方法を考えて行動したいもの。反響だからか分かりやすいメロディーは、耳に絶え間なく入ってきます。
Wake Up Call
アルバム・タイトル曲「Wake Up Call」。(4曲目)
優しい思いが詰まった曲。起きて! というのは、単に眠りからだけでなく、あなたらしくという思い。1〜3曲目がなぜ、先にあるのかを示しているかのよう。
Come home, come ho-o-ome, come home, come ho-o-ome
「帰ってきて x4」。あなたへのコールは目覚めさせるのではない、特別な感情を感じさせます。睡眠ではなく、本当のあなたが帰ってきてなんでしょうね。
単曲としてでなく1〜4曲目までのブロックで聞くと、この「Wake Up Call」に込められた思いが強く伝わってくるのではないでしょうか。
PCH
略語になっているタイトル「PCH」。(5曲目)
一体なんのことだろう? と思ってしまいますが、歌詞を見ていくと、頭を置く場所だとある。ヒントがあることで、想像できる部分がでてきます。
「PCH = Platform controller Hub = プラットフォーム・コントローラー・ハブ」。パソコン中に入っているチップセットで、CPUとつながる部分。
「CPU = 頭脳」ですから、頭を置くとなると一致。実際にこの曲のPCHが何を表しているかは分かりませんが、いろいろな想像ができるのが面白い!
When the rest of the world is sleeping
We’re up all night
「他の世界が眠っている時、俺たちは一晩中起きている」。正に頭脳であり、いつでもつながっているんだよというのを表していそう…。
ポップな曲調であるのに、歌詞がひねくれているのを面白く感じちゃいます。
Loner
興味深い表現をしている「Loner」。(7曲目)
面白く感じるのは「全てを誰もが同じ方向を向く必要はあるの? 」というものだから。対抗するのではなく、いろいろな考え、個があってもいいという感じ。
同じことであっても、つまんないという人もいえれば、面白い! と思う方もいる。見え方も感じる思いも、それぞれで異なるからこそ人は面白いんです。
I’m a loner and that’s okay
「俺は孤独でもそれがいいの」。自分をなくしてしまうなら、1人の時があってもいい。常に誰かといなくても、いいという感じでしょうか。
人とのつながりは大切ですが、意に反するならつらくなるよと言っているのかも…。ポップな曲調だからこそ、受け取り方は聞く人によって変わりそうです。
Wicked Game
Chris Isaakのカバー「Wicked Game」。(11曲目)
HIM も2枚目のアルバム「Razorblade Romance」でカバー。1989年リリースの名曲ですが、セオリー・オブ・ア・デッドマンがとなると、意外な選曲。
メロディーと歌詞は同じですが、オリジナルともHIMとも異るアレンジです。
Nobody loves no one
最後の「誰のことも愛さない人はいない」。アルバムの中で表現してきたことに加えて、追加で表現をしたかった部分なのかもですね。
自分は1人でいいと思っている人も、実は違うんじゃない? という感じで…。
あとがき
ロックバンドであることは変わりませんが、音がポップなアルバム。全体的にギターの歪みも減っているからこそ、余計にそう感じるかもです。
とはいえ前半の歌詞は重いので、聞き方によって変わってきますが…。
前作「Savages」セオリー・オブ・ア・デッドマンのハードな部分がフィーチャーされていましたから、今回はポップな要素を音の主としたのかもですね。
続くアルバム「Say Nothing」。今作でポップにした反動に加えて、反響からかまた異なる世界を表現するのですから、興味深く面白いバンドです。
以上、『Theory of a Deadman:Wake Up Call ~今があなたらしく目覚める時~』でした。
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JOE (ジョウ)
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