Shinedown (シャインダウン) 5枚目のアルバム「Threat to Survival」。
前作「Amaryllis」から3年半。ジャケットの卵を締めつける蛇、「Threat to Survival = 生存への脅威」とインパクトのあるアルバム・タイトル。
聞き方や人によって、意味合いが変わってくるであろう内容。興味深い1枚です。
Threat to Survival 収録曲概要
「Threat to Survival」収録曲は以下の通り。
- Asking for It
- Cut the Cord
- State of My Head
- Outcast
- How Did You Love
- It All Adds Up
- Oblivion
- Dangerous
- Thick as Thieves
- Black Cadillac
- Misfits
11曲で40分とコンパクトですが、その時間以上に短く感じるアルバム。前半の強力さだけでなく、全体でしっかりと聞ける内容になっているからでしょうか。
寧ろアルバムの本質は、後半と言っていいかも…。最初は弱いかなと思うかもしれませんが、1度再生すると飛ばすことなく全体を聞いてしまう1枚です。
Asking for It
オープニングはポップなロック「Asking for It」。(1曲目)
「Can I have a moment of your time? = 少しお時間をいただけますか?」と、アルバムの入りとして面白い曲。コミカルなMVもとても楽しげです。
You know you’re asking for it, asking for it
「何がほしいのか分かっているでしょ。求めているのは…」。表面上は無欲に見える人はいても、人は欲望の塊。冒頭の問いかけは、自分自身へなのかも。
楽しげなMVも、よくよく見ると逆に心の闇を表現していかのようにも見えてきます。あなたも、他の人と結局は一緒でしょ? みたいな感じで…。
一聴はポップなロックですけれど、それだけではなさそうです。
Cut the Cord
「Asking for It」とは雰囲気が一変してヘビーな「Cut the Cord」。(2曲目)
合唱団の歌声が、逆に怖さを感じる曲。見た目が普通の人が犯罪をすると違う意味で恐怖感が上がるのと、似た感覚かも。構成としても面白い!
Freedom, la la la la
Freedom, follow me
「自由だ、ラララ。自由、ついてきて」。ついてきてって、全然自由になっていないんです。この場面では子供の声だからこそ、逆に寒気がします。
自由になろうとして、実はしばられている。現実にもよくあること。聞かせ方として面白いので、楽器を弾いたり歌う人ほど興味を持ちそうです。
State of My Head
「頭の状態」という変わった曲名の「State of My Head」。(3曲目)
物事を正常に判断することができなくなった状態。迷いを表しているような曲。ハッピーでなくても、闇でもないのが興味深い。自分をなくしたでしょうか。
The only way I’m leavin’ is dead
「俺が去る唯一の方法は死んだ」。何も考えられない、したくない無気力。感覚は分からないですが、それでも生き続けるのは、脅威なのかもしれませんね。
聞くほどに寂しく聞こえてくる曲。切ないです。
How Did You Love
あらためて問われるとドキッとしてしまう「How Did You Love」。(5曲目)
「どのように愛した?」 なんて普通は聞かれないですよね。明確に出せる人もいるかもしれませんが、理由をこえてくるから愛じゃないでしょうか。
We are the judge and jury
「俺たちは裁判官であり、陪審員でもある」。本来は誰かにとやかく言われることではないのに、正義であるはずの裁判官と陪審員に見られている。
なんとなくも聞けますが、よくよく考えると怖さもある部分。ワイドショーを見てとやかく言う人がいますが、どの国でも同様なのかもしれませんね。
日本のアーティストだとまず聞かない、興味深いテーマ。アルバム・タイトルでいうところの、人の愛し方への脅威に聞こえました。
Dangerous
自分が危険な存在であると歌った「Dangerous」。(8曲目)
武器は凶器や兵器などではなく、言葉。怖さを自身で知っていくからこそ、切ない歌声なのでしょうか。それでも、声を出すからこそ寂しさが増えていきます。
I will never be voiceless
My weapon of choice is
I’d rather be dangerous
「声なき者にはなれない。俺が選択した武器は危険だ」。声を出さずにはいられないけれど、先には光がないことも知っているかのよう。
何気ない1つの言葉が怖くもなる昨今。言葉の意味を考えされる曲。寂しい歌声が、切なさをさらに増していきます。
Misfits
ラストを飾るロックバラード「Misfits」。(11曲目)
自分たちは不適合者だった…。歌詞を気にせずに聞くと感動系かと思ってしまうぐらいですが、耳を傾けて聞くほどに切なくなる曲。
アルバム・タイトル「Threat to Survival = 生存への脅威」。不適合者だと気付いてしまうからこそ、不安が大きくなっていく…。切なく寂しい思い。
Don’t wait up, don’t wait up
We’re long gone
「待ってはいけない。待つんじゃない。俺たちはもういなくなった」。悲しくも思えますが、自分への言葉だとすると印象が変わってくる部分。
自分たちの中にある負の部分(不適合者)が先へと行ってしまったと考えると、見え方が全く異なります。聞く人の捉え方で、感覚が大きく変わりそうです。
あとがき
ヘビーなロックが基本ですが、バラエティにとんだ曲が収録されたアルバム。音として聞こえてくる印象と、歌詞まで含めると異なってくるのも面白い!
また、卵を締め付けているのが印象的なジャケットの蛇。ぱっと見は卵が脅威を受けているように見えますが、蛇が怖がってしがみついているのかも…。
解釈は人それぞれですが、このアルバムではそれぞれの立場や見方によって、受け取る感覚が変わってくることを表現しているように自分は聞こえました。
1曲ごとが1話で完結するストーリーに聞こえるのもポイント! これはやっぱりロックバンドのアルバムならでは。Shinedownは聞いていて面白い存在です。
以上、『Shinedown:Threat to Survival ~抜けられるかどうかは自分次第~』でした。
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JOE (ジョウ)
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