SID (シド) 10枚目のアルバム「承認欲求」。
前作「NOMAD」から、ほぼ2年の間隔でリリース。今回のアルバムの特徴は、1枚目以来となるシングルが収録されていないこと。
インディーズのバンドであれば珍しいことではありませんが、メジャーで人気バンドのシド。シングルなしのアルバムのリリースには、逆にビックリ!
しかもバンドにとって記念すべき10枚目をこの形でリリースするというのは、アルバム・タイトル「承認欲求」にも関係しているのかもしれませんね。
承認欲求 収録曲概要
「承認欲求」収録曲は以下の通り。
- 承認欲求
- Blood Vessel
- 手
- デアイ=キセキ
- see through
- ポジティブの魔法
- 淡い足跡
- Trick
- 涙雨
- 君色の朝
一般的にシドはビジュアル系に今も分類されるバンド。とはいえ、ビジュアル、曲も含めて類を見ないバンドです。他と異なるのは、曲名にも現れています。
ビジュアル系によくある意味が伝わらない曲名ではなく、シドのイメージが分かりやすくも必要以上には歩みよっていないのは、バランスがいいですね。
曲もロックとは一聴では異なるようで、離れていないのが面白いです。
承認欲求
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オープニングは、アルバム・タイトル曲「承認欲求」。(1曲目)
言葉のイメージから「俺が俺が」や、「必要以上に見せつける」というのではなく、あくまでも自分中の優しい承認欲求であるのが特徴です。
何かをするからには誰かに認めて欲しいということは誰もが感じる思いですが、こういう承認欲求もあるんだなと感じさせてくれます。
常に誰かのために行動をするわけではないですけれど、普段生活をしていく中で承認欲求というのは思っている以上に多いのかもしれませんね。
Shinjiの特徴の必要以上に歪ませないというギターは、コピーしても参考になる曲。プレイ自体は難しくはないですけれど、弾いて分かる面白さがあります。
Blood Vessel
アプリゲーム「イケメンヴァンパイア」第2章主題歌「Blood Vessel」。(2曲目)
血をテーマというとバンドの曲ではXの「BLUE BLOOD」を始めいろいろとありますけれど、「Blood Vessel = 血管」をテーマにした曲は珍しいかも…。
管とそのもので何が違うんだ? となりそうですが、この曲の歌詞をよく掘り下げてみるとなんとなく違いが分かる人が多いと思います。
ボーカルのマオとベースの明希の共作の歌詞ですが、音も含めて面白い部分が多い含まれている曲。一般的な ベーシストがが書く曲とは違いがありますよ。
血の流れと同じように流れていくような形で、バンドマンであればコピーしたくなってしまう曲。リズムを含めてコピーして、分かる面白さがあります。
デアイ=キセキ
横ノリの曲とサビが印象的な「デアイ=キセキ」。(4曲目)
人と人が出会うには同じ時間を共有しなければ出会えないですから、確かに奇跡かも…。当たり前のことであるけれど、忘れてしまうことです。
奇跡だからこそ出会えて良かった、運命共同体というのはシドのバンドのことでもあり、ファンとの出会いを歌っている曲に聞こえました。
演奏していることはシンプルなのですが、ポップで耳についてはなれないメロディーは、聞いていて楽しい気持ちになれる曲です。
Trick
アルバムの中で1番ロックしている「Trick」。(8曲目)
3分3秒とアルバムの中でも1番短いですが、こういうロックが1曲でも入っているとやっぱり安心してしまいます。
一聴でロックな形を、ファンというのはやっぱり欲しいので…。しっかりアルバムを聞くと、全体がロックしているのは分かるんですけどね。
トリックにかかっていて、今自分がやっていることはではなく、誰か別の人の夢ではないか? と問う曲ですが、完結せずに終わるところが興味深いです。
このアルバムには入っていませんが、いつかアンサーソングがあったらより面白みが増えそうな予感がしています。少しだけ未来に期待ですね。
君色の朝
ラストをかざるおは「君色の朝」。(10曲目)
まだ明確には見えていないけれど、次の朝に君と見える色は違って見えるよという、優しくポジティブで爽やかな曲。聞いていて、気分が安らいでしまいます。
他のビジュアル系バンドでは、まずできない曲。普段から爽やかな曲を演奏しているバンドでも、同じ感じを表現するのは難しいかも…。
シドの独自性がよく分かる曲。さわやかなさだけではないですね。
この曲があるからこそまた最初からリピートして聞きたくなる、アルバムのラストにぴったりな位置になっています。押し売りではない、ポジティブさです。
あとがき
10曲で41分とさらっと聞けますが、時間以上に何かシドのバンドとしての思いが込められているように感じるアルバムです。
シングルがなしであること。10枚目という区切りであること。「承認欲求」というアルバム・タイトルには、何か意味を感じずにはいられません。
思いや意味は今後に明かされることがあるのか、そもそも思いや意味は実は最初からないのかもしれませんが、聞いていてすごく興味深くなる内容ですよ。
音源としての完成が完結ではなく、これから始まるツアーで変化が起こってくアルバムかもしれませんね。独自性だけでなく、シドは面白いバンドです。
以上、『SID:承認欲求 ~ただあなただけには認められたくて…~』でした。
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