Motley Crue (モトリー・クルー) 6枚目のアルバム「Motley Crue」。
前作「Dr. Feelgood」から4年6カ月。間にベスト盤「Decade of Decadence」を挟むだけでなく、ボーカルのヴィンス・ニールを解雇。
新たなボーカルとしてジョン・コラビを招いての制作。その関係はこの1枚のみで終わるのですが、今作が優れたハード・ロックアルバムであるのも事実。
とはいえタイトルが「Motley Crue」でありながら、一番らしくない内容です。
Motley Crue 収録曲概要
「Motley Crue (Deluxe Version)」収録曲は以下の通り。
- Power to the Music
- Uncle Jack
- Hooligan’s Holiday
- Misunderstood
- Loveshine
- Poison Apples
- Hammered
- Til Death Do Us Part
- Welcome to the Numb
- Smoke the Sky
- Droppin’ Like Flies
- Driftaway
- Hypnotized (single B-side)
- Babykills (from “Quaternary”)
- Livin’ in the Know (from “Quaternary”)
12曲目までがオリジナル。以降は2003年にリマスターされた際のボーナス・トラック。
1曲目「Power to the Music」の時点ですぐに分かる、変化したサウンド。ヴィンス・ニール在籍時の派手さは影を潜め、聞こえてくるのは硬派な音。
モトリー・クルーとして聞くと今でも違和感がありますが、1枚のハード・ロックアルバムとして考えると、その内容は優れているのも事実です。
トミー・リーやミック・マーズがお気に入りの1枚として上げるのも納得! 唯一の失敗は、モトリー・クルー名義でなかったらなということでしょうか。
わりと軽視されるアルバムですが、その内容は今聞いてもカッコいいですよ。
Power to the Music
今までとは異なるサウンドであることを示す「Power to the Music」。(1曲目)
がっちり溜めて、吐き出す形。ジョン・コラビが歌うからこそ重みが増しています。表現する方法が全く異なるタイプのボーカルを入れたからこその変化。
Power to the music in the streets
「ストリートに音楽のパワーを」。音楽が死ぬことはないというだけでなく、モトリー・クルーとしてもいくぜ! の思いが込められていうかのよう。
乾いた音であるからこそ、硬派なハード・ロックな音が聞ける曲です。
Hooligan’s Holiday
![]() | 「Hooligan’s Holiday」 フルMVをApple Musicで観る |
アルバムのリードトラック「Hooligan’s Holiday」。(3曲目)
ポップなメロディーでありながら、可能な限りヘビーに。歌うことはないでしょうけれど、ヴィンス・ニールだったら全く異なる表現になりそうな曲。
Only the strong survive
「強者だけが生き残る」。だからこそ、俺たちは生き残るんだの宣言。「Power to the Music」の続きを、さらに発展させたように聞こえる曲です。
音はハードでもメロディーがポップだからこそ、つい口ずさみたくなります。
Misunderstood
![]() | 「Misunderstood」 フルMVをApple Musicで観る |
寂しさと優しさが共存する「Misunderstood」。(4曲目)
公平ではない社会。絶望を感じる人もいるけれど、強くありたい思い。希望を持っている子どもにこそ悲しさは不要という、大人の男の優しさがあります。
So don’t you cry. So don’t you cry
「だから泣かないで。泣かないでくれ」。この歌詞の直前にある「daddy’s = パパ」とは、それぞれの家族の守ってくれる人を表していそうです。
曲も今までにない形ですが、歌詞が大きく異るのもこのアルバムの変化ですね。
Hammered
ヘビーなリフとコーラスが印象的な「Hammered」。(7曲目)
知らない人が音だけでこの曲を聞いたら、モトリー・クルーとはきっと思わないはず…。歌と楽器隊がバトルしている感じであるのが、特徴です。
Hey, hey, you’re hammer, hammer poor
「へい、あんたはハンマーだ。貧しいね」。釘を打ち付けてしばることしかできない奴らへの皮肉でしょうか。やれるならやってみろの思いかも…。
