Taylor Swift (テイラー・スウィフト) 8枚目のアルバム「folklore」。
前作「Lover」から11カ月。全く予告がなしで突如リリースされたアルバムは派手さはなく、内面を深く描いている内容。
曲数も多いことから収録時間も長く、聞いてすぐには理解が難しいですが、じわじわと入りこんでくる1枚。心に訴えかけてくるような内容です。
folklore 収録曲概要
「folklore」収録曲は以下の通り。
- the 1
- cardigan
- the last great american dynasty
- exile (featuring Bon Iver)
- my tears ricochet
- mirrorball
- seven
- august
- this is me trying
- illicit affairs
- invisible string
- mad woman
- epiphany
- betty
- peace
- hoax
- the lakes (bonus track)
デビュー時のカントリーから始まり、アルバムごとにいろいろな変化を聞かせくれたテイラー・スウィフト。今作はこれまでの7枚とも、大きく異なります。
全体としてしっとりとした内容。自分もですが1、2度聞いただけではこのアルバムの本質は理解が難しいかもしれません。決して簡単ではない1枚。
それでもボーナス・トラック「the lakes」まで、聞いているうちに自然と心に入りこんできます。不思議な感覚にとらわれる人もいるかも…。
歌詞の重要性からか、全ての曲にリリックビデオがあるというのも、特徴です。
the 1
もしもを期待させる「the 1」。(1曲目)
あなたは本当の私を見せたこともないし、きっと知らないわという寂しい思いの曲。タイトル通りですが、複数の”1″の表現が興味深く聞こえます。
If you would’ve been the one
「もしあなたが1人だったら」。誰か別の人がいることを知っているからこそ、本当の自分を見せることができなかったのかも…。
それでも、もし素直になれていたらという”もし”を感じさせます。単なる1人ではなく、オンリーワンになりたかったんだよという心のつぶやきでしょうか。
cardigan
アルバムのリードトラック「cardigan」。(2曲目)
自分をカーディガンに例えるという、面白い表現の曲。時が過ぎて時間の経過を表しているのも、歌詞を見ていて興味深く感じます。
You put me on and said I was your favorite
「あなたは私をつけて、お気に入りだと言った」。私という全ては知らなくても、好きでいてくれて嬉しいんだという思いでしょうか。
カーディガンというと、必ずしもなくてもいい上着。それでも必要としてくれる人がいるのを、自分に例えているのかもしれません。
必ずではないとしても、不要なもの(人)じゃないんだと言いたいのかも。
exile (featuring Bon Iver)
ボン・イヴェールをフィーチャリングした「exile (featuring Bon Iver)」。(4曲目)
ジャスティン・ヴァーノンの低音の歌声とのマッチングが気持ちのいい、デュエット曲。歌っている内容は寂しいので、複雑な思いもします。
「exile = 亡命」ですから…。難しいことだからこそ表現するのに1人ではなく、男性の歌声が必要だったのかもしれませんね。
I think I’ve seen this film before
And I didn’t like the ending
「この映画は見たことをある気がする。結末が好きじゃなかった」。自分の人生に例えて、変わらないことよりも「変化 = 亡命」を選ぶ感じでしょうか。
日本にいると縁がないので分かりえない部分も多いですが、決意をして行うこと。寂しいこともあるけれど、天秤にかけ上での選択なのでしょう。
今までもフィーチャリングでデュエットはありましたが、これまでとは大きく異なる感じであるのも興味深く聞けました。
august
タイトルからは一番想像のつかなかった「august」。(8曲目)
「august = 8月」と、数字を表す3曲のうちの1曲。意図して行っていると思いますが、それぞれがちゃんと関連する曲順であるのも面白い。
August sipped away like a bottle of wine
‘Cause you were never mine
「8月はボトルワインのように飲み干すの。あなたは私のものでなかったから」。飲んで忘れちゃいたい思いと、引きづらないでもありそう。
アメリカだと卒業が8月ですから、持ち越さない意味もあるかもです。
アルバムの中で一番メロディーがしっかりとした曲。特にポップなテイラー・スウィフトが好きな人は、一番好きな場合が多そうです。
invisible string
琴の音が印象的な「invisible string」。(11曲目)
特に日本人にとって聞き覚えのある音色は、気になってしまうという人も多いはず。しっとりとした曲が多いので、特徴のある音はより印象的に聞こえます。
「invisible string = 見えない文字列」は、琴の弦の多さと、見た目から想像ができない音というのも兼ねていたら面白いのに! どうなんでしょうね?
Invisible string
Tying you to me?
「見えない文字列。あなたを私に結びつけるの?」。分からない、うまくいかないこともあるけれど、それも含めて楽しんでいるように聞こえます。
琴の音色もですが、世界観が不思議で面白い曲。ライブができるようになった時に、どう表現するのか気になります。
betty
思い出を歌った「betty」。(14曲目)
日記のような歌詞が興味深い曲。”betty”は女の子の名前だと思いますが、聞く人によって思い描く人を変えても面白いかもしれません。
You know I miss you
「あなたがいなくて寂しい」。伝えるのは恥ずかしくても、必要な感情。この曲で言いたいのは、素直になろうよということじゃないでしょうか。
本当に会えなくなってからでは、気持ちは永遠に伝わらないですから…。
hoax
アルバムのラストを飾る「hoax」。(17曲目)
デラックス盤には「the lakes」がボーナス・トラックでありますが、補足というか新たな方向に行くので、この曲で終わるのが収まりがよく聞こえます。
「hoax = デマ、模造、でっち上げ 」を意味する曲名。ネット社会だからこそ、ウソのような情報の方がインパクトがあり、またたく間に広がります。
マジョリティ(大多数)が正義となり、真実は重要ではないという感じで…。本当のことでないからこそ、いわれのないことで傷付くひともいるんです。
No other sadness in the world would do
「悲しみのない世界」。本当は楽しいことをしたいのに、傷つけ合う人がいる。でも、それってよくないよね。自分だったら嫌でしょ! と言っているかのよう。
「folklore」というアルバムで表現したいことが、特にこの曲には多く詰まっている気がしました。だからといって、強制や否定する思いは含まれていません。
一人ひとりが自分で何をして、ダメなのか気付くのが重要でありそうです。
あとがき
今の状況だからこそ、生まれたアルバム。当然のようにリリース日に聞いていたのですが、この内容からすぐにはまとめられませんでした。
まとめられないというよりも、聴き込んでいない状態で行うのはちょっと違うかなという感じ。テイラー・スウィフトのアルバムの中でも特殊な1枚ですね。
現在の状況から、今までよりも外出せずに自宅で過ごす時間が増えたという方も多いはず。音楽を聞く機会もきっと増えているかと思います。
最初は何かをしながらのBGMで構わないので、繰り返して流してみることをオススメします。自然と聞いているうちに、じわじわと入り込んできますよ。
インパクトや無理くりではない、言葉に思いが詰まった1枚です。
以上、『Taylor Swift:folklore ~この思いがあなたに届けばいいのに~』でした。
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JOE (ジョウ)
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