Shinedown (シャインダウン) 6枚目のアルバム「ATTENTION ATTENTION」。
前作「Threat to Survival」から約2年8カ月。今作はネガティブな感情を乗り越え、新たなる人として生まれ変わろうとする姿を描いたコンセプト・アルバム。
全体を通して聞くことで、思いや1曲の重みが増してくる内容です。
ATTENTION ATTENTION 収録曲概要
「ATTENTION ATTENTION」収録曲は以下の通り。
- The Entrance
- Devil
- Black Soul
- Attention Attention
- Kill Your Conscience
- Pyro
- Monsters
- Darkside
- Creatures
- Evolve
- Get Up
- Special
- The Human Radio
- Brilliant
ロックバンドであれば1度は表現する方法として通る、コンセプト・アルバム。今までもメッセージが強い曲が多かったですから、遂にという感じでしょうか。
曲目だけを順に見ていっても、感情の変化が表現されているのが面白い。14曲で50分と長さは感じませんので、全体を通して聞くことをオススメします。
Devil
「The Entrance」での扉の開き、間髪で始まる「Devil」。(2曲目)
ミディアムテンポのヘビーな曲。聞いていて気持ちがいいのは、闇へと入っていく他にない落ちていくドキドキを感じるからかも…。
The devil’s in the next room
「悪魔は隣の部屋にいる」。一歩踏み込めば今とは違う世界に行ってしまうのに、止めることができない。なんとなく気持ちが分かるような気がします。
ヘビーな曲によくある構成なのですが、他とは少し異なって聞こえるのは、クリアなボーカルが肝になっているんじゃないでしょうか。
Attention Attention
アルバム・タイトル曲「Attention Attention」。(4曲目)
意識に大きな注目が感じられる曲。「Attention = 注意」とは注目してねぐらいの軽めの言葉ですが、繰り返されることで注意の”!”が強くなっています。
同じことでも、見方によって変わってくるという感じなのかも…。
They’re just villains in my mind doin’ time
「彼らは俺の心の中ではただの悪者」。疑ってしまうからこそ、人を信じることができない。深みにハマって自分も悪へと進んでいくという感じ。
この曲の意識が変わって行く感じは、アナキン・スカイウォーカーが闇に落ち、ダース・ベイダーになっていくようにも思えました。
Monsters
切ない思いが詰まった「Monsters」。(7曲目)
全ての人をだまし、傷つけることをしてしまうからというのが寂しい。行動は「You = あなた」としているのですが、これはおそらく自分ですよね。
MVとも合わせて歌詞を見ていくと、おそらくそうなんじゃないかなと思いが強くなります。
Yeah, my monsters are real
「俺のモンスターは本物」。ここでは”あなた”とならないのは、自分のことだと気づいているからじゃないでしょうか。思いがとても切ない曲。
尺も短く特別なことはしていないのですが、ギターソロが寂しさを増しています。
Darkside
曲の構成に注目するとアルバムの中で一番面白い「Darkside」。(8曲目)
タイトルからのイメージする激しい重いものではなく、ポップな曲。歌詞を見ていくと、聞いている印象とは異なってくるのが面白いです。
The symptoms are contagious, so please be advised
So welcome to the darkside
「症状は伝染症がから中止して。闇の世界へようこそ」。全体を通して丁寧な言葉となっているのも、逆に怖さを感じます。
見た目からして怖そうな人よりも、普通に見えたり、笑顔で人を刺す方が恐ろしいですよね。平然と悪に落ちる危うさを、この曲では表現しているのかも…。
歌詞を含めなくても、楽器を弾く人はアルバムで一番引っかかる気がします。奇をねらっているわけではないのに、弾くと面白い構成の曲ですよ。
Get Up
爽やかなポップが聞ける「Get Up」。(11曲目)
今までのShinedownのイメージからだと、驚きのある曲。アイドルグループが踊りながら歌っていたとしても、違和感がないかも…。
ポジティブな思いを含めて、コンセプト・アルバムだからこその曲じゃないでしょうか。ヘビーなだけじゃない、違った面を聞かせてくれます。
Get up, get up, get a move on
