Pantera (パンテラ) 5枚目のアルバム「Cowboys from Hell」。
前作「Power Metal」から2年2カ月。リスナーだけではなく、有名無名を問わずアーティストにまで大きな影響を与えた、実質的な始まりの1枚。
唯一無二のヘビーでザクザクとくるサウンドは、しびれること請け合いです。
Cowboys from Hell 収録曲概要
「Cowboys from Hell」収録曲は以下の通り。
- Cowboys from Hell
- Primal Concrete Sledge
- Psycho Holiday
- Heresy
- Cemetery Gates
- Domination
- Shattered
- Clash with Reality
- Medicine Man
- Message in Blood
- The Sleep
- The Art of Shredding
タイトルの時点でシンプルだけど、刺激のある言葉。聞けばもっとグサグサと突き刺さってくるのですから、影響を大きく与えたというのも納得です。
晩年は真空管を使っていましたが、当時はトランジスタアンプだからこその、音の分離がはっきりとしたダイムバッグ・ダレルのギター。
温かみではなく、突き刺さってくる音は気になるなという方が無理かも…。一時期ギタリストがこぞってビル・ローレンスのピックアップ付けていました。
また、余計な言葉はいらない。とりあえず聞け! と言わんばかりのサウンドです。
Cowboys from Hell
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アルバム・タイトル曲「Cowboys from Hell」。(1曲目)
ミュートしながらのザクザクとしたリフに、歌始まりの「Oh, come on」で、一気に虜にされてしまう曲。これにしびれるなという方が無理でしょう。
Coming for you, we’re the Cowboys from Hell
「いくぜ! 俺たちは地獄のカウボーイだ!」。聞く人たちを暴れ牛を楽々と抑えるかのように地獄へと連れていくカウボーイ。めちゃくちゃにカッコいい!
凶悪そのものなキラーソング。メタルなギタリストであれば、聞けば必ずと言っていいほど弾くことをチャレンジしたくなる魅力がある曲です。
Primal Concrete Sledge
逃げることはできない「Primal Concrete Sledge」。(2曲目)
早口にリフ、コーラスの応酬。短い中に極悪な要素がこれでもかと詰まっている曲。グサグサと突き刺さってくるのが、刺激的なメタルです。
Come and be with me
Live my twisted dream
「俺と一緒にこい。歪んだ夢で生きるために」。一緒に行かなくても、地獄。付いていっても、そこにあるのは別の地獄のようなもの。
音だけでなく、そのメッセージさえも極悪な要素でいっぱいです。
Psycho Holiday
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異常な状態であることを楽しむ「Psycho Holiday」。(3曲目)
本来は理解できないことも、その状況に置かれたら当たり前のように。それにプラスして、心地よくなってしまう。興味深い世界が描かれている曲。
My mind laid to rest
I’m on a psycho holiday
「心が休まる。サイコホリデーを過ごす」。周りから見たら異常であることも、自分にとって当たり前であり、心が休む状態になってしまう…。
サイコとはそういうものなのでしょうけれど、踏み込んでいくには怖さを感じる世界。1人で孤独が延々に続くからこそ、闇が明るさに思えるのかもです。
バッキングを重なることをしていないギターソロ。それでも音の足りなさを感じされないというのは、すごいギタリストです。
Cemetery Gates
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その門の先にあるのは果たして…「Cemetery Gates」。(5曲目)
信じるものに裏切られ、選択肢のない中で前に進まなければいけない。その先は闇になる可能性が高いのを知っているからこそ、寂しさを感じる曲。
選ぶ道がない中での選択は、聞くほどに痛さとなって突き刺さります。
Believe the word, I will unlock my door
And pass the cemetery gate
「言葉を信じ、墓地の門を通るために鍵を開ける」。その先は闇である可能性が高いのに、最期にまた信じてしまう…。人の弱さを表しているかのよう。
叶うことはなくても願い、信じる思い。寂しさでいっぱいになります。
Domination
あなたの行くつく場所「Domination」。(6曲目)
Agony is the price that you’ll pay in the end
「苦悶はあなたが最期に支払う代償」。なんちゅう始まり方をするんだという曲。選択権なんてない、生き地獄となる支配された世界だけが待っています。
今のメタルほどローチューニングでないのに、この曲の重さ。テンポチェンジが多くあるのも、その理由の一つかもしれません。
アウトロの長いギターソロ。行った先の世界を描いているようで、興味深い。狂気的な音であるのに、聞いている内にハマってしまう不思議さがあります。
The Sleep
安らぎではない眠り「The Sleep」。(11曲目)
起きていることでの悩み。眠れば救われるかいえば、そうではない状況。365日24時間苦しみから抜け出せない世界は、何とも言えない痛さを感じさせます。
Will we survive this night?
「この夜を生き残れるのか?」。何を選んでもそこにあるのは地獄。パンテラの中では静かな曲ですが、描かれている世界はとても痛いもの。
サビの上昇フレーズや、印象的なアルペジオは、今も聞かれる手法。特別な形ではないですが、バンドの影響力の強さを感じてしまう曲でもあります。
あとがき
2021年が丑年ということで、ラジオでタイトル曲「Cowboys from Hell」が複数の番組でちょいちょいとかかっていて、やっぱりカッコいいなと。
ザクザクという言葉はパンテラのためにあるんじゃないかというぐらいですし、耳を突き刺すようであるのに、うるさいではなくのめり込んでしまう音。
これはやろうとしてできないですし、正に唯一無二のバンド。バンド全体でバチバチにバトルしているのが、心地良くてしびれてしまうのは避けられません。
多くのアーティストに影響を与えたパンテラ。その理由も、聞けば誰も納得してしまうのではないでしょうか。
ギタリストであれば曲を弾きたくなるし、ヘビーであるのに口ずさみたくなってしまう歌メロも特徴的です。やっぱりというか、カッコいいな。パンテラ!
以上、『Pantera:Cowboys from Hell ~あんたの行き先はもう決まっている~』でした。
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JOE (ジョウ)
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