今のこの時は止められても、後から分かっているんだろうなの形に聞こえます。
Smoke the Sky
![]() | 「Smoke the Sky」 フルMVをApple Musicで観る |
政治的なメッセージのある「Smoke the Sky」。(10曲目)
世界観からして、ヴィンス・ニール時代のモトリー・クルーにはないもの。だからこそ、ここをどう思うかで好みになるとなるかが変わってきそうです。
Smoke the sky
「空に煙が」。曲名でもありますが、個人的にはこれって必要なことなのかい? と問いただしているかのよう。聞き方によって解釈が変わってきそうですね。
音もですが、MV表現の仕方がよくも悪くもモトリー・クルーぽくないかも…。
Driftaway
ロックバラード「Driftaway」。(12曲目)
歌詞の形は異なりますが、アルバムで唯一ヴィンス・ニールが歌っても違和感がないだろうなと感じる曲。というよりも、逆に聞いてみたいかも…。
I close my eyes and dream my life away
「目を閉じて人生を夢見る」。ただ突っ走るだけでなく、振り返ることも先を見ることもできる。やんちゃではなく、大人の余裕が聞ける曲です。
ヘビーにだけでなく、こういうロックバラードも歌えるジョン・コラビ。この曲を聞くと、なぜ抜擢されたのが分かるような気がしました。
いろいろなプロジェクトに声がかかったジョン・コラビ。今でいうと、ロニー・ロメロの存在が近いのかもしれません。どちらも素晴らしいボーカリストです。
あとがき
ヘビーなリフ、重さがあるハード・ロックアルバム。現在のメタルのような低音バンバンではないのに、この重さを表現しているのも特筆すべきポイント!
ジョン・コラビが歌うというのが念頭にあるからこその、この内容になったのではないでしょうか。頻繁ではないですが、たまに聞くと面白く聞けます。
収録曲概要でも記載しましたが、惜しいのはモトリー・クルー名義でリリースしたこと。これが別名義であれば、きっと全く異なる評価にきっとなったはず!
特にこの前年にヴィンス・ニールが「Exposed」という完璧にも近いソロ・アルバムをリリースしていたのも、運が悪かったともいえるのではないでしょうか。
モトリー・クルーのイメージと大きく異ることから軽視されることもありますが、このカッコいいハード・ロックを聞かないのはもったいない!
特にロックなギタリストは、聞いておくことをオススメします。
以上、『Motley Crue:Motley Crue ~イメージとは異なる硬派な音を聞け! ~』でした。
Motley Crue 関連記事
1981/11/10 release 1st Album
Motley Crue:Too Fast for Love ~華麗に舞い降りたクルーたち~
1983/9/26 release 2nd Album
Motley Crue:Shout at the Devil ~一緒に叫ばずにはいられない~
1985/6/21 release 3rd Album
Motley Crue:Theatre of Pain ~この痛みをあなたに癒やしてほしい~
1987/5/25 release 4th Album
Motley Crue:Girls, Girls, Girls ~俺には男としてイカした時間が必要だ~
1989/9/1 release 5th Album
Motley Crue:Dr. Feelgood ~永遠に続かないからこそ変化の時~
1994/3/15 release 6th Album
Motley Crue:Motley Crue ~イメージとは異なる硬派な音を聞け! ~ ←今ココ
2019/3/22 release Soundtrack Album
Motley Crue:The Dirt Soundtrack ~終焉を迎えても輝きは消えない~
関連アーティスト記事一覧
Vince Neil (ヴィンス・ニール)
JOE (ジョウ)
最新記事 by JOE (ジョウ) (全て見る)
- Billie Eilish:Lo Vas A Olvidar ~そこに存在さえしなかったように…~ - 21年1月22日
- YOASOBI:優しい彗星 ~かけがえのない君と過ごした日々の物語~ - 21年1月21日
- BAND-MAID:Unseen World ~だからこそ前へと突き進むよ~ - 21年1月20日
- 幾田りら:ロケット・トゥ・ザ・ムーン ~君の元へすぐに行くから~ - 21年1月19日
- Motionless In White:Creatures X: To The Grave ~今度は俺がする側に~ - 21年1月18日
コメント