millennium parade (ミレニアムパレード) 1枚目のアルバム「THE MILLENNIUM PARADE」。
Daiki Tsuneta Millennium Paradeとしてアルバム「http://」を2016年にリリースし、後にmillennium paradeに改名。
2019年「Veil」から、コンスタントなペースで6枚のシングルの発表。遂にという形でのアルバムは、単曲ではない1枚の塊になった表現が興味深い内容です。
THE MILLENNIUM PARADE 収録曲概要
「THE MILLENNIUM PARADE」収録曲は以下の通り。
- Hyakki Yagyo
- Fly with me
- Bon Dance
- Trepanation
- Deadbody
- Plankton
- lost and found
- matsuri no ato
- 2992
- TOKYO CHAOTIC!!!
- Philip
- Fireworks and Flying Sparks
- The Coffin
- FAMILIA
14曲ですが、トータル時間は39分。King Gnu と同様に短いインスト、つなぎとなる5曲が含まれているのが大きな理由ですが、実に面白い表現。
また、先行して6曲リリースされていますが、「Veil」「Stay!!!」は含まれていません。単曲として必要でも、アルバムには入る場所がなかったのでしょう。
実際に1曲目「Hyakki Yagyo」から、14曲目「FAMILIA」までにそれぞれのストーリーがありつつ、終わりを迎えるという、なんとも寂しさのある物語。
シングルを切る際にどこまで意図していたかは分かりませんが、アルバムとして表現したい一部を切り取って、リリースしていたというのが正しそうです。
ただそこだけが見えるのは面白くないから、「Veil」「Stay!!!」があったと考えると、聞き手はしてやられた感じ。興味深い表現をしてきてくれました。
加えてmillennium paradeといえば歌詞が英語であるのが特徴的でしたが、終盤の歌入り2曲「Fireworks and Flying Sparks」「FAMILIA」は日本語。
表現に言語は関係ないというだけでなく、意図が隠されていそうです。その”何か”を探りながら聞いてみると、さらに面白くなるであろう内容です。
Bon Dance
死者を供養する「Bon Dance」。(3曲目)
英語表記は想像以上にかっこよくなりますが、いわゆる「盆踊り」のこと。メロディーの使い方も、とても日本的。にぎやかに、明るく弔う形です。
Why won’t you start that primitive beat?
「なぜ原始的なビートを始めないの?」。自分たちが楽しむためだけでなく、死者を供養するための踊り。躊躇せずに今は楽しもうよ! という感覚かなと。
過去に自分がいた世界で、「みんなが楽しいことをしているから、行かなくちゃ! 」と、魂になった人たちに呼びかけるかのように…。
Trepanation
死ぬゆく時「Trepanation」。(4曲目)
冒頭のドリルの音は、頭を手術するために骨を取り除くための音。人の全てを司る頭脳だからこそ危機的であり、意味合いを知ることで聞こえ方が変わります。
Can’t call your name without crying
I’m wading through this river
「泣かずにあなたを呼ぶことはできないよ。俺はこの川を歩いてる」。川 = 三途の川ということは、助けることはできなかったということ。
もう生きて戻ることのない現実。逝く、残る側がその名前を呼ぶ際に泣くことを避けられないのは、必然と言えます。
続くインスト「Deadbody」は、死んだからこその静けさと寂しさ。別の世界へと向かう様子が、短い秒数の中で描かれているのが分かります。
2992
NHKスペシャルシリーズ「2030 未来への分岐点」テーマ「2992」。(9曲目)
歪んで下品な音のベースが印象的な曲は、未来の世界が描かれているもの。2992年といえば、今存在しているいる生き物が間違いなく見られない時間。
血を引いた子孫が残るかどうかも分からない、未来。生まれたものは必ず死があるからこそ描かれた世界は、想像してみると面白みが増していきます。
You won’t believe what I saw
There are no words to make you believe me
「あなたは私が見たものを信じないでしょう。私に信じさせる言葉もないけれど…」。続く歌詞のように星は砕け、地球が存在しないかもしれない。
環境のことはよくニュースになりますが、未来の分岐点は今存在する自分たちの行動が分岐点となっているのは間違いないのでしょうね。
今作には収録されませんが、「Veil」へとつながる表現。すごく面白いです。
Fireworks and Flying Sparks
ジャケットに大きく関係しているであろう「Fireworks and Flying Sparks」。(12曲目)
「Fireworks = 花火」と言えば壮大できれいなイメージの方が多いと思いますが、描かれているのは惨劇といえるもの。まるで火の雨。
今この時に降るというわけではなく、1つの未来を暗示しているかのようです。
光と影の力は平等で
どちらの方にも吸い込まれるかなど
もともと生まれた時は格差なんてなかったのが、生物の弱肉強食。同じ人であっても、指示する側とされる側に。最初は同じだったのにの思いでしょうか。
意図する暇なく揺れ落ちていく
生きている時もですが、自分の意図を全てやりきったと亡くなる人はそう多くないはず。まだ生きたいと思って去って逝く人が多いのではないでしょうか。
「2992」、「FAMILIA」にもつながる世界。単曲だと理解が難しい部分がありますが、途中に含まれるインストを含めて聞くと、なるほどなとなりますよ。
FAMILIA
映画「ヤクザと家族 The Family」主題歌「FAMILIA」。(14曲目)
歌詞が日本語だけでなく、井口理の参加で話題となった曲。King Gnu とどこで差を出すかではなく、アルバムの最後に必要だからという形。
タイアップもある中で、見事と言える選択。他のアーティストで複数のバンドやソロを行っている人ほど、やられた〜と感じそうです。無理に変えない。
後悔なんて無意味だ
あなたの瞳が輝いてる今が奇跡だ
後悔しても戻ってこないからこそ、確かに無駄な時間。頭の中では分かっていても、繰り返してしてしまうのは人だからとも言えそうですが…。
それをも超える”あなた”という存在を見つけたのが、幸せなのでしょう。
道半ば果てたとて
もう思い遺すことは無い
自分では実現できなかったけれど、残るあなたに残すことができたから。大人なの考えであり、本当に愛してしまったからこその思い。
「FAMILIA = 家族」。実際の血のつながりがどうこうではなく、深く結びついていることを表しているのでしょう。友人や親友でも恋人でもない、家族。
似た形でラオウで有名な「我が生涯に一片の悔い無し」がありますが、自分がというのと、残るものがいるからこそという違いがあるのが興味深いところ。
本当の意味での家族への思い。深さを感じさせる曲です。
あとがき
単体でも魅力的な表現をするのは既存のファンならご存知の通りですが、アルバム全体としての見せ方は、ユニットというよりもバンドらしい内容の1枚。
加えて「進撃の巨人」などの漫画で伏線を回収していくというのはありますが、この「THE MILLENNIUM PARADE」は、音で持って行った感じが興味深い!
点がつながって線になる形は、頭脳である常田大希が単純に凄いなと。かといってこじつけではなく、1曲単位でも楽しめる形はさすがと言えるでしょう。
音楽を聞いて素直にいい悪いではなく、背景や表現を突っ込んでしまう自分のようなタイプの人は、きっとめちゃくちゃ面白いなと感じる内容です。
コンパクトなアルバムですし、1枚を通して聞くことを是非オススメします。
以上、『millennium parade:THE MILLENNIUM PARADE ~全ては終結のため~』でした。
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