雨宮天 (あまみや そら) 3枚目のアルバム「Paint it, BLUE」。
前作「The Only BLUE」から2年2カ月。間に過去最大の4枚のシングルを挟み、満を持してという形でリリース。
現在の状況から、逆に時間をかけて作ることができたというアルバム。その成果なのか、既存の2枚とは異なる青の濃さが聞ける1枚になっています。
Paint it, BLUE 収録曲概要
「Paint it, BLUE」収録曲は以下の通り。
- Paint it, BLUE -overture-
- Fluegel
- Defiance
- Catharsis
- Queen no’ cry
- VIPER
- 火花
- Next Dimension
- PARADOX
- Song for
- 蒼天のシンフォニア
- Regeneration
- 雨の糸
インストゥルメンタル「Paint it, BLUE -overture-」から、始まるアルバム。最初の時点で、今回は何か雰囲気が異なるぞと思わせてくれます。
シングル、カップリングで既発の5曲が核の部分にはあるのですが、変に主張をすることなく、「Paint it, BLUE」の1曲になっているのもポイント!
完成度を上げるのに一役を買っています。今までにないアダルトな雰囲気も含め、聞いていて面白いのと同時に発見の多い1枚。いいアルバムです。
Fluegel
ドイツ語で翼を意味する「Fluegel」。(2曲目)
中東の雰囲気が興味深い曲。くじけそうでも、弱さは見せない強さを感じさせます。歌入りの始まりとして、聞き手の引き込むには十分過ぎるくらいです。
旅人はただ歩く 灯りを手に抱いて
傷に苛まれて この身切り裂かれても
“祈り”が絶えぬように
負けずに強くあるための理由がある。翼とは目に見えるものではなく、心を包んでいる最後の部分なのかもしれませんね。
サビで多用するファルセットが、聞いていてとても気持ちがいいです。
Catharsis
聞いていると感情が揺さぶられる「Catharsis」。(4曲目)
アダルトな雰囲気の中で、かわいらしい歌声が光る曲。きっとこの歌い方はあえてでしょうか。歌詞も含めて対極になるので、印象が強くなっています。
四の五の言わず 不幸になれよ
きっと弱い自分の心に対しての言葉。ある意味での刺激療法なのでしょう。本当に「不幸になれよ」ではなく、そんなの嫌でしょ! の思いかなと。
歌詞も面白いですが、演奏も面白いスルメ曲です。
Queen no’ cry
アルバムのリードトラック「Queen no’ cry」。(5曲目)
横ノリの力強いロック。過去ではなく、今の天さんだから歌えるであろう、進化を感じさせてくれる曲。声優さんでもこのタイプが聞けるのは珍しいかも…。
信じる心のその美しさを
いま 魅せてあげよう
聞いていてしびれてしまう部分。素直にカッコいい! がなるギリギリで止めているのが、またいいですね。少しの違いでも、こえない方がいい部分もあります。
女性だけでなく男性にも多い、がなるのがロックと勘違いしている人に聞かせてあげたい曲。過度なフェイクが聞きづらいだけと同様ですね。
ギターリフもカッコいいので、ギタリストは間違いなく気に入りますよ。
火花
雨宮天 本人作詞作曲「火花」。(7曲目)
ジャズの要素が含まれ、なんとも歌うには難しいであろう曲。こぢんまりとしたBarで聞いてみたいなと思わせてくれます。
アレンジで変わった部分も多いと思いますが、玄人な構成の作り。表にはあまり出てこないですが、思い他に天さんは曲を書いているかもしれませんね。
酔い痴れる熱病は 醒めない
火花は本来は一瞬、または短い時間のもの。それでも醒めることはないというのに、大きな意味を感じずにはいられません。
大人ならではの恋なのか、それとも情熱なのか、興味津々です。言葉が今ではあまり使われない表現をチョイスしているのも、見ていて面白く感じました。
これには天さんが後日談として、ラジオで答えを語っています。
火花とは楽しかったバーベキューで見た、花火の歌。いたずらも隠されていて、Dメロの歌詞を縦読みすると「バー、ベ、窮」。なるほどです。面白い!
Next Dimension
「火花」とはがらっと雰囲気を変える応援歌「Next Dimension」。(8曲目)
優しくも強くバシッ! と背中を押してくれる曲。聞いていると止まっている自分が逆に嫌になり、走りだしたくなるように思いにさせてくれます。
君は君になれ
君の夢は君以外見られない僕は僕になる
僕の夢は僕以外見られない
完全にその通り。君だけではなく、僕もというのが大きなポイント! 夢を見るのは誰でもなく、自分であることを感じさせてくれます。
前に進むのは勇気のいることですが、それでも先を見た人だけに訪れる未来。親が子どもに夢を託すのは異なりますから、自らが一歩踏み出すしかないんです。
この曲で聞ける天さんの歌声は、励まされる人は多いのではないでしょうか。
蒼天のシンフォニア
アニメが始まるかのような「蒼天のシンフォニア」。(11曲目)
何かのオープニング、エンディングテーマかと思いきや、ノンタイアップ。この曲の持つ力強さは、あと付けでアニメができたとしても面白いかも…。
テーマがちゃんとあるので、素人考えだとありじゃね? と思っちゃいます。
so far away we sing for blue sky
「遥か彼方の青空を求めて歌う」。歌う理由と、諦めることはない強さ。曲名通りのシンフォニックな部分もあり、興味深く聞くことができました。
従来でも見せた得意な要素が多く含まれるからこそ、安定の曲と言えるかも…。
雨の糸
アルバムのラストを飾るバラード「雨の糸」。(12曲目)
CV(キャラクターボイス)で歌ったことはあるかもですが、本人名義で3拍子の曲はとても新鮮! 10代にはない、大人の女性の優しさが聞けます。
愛しなさい
出来るでしょう
出来るでしょう きっと
「きっと」っと付け足すのが優しい。強制でも、誰に言われるのでもなく、自分の意思で。まるで子守唄のような曲は、聞いていて気持ちが穏やかになります。
さらっと歌っていますが、歌うにはかなり難しい曲。天さんさすがです。
あとがき
シングルの時点でバリエーションの広さを見せてくれていましたが、さらに越えてきた内容。表現の幅は広がっても、とっちからかっていないのもポイント!
嫌みな形ではなく、アーティスト雨宮天が聞ける1枚。従来の声優からのファンはもちろん、新たな層に十分にアピールができる内容ではないでしょうか。
誰のせいでもないですが、この充実の内容を現時点ではライブで表現ができないのは惜しい! 少し先にある未来まで、聴き込んでおいてという感じでしょうか。
また、TrySail の3人は、ソロでの表現が三者三様で面白い! 見た目としてのビジュアル、ラジオでもキャラクターの違いが聞けますし、とても興味深いです。
天さんはもちろんですが、他2人のソロ、TrySailもライブが見たいですね。
以上、『雨宮天:Paint it, BLUE ~この青はあなたに深く浸透していく~』でした。
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