Slipknot (スリップノット) 4枚目のアルバム「All Hope Is Gone」。
前作「Vol. 3 The Subliminal Verses」から約4年3カ月ぶりとなる、2008年にリリースがされました。Slipknotの中で最もギターアルバム。
メインソングライターであったポール・グレイ 、ジョーイ・ジョーディソン在籍時の最後のアルバムでもあり、バンドの転換前の1枚ともいえます。
ギターアルバムですので、ギタリストに特にオススメな1枚です。
All Hope Is Gone 収録曲概要
「All Hope Is Gone (Deluxe)」収録曲は以下の通り
- .Execute.
- Gematria (The Killing Name)
- Sulfur
- Psychosocial
- Dead Memories
- Vendetta
- Butcher’s Hook
- Gehenna
- This Cold Black
- Wherein Lies Continue
- Snuff
- All Hope Is Gone
- Child of Burning Time
- Vermilion, Pt. 2 (Bloodstone Mix)
- ‘Til We Die
本編は12曲目のタイトル曲「All Hope Is Gone」までで、13曲目以降はDeluxe盤のみのボーナス・トラック。
このアルバムは10th Anniversary盤もリリースされていますが、本編にライブver.が収録されているもので、13,15曲目が聞けるのはDeluxe盤のみ。
ボーナストラックの2曲はアルバムを補足するような形になっていますので、聞いて損はないです。といよりも、むしろ好きな人が多いかもしれません。
14曲目「Vermilion, Pt. 2 (Bloodstone Mix)」は「Vol. 3 The Subliminal Verses」に収録されている曲で、3枚目からの伏線があった気がしますよ。
CDには収録されているのですけれど、配信では14曲目はカットされています。
現在3種類のパターンでがリリースされている「All Hope Is Gone」ですが、オススメは補足があるDeluxe盤です。
Gematria (The Killing Name)
SEから怒とうのように始まる「Gematria (The Killing Name)」。(2曲目)
攻撃性が高く、Slipknotとして聞いて安心する曲。イントロのリフ聞いただけでも、来たよ! という感じがします。
Gematriaは「 ゲマトニア = 文字転換法の1つ」で、同じ文章でも文字転換法を変更したら、違う意味を持った文章になるということができます。
その上で「America is killing name」と歌っているのは、とても興味深く感じました。ぱっと見で目に入る部分ですが、他にも隠された文章がありそうです。
冒頭で「12/08/73」とコリィ・テイラーの生年月日から始まるのも、この曲の歌詞に含まれている「Gematria 」があるのかなと気になってしまいます。
従来のSlipknotらしさもあり、歌詞もとても気になる曲です。
Sulfur
硫黄を吸うような私の人生と歌った「Sulfur」。(3曲目)
「Sulfur = 硫黄」ですけれど、硫黄というと独特な匂いがあります。大量にあると大気汚染にもなるものですから、自分は汚染されていると歌っています。
汚染されていると分かっていても、自分はこの場所から逃げることができないという、希望がありません。短いギター・ソロの痛い感じが切なさを誘います。
汚染されるというテーマはよく曲にもありますけれど、日本で硫黄というとイメージするのは温泉という方が多いと思います。発想が面白い!
ターンテーブルやパーカッションなど、Slipknotらしい曲です。
Psychosocial
マーベル・コミック社の人気シリーズの映画「パニッシャー: ウォー・ゾーン」の挿入歌の「Psychosocial」。(4曲目)
「Psychosocial = 心理社会的」名付けられた曲。希望の元のなる心を歌った、短い歌詞でありながら深い内容になっています。
ギター・ソロが特筆する形になっていて、混乱する心がうまく現れているように感じるのは、ギタリストとして聞くからでしょうか?
最後の「We could start over Just look… = やり直すことができる 見て…」というのに変化を感じますし、その先がどうなったのか気になります。
Dead Memories
死んだ思い出という曲名が特徴的な「Dead Memories」。(5曲目)
生きているので実際に死んだというのではなく、私の心がという思い出。心が死んだというのは、生とも死とも取れる内容になっています。
歌詞にあるもう二度と私たちは生まれないというのは、捨てるべき部分の心だけが死んだののか、全ての心を失ったのか分からないからです。
演奏としてはあまり難しいことはしていないのですが展開が多く、ギタリストは特に必聴な曲になっています。
This Cold Black
ツインギターらしいギター曲「This Cold Black」。(9曲目)
コリィ・テイラーはデスボイスの曲でも部分的にクリーンが入る場合がほとんどなのですが、この曲では終始デスボイスのみ。
自分へのやるせなさを歌った曲だからこそ、怒りとも嘆きどちらも合わせてデスボイスでの叫びなのかもしれません。痛いけれど、カッコいい曲。
今の状態はよくないけれど「We’ll live our lives again = また人生をやり直す」というのは、叫びの中に希望を探しているようにも聞こえました。
ギターがカッコいい曲が多いアルバムの中でも、特にオススメです。
‘Til We Die
Deluxe盤のボーナス・トラック「‘Til We Die」。(15曲目)
「’Til We Die = 死ぬまで」と名付けられた、死ぬまで決して屈しない、戦い続けるんだという意志の強い曲。
「All Hope Is Gone」のテーマに合っているのにボーナス・トラックとなったのは、曲調がおとなしいこの曲と、他との相性を考えてなのかもしれません。
アルバムタイトル曲「All Hope Is Gone」に続く世界観の曲ですので、補足という意味で、本当のボーナス・トラックという気がしました。
なくても成立するアルバムですが、特に歌詞まで深く掘り下げて世界観を聞きたい人には、聞くのをオススメする曲。しっかりと意味のありますよ。
あとがき
Slipknotの中でも群を抜いてカッコいい、ギターアルバムです。自分がギタリストということを加味しなくても、ソングライティングが素晴らしいですね。
面白いことはしていても別になくてもいいかなという曲がSlipknotのアルバムの中でありますが、このアルバムにはなくてもいい曲がありません。
バンド独自のビジュアル、カッコいい曲、面白い曲が多いSlipknotですけれど、1枚アルバムを選べと言われたら、迷わずこのアルバムを選びます。
「All Hope Is Gone = 全ての希望が消えた」と名付けられたアルバムですが、希望が詰まっているように聞こえたアルバムです。
以上、『Slipknot:All Hope Is Gone ~希望を一度失った先にあるもの~』でした。
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