「起きて、起きて、前に進むよ」。ためらってそんなとこにいちゃダメだ! 一緒に変わって行こうよという思いは、背中を強く押してくれます。
ブレント・スミスの歌声で分かるかもですが、知らずにこの曲だけを聞かされたら、Shinedownとは気付かない人が多いかも…。表現の幅の広いバンドです。
The Human Radio
タイトルからして面白い「The Human Radio」。(13曲目)
直訳すれば人間ラジオ。変わってますのよね。「何を言いたいのかな? 」というのは、曲と歌詞を見ていくと分かってくることがあります。
The human radio is playin’ your anthem
「人間のラジオがあなたの聖歌(賛美歌)を流している」。人は同じように見えて、一人ひとりで異なるんだよというのを表現しているのかなと。
同じことであっても感じ方が違ってくるのが、本来は当然のこと。自分の思いを多くに人に知ってもらいたい人もいれば、個人の中で完結したい人もいる。
聞き方や人によって感覚は違ってくると思いますが、面白いテーマの曲です。
Brilliant
アルバムのラストを飾る「Brilliant」。(14曲目)
ネガティブな感情を乗り越え、新たなる人として生まれ変わろうとする姿を描いたコンセプトが、完結する曲。ストーリーとしても、収まりがいいです。
「The Entrance」で扉が開き中に入り、「Brilliant」で部屋から出ていく。
ボーナス・トラックが2曲あるVersionもありますが、異なる世界へ飛んでいってしまうので、「Brilliant」で終えるのが適切だと感じました。
Are you mad or insane, you better run for your life
It’s my day to be brilliant
「あなたは怒っているか、正気じゃないのか。あなたのために走った方がいい。今日は俺が輝く日」。見捨てるのではなく、人に必要以上左右されないかなと。
本当は異なるのに、人の目を気にしてマジョリティ(多数派)の意見にのってしまうのは、良いとは限らない。ネガティブな思いになっていくこともあります。
自己主張を激しくするというのではなく、見方を少し変えてみようよというのが「ATTENTION ATTENTION」で表現したかったことかなと。
自分だけの何かがあれば、ネガティブな感情なんて飛んでいってしまいますよね。アルバムを通して伝えるコンセプト。興味深く聞けました。
あとがき
ここまでのアルバムとは異なり、すば抜けているキラーソングは含まれていません。おそらくコンセプト・アルバムであるのが理由でしょう。
全体を通して表現するために、必要な曲を用意をしたからなのかと。とはいえ、そもそもの楽曲クオリティーが高いので、既存と比較したらですが…。
単曲では小説の一章を読んでるだけという感じで、全体となると聞こえ方も変わってくると思います。ですから、通して聞くのを強くオススメしますよ。
逆に単曲で判断するのは、このアルバムの聞き方として損ですね。
また、コンセプト・アルバムはバンドを成長させることが多いですから、次の1枚で見せてくれる景色が変わってくるのではないでしょうか。
おおよそ3年に1枚はアルバムをリリースしているShinedown。次の準備にはもう入っていると思いますので、階段を上がった変化を期待して待ちましょう。
以上、『Shinedown:ATTENTION ATTENTION ~見方を変えれば世界が変わるよ~』でした。
Shinedown 関連記事
2015/9/18 release 5th Album
Shinedown:Threat to Survival ~抜けられるかどうかは自分次第~
2018/5/4 release 6th Album
Shinedown:ATTENTION ATTENTION ~見方を変えれば世界が変わるよ~ ←今ココ
2020/5/22 release Digital Single
Shinedown:Atlas Falls ~あなただけは今をあきらめないでいて…~
JOE (ジョウ)
最新記事 by JOE (ジョウ) (全て見る)
- Doja Cat:Freaky Deaky ~ただあなたに喜んでほしくて~ - 22年5月26日
- Nicori Light Tour:ダウナー ~この思いを閉じ込めてはおけない~ - 22年5月25日
- 雨宮天:Love-Evidence ~あなたとだからこそある見えない物~ - 22年5月24日
- 富田美憂: OveR ~その場所へと辿り着くための始まり~ - 22年5月23日
- Ed Sheeran:2step (feat. Lil Baby) ~一人の時とは異なる歩み~ - 22年5月22日
コメント