Poppy (ポピー) 3枚目のEP「Choke」。
前作「Am I a Girl?」から8カ月で提示されたEP。サウンドトラック・アルバムもリリースもするPoppyですが、収録されているのは実験的な音。
とはいえ手詰まり状態ではなく、続くアルバム「I Disagree」の元になったと考えられる内容は、後からくる面白さ。興味深い音がここにあります。
Choke 収録曲概要
「Choke」収録曲は以下の通り。
- Choke
- Voicemail
- Scary Mask (feat. FEVER 333)
- Meat
- The Holy Mountain
曲名からして結びつきがよく分からない、面白い組み合わせ。タイトルからして、ポップな音のアーティストでは見られない形。
聞くまでは想像ができない曲が多いのもポイントです。
Choke
アルバム・タイトル曲「Choke」。(1曲目)
助けてほしいのに、私の回りには誰もいない。息ができなくなっていくという、面白い表現の曲。他人への無関心さを表しているようにも聞こえます。
They don’t believe me
My heart isn’t beating
「彼らは私を信じてない。私の心臓は鼓動してません」。さらっと通り過ぎていきますが、怖さを感じる歌詞。彼らもですが、自分も信じていないのでしょう。
Official Audioとして公開されているMV。微動だにせず口元が動くだけなのですが、「Choke = 息が詰まる」状態を表現していて興味深い。
他のアーティストではまず見られない形。逆にマネはしづらいかも…。
Voicemail
![]() | 「Voicemail」 フルMVをApple Musicで観る |
全体を通して不思議な感覚が漂う「Voicemail」。(2曲目)
ボイスメールというと親しい間柄だからこその連絡手段の1つですが、この曲で聞けるのは孤独な思い。1人であるからこそ、ぐるぐる不思議なのかもですね。
君恥ずかしい 手にいましょう
I guess I’m just out here
I’m on my own
「今ここにいるはず。私は1人ぼっちだから」。Poppy 特有の日本語が入るので逆に想像しづらい部分ですが、自分との会話に聞こえます。
Runnin’, I’m runnin’, I’m runnin’
「走る、私は走る、走るの」。自分しか理解者がいないから、ぶっ飛んでいるかのよう。不思議な感覚だからこそ、逆に面白く聞けてしまう曲です。
Scary Mask (feat. FEVER 333)
![]() | 「Scary Mask (feat. FEVER 333)」 フルMVをApple Musicで観る |
短い曲の中で表現が大きく変わる「Scary Mask (feat. FEVER 333)」。(3曲目)
ロックバンド「Fever 333」をフィーチャリングした意外性が面白い曲。
「I Disagree」の方向性は、この曲をしたからこそでしょう。もしくは、先に変化の予兆を体感してもらうために提示してきたのかも…。
I’m never gonna take it off
so don’t touch me
「私は取るつもりはない。触らないで!」。取らないでというのは「Scary Mask = 恐怖のマスク」であるというから、闇が深くなります。
本来は心の奥底に隠れているマスクをつけた状態が、本来の自分だと言っているのかも…。どんなに明るい人であっても、何かしら闇はありますから…。
あまり触れない人の芯をついているからこそ、より興味深い曲になっていそうです。
Meat
人を肉と表現する怖さがある「Meat」。(4曲目)
曲調がポップだからこそ自然に聞けてしまいますが、歌詞は怖いです。かけ離れた遠くではなく、近未来を想定した歌詞だからこその恐怖があります。
Wrap me up in cellophane
Labeled “organic”, label me “grade A”
「私をセロファンで包んで。オーガニックで、グレードAと表示されるの」。肉の感じでがリアル。オーガニックでグレードAはせめてもの拘りでしょうか。
近未来2033年に飛来する宇宙人に食肉にされる。にしても、なんちゅう曲…。聞くだけでは面白みが半減してしまうので、歌詞を見ることをオススメします。
The Holy Mountain
自分を変えたいという思い「The Holy Mountain」。(5曲目)
曲名からの想像とは異なる曲。「聖なる山とはなんぞや?」となるところですが、面白い世界観が聞けます。最後は神頼みというのも興味深い。
So I said to God, “How do I change my ways?”
He laughed in my face
「神に「どうやってて自分を変えれいいの?」と聞いた。神は私の顔を見て笑った」。この後に「私のために祈り始めた」と続く、面白い表現。
聞く人の受け取り方で異なってくると思いますが、祈られるはずの象徴が逆に祈る。神からの「自分でなければ変えられないんだよ」の声に聞こえました。
神を含めて誰かに頼むのではなく、変わりたいなら自らの手で。思いの他にメッセージが強い曲なのかも…。聞くほどに深みを増していきます。
あとがき
実験的な音であるからこそ「なんじゃこりゃ?」。または「面白い! 」と、評価は大きく異るであろうEP。個人的にはとても楽しめました。
その理由はやっぱり、続くアルバム「I Disagree」があるからでしょうか。ですから1枚としてでなく、セットで聞いた方がきっと楽しめると思いますよ。
「Meat」でも近未来の世界が出てきましたが、先を予測して意図をした行動をしているように見えるPoppy。単なるポップアーティストじゃないですね。
日本のカワイイ文化も取り入れて表現するからこそ、注目せずにはいられません。
以上、『Poppy:Choke ~私の中の闇を見せてあげる~』でした。
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