Poppy (ポピー) 5枚目のEP「EAT (NXT Soundtrack)」。
前作「A Very Poppy Christmas」から6カ月。途中Jack Off Jillのカバー「Fear Of Dying」をはさみつつ、リリースされました。
本作は副題にある通り、アメリカのプロレス団体WWE・NXTのサウンド・トラック。
ジャケットがモノクロではなく色味が付いたのことへの意外性を感じさせますが、3枚目のアルバム「I Disagree」を発展させた音が聞けます。
EAT (NXT Soundtrack) 収録曲概要
「EAT (NXT Soundtrack)」収録曲は以下の通り。
- EAT
- Say Cheese
- CUE
- Breeders
- Dark Dark World
5曲14分のコンパクトさ。タイトルもシンプルですが、聞こえてくるのはいい意味でかなり激しく、闇のあるサウンド。
繰り返して聞くのは耳が痛いので、この長さがいいのかもしれません。彼女の恒例ですが、時折歌詞に交じる日本語。闇を大きくする形であるのが面白いです。
EAT
有毒だからこそ「EAT」。(1曲目)
毒を抑えるのではなく、広げようとする。現在の状況と逆を行くのは、面白いなと思うとともに、実際にそう考えていた人がいたのではないかと想像させます。
闇の中の陰謀説という感じでしょうか。ウイルスとは言ってはいませんが、逆に毒と表現するからこそ、そう思わずにはいられない曲です。
My brain is poisonous
My body is a mess
「私の脳は毒されいて、体も混乱してる」。だからこそ近づいてではダメではなく、この思いを共有しようとしているのが、毒に侵させているからかも。
私だけ苦しむのは嫌だから…。そう言っているようにも聞こえます。
食べてください
食べてください
英詩の中、重要ば部分で日本語。かつ丁寧語。逆に闇の部分が大きく思えるからこそ、聞いていて面白いなと感じてしまいます。
日本語は思っている以上に、耳の痛い言葉にもなりますね。ポピーは初期から歌詞の中で利用しますが、痛さの意味ではこの曲の使い方が断トツかも…。
Say Cheese
さあ一緒にこの時を「Say Cheese」。(2曲目)
笑顔ではなく、恐怖の表情を写真に残す言葉。この言葉から叫びだらけの曲に持っているのは、ポピーならでは。突飛だからこそ、面白く感じてしまいます。
I don’t want revenge
Just want it to end
「復讐はしたくないの。ただ終わらせたいだけ」。写真という、その場面を切り取った物に残して。思い出のためではないというのが、ポイント!
スマイルでお願いします
泣かないで Say Cheese
その優しい言葉とは裏腹に、見た人が恐怖するような顔をしているのでしょう。現時点ではMVはないですが、あったらとても面白い形になりそうです。
Show me your teeth
Come on, look at me
Show me how to be happy
「歯を見せて私を見て。幸せになる方法を教えてね」。そのままの言葉の意味として笑顔を見せてはなく、幸せの瞬間を収めた後が怖くなりそうだと感じます。
冒頭には「復讐はしたくないの。ただ終わらせたいだけ」とありますが、最大級のことをするための、下準備でしかないのかも…。
幸せに本当になりたいのであれば、この音にはならない気がしますよ。
CUE
破滅の行動「CUE」。(3曲目)
何か始まるということは、その合図があるもの。「Cue ◯◯」の形で次々と 表現していくのは面白いですし、ライブのコールが想像できる曲。
プラスして攻撃的というよりも、狂気的な叫びがグサグサと突き刺さります。
March ‘til the end of the world
And we’ll march ‘til the end of everything
「世界が終わるまで行進しようね。そして、全てが終わるまでも行進」。世界の終わりまでじゃなく、更にその先にあるものまで。
何を見ているかは想像しかないですが、存在や記録自体が完全に消えることを指しているのかも…。いろいろと考えてみると、より面白みが増す曲です。
Breeders
偽善者を繁殖させる「Breeders」。(4曲目)
状況に不満を述べるのではなく、淡々と行われていることを語る。音自体にも激しさはないですが、逆にそのことが恐ろしさを感じさせます。
Breed another hypocrite, breed another liar
「偽善者を生まれ、嘘が増えていく」。表向きは良い人を演じているけれど、実際は闇でいっぱいの人が多い昨今。自分の利益しか考えていないという。
ブリーダーをこういう形で表現することに、言葉の面白さとなっています。
Hai Hai, hai
Hai Hai, hai
音的には楽しそうにも聞こえる部分なのですが、勝手にやれよ! の思いが含まれているのかもしれませんね。
淡々と歌い何をしたいなどがないので、人によって聞こえ方が変わってきそうです。
Dark Dark World
あなたの心の中は「Dark Dark World」。(5曲目)
病んでいる人の考えていることを、覗いているような感じ。タイトルも暗さがありますが、もっと闇が深い形です。
Who can ignore this waging war?
It all became a blunder
「誰がこの戦争を無視できるの? 全ては失敗に終わったわ」。敵対するものではなく、自分の中で起こっているからこそ、終わりが見えているかのよう。
希望の”希”の時も見ようとしていない形は、逆に新鮮味があります。
Life is a whore
「人生は娼婦」。叫びのフレーズ。自分の意思ではなにもできないからこそ、日を追うごとに闇に私は落ちていくわという感じでしょうか。
闇に落ちていくだけでなく、誰と戦えばいいかも分からない。暗い思いです。
あとがき
5曲14分とコンパクトでありながら、闇がかなり深い内容。聞いた人に、大きなインパクトを残します。やっぱり彼女は面白い表現をする人です。
ポップ志向が強いアメリカにおいて、激しいだけでなく闇の深さを表現。それを女性で、かつファッションリーダーなポピーが表現するからこそ面白いです。
また、今までの作品の中でも、闇深さは随一。心の調子があまりよろしくない時にこのEPを聞くと、体験したことのない闇の階段を下ってしまうかも。
例え問題無い状態であったとしても、リピートするには耳が痛いです。3曲目までは音の激しさがメインですが、4、5曲目は闇そのものですから…。
以上、『Poppy:EAT (NXT Soundtrack) ~私の苦しみをあなたにもあげる~』でした。
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JOE (ジョウ)
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