St. Aurora (セイント・オーロラ) 1枚目のEP「They All Remember」。
2021年「Falling (Just Another Way to Fly)」でデビューした彼らの、本格的な始まりとなる1枚。生きのよさだけでなく、バリエーションが広がりました。
ビジュアルも悪くないですし、タイミング次第で面白くなりそうなバンドです。
They All Remember 収録曲概要
「They All Remember」収録曲は以下の通り。
- Falling (Just Another Way to Fly)
- Rejects of Society
- They All Remember
- Agree to Disagree
- Is It My Time?
「Falling (Just Another Way to Fly)」は同郷のHIMを感じさせるようなサウンドでしたが、その他の曲は雰囲気は残してもバリエーションがあるサウンド。
既にHIMは解散していますから、空いた場所を目指すこともできたはず。それでもあえてそういう選択をしないのが、ロックバンドであるということでしょう。
また、一聴は粗々しいサウンドのようで、要点はしっかり抑えているのもポイント! 表現ができる幅も広いのが分かりますし、聞いていて面白く感じます。
インタビュー動画を見ても、キャラが立っているのも興味深いところです。
Rejects of Society
俺たちの意思「Rejects of Society」。(2曲目)
強がりと寂しさが同居する思い。「Rejects of Society = 社会の拒絶」は自らの選択であっても、本当にしたいことなのか? の迷いも感じさせます。
Don’t want no sympathy cause we have got it all
「俺たちは全てを手に入れているから同情はいらない」。いらないといういのは、時として本心では欲しているからこその言葉。
優しくされた! と、思うからこその思いでありそうです。
We’ve walked in the shadows all our lives
We are the ones who crawl the nights
「俺たちは影の中をずっと歩いてきた。夜を這うのは俺たちだ」。影も夜も暗いという意味では変わらない。それでも夜は輝く時もあるということでしょうか。
完全には変われなくても、変化をしたいという願望を感じさせます。
They All Remember
ずっと忘れることなく「They All Remember」。(3曲目)
時が立つとともに、忘れ去られていく。それが誰であっても…。永遠には生きれないからこそ当たり前のことですが、改めて考えると切ない現実。
EPのタイトル曲というのにも、興味を引かれます。数多く存在するバンド。St. Auroraとして、忘れられることなく名を残すという、意思表示なのかもです。
Oh, the once so dear, a face in the crowd
「かつての愛しい人、群衆の顔」。例え栄光があっても、過去の人になっていく。時が経てば、歴史上の人物でも曖昧になるように薄い存在に。
その情景を想像してみると、とても寂しく感じてしまいます。
Who are you? (Who are you?)
「あなたは誰?」。誰もが覚えていない…。寂しいですね。それでも、その切なさが聞いていてグサグサと突き刺さってきます。
込められた思いもあるでしょうけれど、聞いた耳にしっかりと残るから曲。始まりのEPのタイトル曲になるというのも、素直に納得です。
Agree to Disagree
それでいいんだ「Agree to Disagree」。(4曲目)
EPの中でも毛色の異なる曲。荒々しさのあるロックンロールは、面白みがあります。表現するテーマとしても、ピッタリだと感じてしまいます。
うまく行くこともあるけれど、人の意見なんて不一致なんてザラですから…。
No we can’t keep on lying
「嘘はつき続けられない」。利益うんちゃらではなく、自分の思いに対してなのでしょう、わがままではなく、きっと素直になるというこかなと
Agree to disagree
「同意しないことを認めるよ」。俺もあなたも考えが違うなんて、当たり前。最後の笑い声は、そっちのが面白くない? と言っているかのようです。
意見が一致しないといらっとする時もありますが、そういう目線もあるよね! と認めてしまったほうが、毎日が楽しくなるのではないでしょうか?
無理矢理感のない、ポジティブさが聞ける曲です。
Is It My Time?
分からないからこそ変えていく「Is It My Time?」。(5曲目)
6分17秒とEPの中で断トツに長い曲。前半と後半との違い、展開の多さも、分からないからこそやりたいことがあるという、テーマを表現しているのかも。
構成が面白いからこそ、曲の長さをあまり感じさせないのも興味深い所です。
Still got so many things I wanna do
「まだまだたくさんやりたいことがあるんだ」。だからこそ、「Is It My Time? = それは俺の順番?」なんて考えている暇はないのかも。
待つのではななく、もぎ取ってやるという感じなのでしょう。
And I wanna do it all with you
「俺はあんたと一緒に全てをやりたいんだ」。この思いはバンドメンバーにもであり、これから出会うファンに対してでの言葉でもありそうです。
このEPを聞いていて感じるのは、5曲のテーマはそれぞれ異なるもの。それでも少しずつ重なる、共通する部分があるのは、意図を感じさせます。
単に曲をまとめたではない内容は、戦略面としてなかなかのやり手なのかも…。
あとがき
St. AuroraはSanta Cruzに参加していた、Ero Lambergが中心となって結成。とはいえ在籍期間も短いですし、今後は元での呼ばれ方はしなさそうです。
まだ始まったばかりバンドですが、きっと継続していくでしょうし。表現しているサウンドが面白いからこそ、そう思わずにはいられません。
その前に本人も、バンドメンバーも元とか関係ないと思っていそうですが…。
ライブも思うようにできない今年デビューということで、注目度としてはまだ小さいSt. Aurora。ですが、音を聞けば面白いことをしていると思うはず。
よく1枚目は名刺代わりなんて言われますが、正にその形の内容。ロックの先物買いをしたい方は、聞いておいた方がいいのではないでしょうか?
以上、『St. Aurora:They All Remember ~そう言われる存在になるために~』でした。
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JOE (ジョウ)
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