STATIC-X (スタティック-エックス) 7枚目のアルバム「Project Regeneration, Vol. 1」。
前作「Cult of Static」から約11年4カ月。バンドの中心人物のボーカル ウェイン・スタティックが2014年に亡くなっているため、特殊な形でのリリース。
タイトルに含まれる言葉の通り「Regeneration, = 再生」でありながら、焼き増しではなく、完全なるNewアルバム。サウンドを含めて興味深い作品です。
Project Regeneration, Vol. 1 収録曲概要
「Project Regeneration, Vol. 1」収録曲は以下の通り。
- Regeneration
- Hollow (Project Regeneration)
- Worth Dyin For
- Terminator Oscillator
- All These Years
- Accelerate
- Bring You Down (Project Regeneration)
- My Destruction
- Something of My Own (Project Regeneration)
- Otsego Placebo
- Follow
- Dead Souls
ウェイン・スタティックの生前に残されていた歌のトラック。そこに音源として色付けをするだけでなく、Xer0なる新たなボーカルを入れてのレコーディング。
また音源だけでなく、ライブも行っているというのは特殊ですね。同じ亡くなってからのアルバムでも、GREY DAZEとは全く異なる趣向。
現役のバンドとして生まれ変わりながら、Xer0のビジュアルからボーカルスタイルまで、敬意をもった再生。興味深いと思わない方が無理かも…。
メンバーも含めてですが、今のSTATIC-Xの出すサウンドは、初期に近い形。デジタル・ロックで衝撃のあった原点復帰という感じです。
Regeneration
語りとSEによるオープニング「Regeneration」。(1曲目)
Project Regenerationをする上で必要な曲。これがなしで「Hollow」から始まっていたら、印象が大きく変わるのではないでしょうか。
Regeneration complete
「再生が完了しました」。言葉としてあることに、本当に始まるなという感じ。他のアルバムだったら不要かもですが、この1枚に限っては必要ですね。
Hollow (Project Regeneration)
1stシングルのリード曲「Hollow (Project Regeneration)」。(2曲目)
4枚目のアルバム「Start a War」のレコーディングセッションで生まれたという曲。形は今とは異なるでしょうけれど、これがアウトテイクとは驚き!
アルバムの顔となる曲は、今という時を待っていたのかもですね。デジタルで早口を含む正にSTATIC-Xという曲は、素直にカッコいい!
You want it, you need it
「あなたはそれがほしい。あなたはそれが必要」。あなたとは言っていますが、この思いは自分の中からかも…。繰り返してずっと続く感情。
「Hollow = 空洞」とは、永遠になくなることのない欲望の歌なのかもですね。
今だからこそという構成のMVは、ウェイン・スタティックが蘇ったかのような感じ。曲もですが、このMVはカッコいいですよ。見逃せません。
All These Years
曲名から感じる印象とは異なる「All These Years」。(5曲目)
ここにあるのは希望ではなく、変わらない現実。叫びの歌声が、寂しく感じます。単にYearsではなく「All These = 全て」だからこそ、なおさら…。
My fleeting hopes
Have disappeared
「つかの間の希望。消えてしまった」。この後に「All These Years」。寂しさを感じるなという方が無理かも。
MVも現在と過去が混在しているからこそ、寂しさを感じます。
Bring You Down (Project Regeneration)
復讐、報復の思いがこもった「Bring You Down (Project Regeneration)」。(7曲目)
女性の声での語り「It’s too late, she’s already dead = 手遅れだ。彼女はもう死んでいる」。から始まる曲。しっかりと聞こえないからこそ、逆に衝撃。
I’ve got to bring you down
「俺はあんたを倒さなければならない」。怒りがあるのに淡々と歌うからこそ、怖さも感じます。一時の気の迷いではなく、ヒットマンという感じ。
怒りが激しく表に出ないのは、守れなかった自分の弱さを表しているのかもしれませんね。ただ聞くのと、歌詞を見ながらでは、印象が大きく変わる曲です。
Follow
聞くほどに興味深くなる「Follow」。(11曲目)
ありそうでも他のバンドでは聞けない、STATIC-Xらしい曲。
ウェイン・スタティックの歌声をがっつりと残しつつですから、Xer0も参加していますが、おそらくこのアルバムで1番編集が難しかったかも…。
See ya later (later…)
Follow (follow…)
「また後で フォロー」。Followは補助する助けるではなく、従うという方が近い気がしました。ザクザクと刻みながらの、フレーズ終わりに白玉のギター。
歌詞もですが、ギターが気になるからこそ、興味を引かれるのかもしれません。
Dead Souls
アルバムのラストを飾る「Dead Souls」。(12曲目)
ウェイン・スタティックが亡くなっているからこそ、歌詞が意味深長に聞こえる曲。Project Regenerationが1枚であれば、ラストではなかったかも…。
Can you set me free?
Would you die for me?
「俺を開放してくれる? 俺のために死ねる?」。返ってくる答えを知っているからこそしたように聞こえる質問は、曲の持つイメージ以上に寂しげです。
1枚として聞く今ではなく、続く2枚目がリリースされた時こそ、本当の意味を持つ曲になりそうな気がしています。
あとがき
ウェイン・スタティックと、Xer0のボーカルが共存するアルバム。聞けば分かりますが、別々ではなく自然な形になっているのは逆に興味深い。
STATIC-Xの色はウェイン・スタティックだったからこそ、同じではないにしても、外れた形にはしていない。似せるでなく、敬意に自分は感じました。
故人の新たなる音源というと賛否両論がありますが、これでもかといじくり回してや、ないものを無理やり作り出したものとは異なります。
物理的に本人の感想は聞けませんけれど、なんじゃこりゃ! とはならないはず。
また「Project Regeneration」と付く、付かない曲がありますが、ウェイン・スタティックのボーカルのありなしは関係がありません。面白いですよね。
Xer0の素性を含めて少し謎を残すのも、逆に面白く感じました。
Vol. 1とタイトルに付いているように時期はまだ未定ですが、Vol. 2がリリースされることも決定しています。まだ再生は続くということですね。
ウェイン・スタティックの残した音が思っている以上に見つかったのが理由らしいですが、Vol. 1を聞くと続くVol. 2の内容も期待してよさそうです。
以上、『STATIC-X:Project Regeneration, Vol. 1 ~再生が完了しました~』でした。
JOE (ジョウ)
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