Marilyn Manson (マリリン・マンソン) 3枚目のアルバム「Mechanical Animals」。
前作「Antichrist Superstar」から2年。1度目にしたら頭から離れることがないジャケットだけでなく、音楽としても重要な位置をしめる1枚。
大ヒット映画「The Matrix」の重要な位置に収録曲「Rock Is Dead」が起用されたこともあり、初めてバンドに触れることになった人も多いはず。
Marilyn Mansonを聞くなら、まずこれは外せない! というアルバムです。
Mechanical Animals 収録曲概要
「Mechanical Animals」収録曲は以下の通り。
- Great Big White World
- The Dope Show
- Mechanical Animals
- Rock Is Dead
- Disassociative
- The Speed of Pain
- Posthuman
- I Want to Disappear
- I Don’t Like the Drugs (But the Drugs Like Me)
- New Model No. 15
- User Friendly
- Fundamentally Loathsome
- The Last Day on Earth
- Coma White
怪しい雰囲気は音にも現れていますが、ポップな要素も多い1枚。強烈な激しさからの移行は、聞きやすさにもつながっています。
敬遠される場合がありますが、メタルなどでも人を引きつけてきたアルバムには、必ずポップな要素があるもの。聞く人によってはどこが? ですが…。
当時はバンドとして同じ音を出さないというポリシーもあったみたいですけれど、うまく露出のタイミングにもあてはまったのが、このアルバムといえます。
手を差し伸べているわけではなくても、こちらからつなぎたくなる感じ。全体を通しての芯があるのも、クオリティーを上げている一因になっていますよ。
Great Big White World
怪しげな音と囁きにより始まる「Great Big White World」。(1曲目)
曲名の通り世界の始まりという感じで、いつの間にか入り込んでしまいます。このミディアムテンポで心を掴むというのも、この時期のバンドの強さでしょう。
All my stitches itch, my prescription’s low
I wish you were queen, just for today
「塗った後がかゆく、処方箋が足りないんだ。今日だけあなたが女王であってほしい」。白の世界へあなたを引きずり込む誘いの言葉。
怪しいし、話にのっちゃだめだと思っても、体はイエスと反応してしまいそうです。
The Dope Show
アルバムからのファーストシングル「The Dope Show」。(2曲目)
グラム要素が強く、聞いていると自然と口ずさんでしまう曲。言葉の意味が分からなかったとしても、気持ち良さを感じる人がいそうです。
They love you when you’re on all the covers
When you’re not, then they love another
「愛されるのはあなたが全てをカバーしている時。そうでない時は、彼れらは別の誰かを愛している」。意味が不明のようで、深くも感じる部分。
愛するからこそ、愛される。それでより深みにハマったいくというのは、ロックな感じがしました。ギブ・アンド・テイクを表現しているかのよう。
コピーする人も多いと思いますが、同じように表現するのはまず無理です。
Mechanical Animals
アルバム・タイトル曲「Mechanical Animals」。(3曲目)
壊れていく心境を表したような曲。自分でもその状況に気付いているのに、これでいいんだと思いが変化していくのが、寂しさを感じさせます。
This isn’t me, I’m not mechanical
I’m just a boy playing the suicide king
「これは私でも、機械でもない。私は自殺を演じている少年だから」。最後に”King”が付くのが権力を持った王でもあり、自分の意思にも感じます。
壊れているのに気付き、廃れていく…。今に聞いた方が切なく感じました。
Rock Is Dead
映画「The Matrix」にも起用された「Rock Is Dead」。(4曲目)
ドキドキするリズムに、一緒にコーラスをしたくなる歌。「Rock Is Dead」と歌ってはいるけれど、新たしいワクワクさえも感じさせます。
Rock! La, la, la, la, la, la
聞いていて楽しくなってしまうコーラス。歌詞は結構激しいことを言っているのですが、自分の思うように表現すればいいという感じでしょうか。
その時代でしか聞けないはやりの曲に対しての、皮肉にも聞こえます。他のジャンルにはない毒が入ることで、やっぱりロックはカッコいい! なと。
また、演っていることはシンプルでも、ゾクゾクとするのは最大の魅力ではないでしょうか。1度コピーすると、手癖のように弾いちゃったりする曲ですよ。
I Don’t Like the Drugs (But the Drugs Like Me)
言葉が強い「I Don’t Like the Drugs (But the Drugs Like Me)」。(9曲目)
メッセージソングとも取れますが、Marilyn Mansonが歌うと、別の意味があるんじゃないの? と感じてしまうのが面白い。
I don’t like the drugs but the drugs like me
「ドラッグは嫌いだが、俺のことを奴らは好きだ」。訳し方によっても意味合いがことなってくる部分。後半は「俺のようなドラッグ」ともできます。
改めて歌詞を見ながら聞いて、興味が強くなった曲。意味が全く分からずに聞いていた少年のころも好きでしたが、違う感覚で聞ける今も面白いです。
New Model No. 15
タイトル曲「Mechanical Animals」の続きを感じさせる「New Model No. 15」。(10曲目)
壊れてしまった自分が、新しくなっていく様子。No.15というのが、生まれ変わっても完全ではなく、繰り替えていることを想像させます。
I’m the new, I’m the new, new model
I’ve got nothing inside
「私は新しいx3 モデル。何も入っていない」。意思が入っていない肉の塊であるというのが、切ない思いを強くさせます。続く言葉がまたエグいんです。
皮肉がたっぷりというか、それしかない感じは、めちゃくちゃロック! メインになる曲ではないですが、楽器を弾く人ほど好きな人は多いかもしれません。
スタッカートが強めでブツッと切る形は、コピーしてみると楽しいですよ。
Coma White
「Great Big White World」で始まった世界が終わりを告げる「Coma White」。(14曲目)
ハッピーな終わりではなく、バットエンド。やり直したら変えられるのではなく、延々と繰り返すであろうというのが、やり切れなさを感じさせます。
緩和するどころか、より深い闇へと引きずり込まれる。寂しく切ない形であるのに、それでもいいかと思わせてしまうの人は、病んでいるのかもしれません。
But all the drugs in this world
Won’t save her from herself
「この世界の薬物は、彼女自身を救うことはない」。現実に引き戻される言葉。
このアルバムで表現しているのは白い粉の誘惑と、吸ったのか注入したのかは分かりませんが、幻覚を見ていた姿を表しているのかもですね。
あなたの選択は間違っていたと否定するのではなく、ただただ現実を突きつける。歌詞を見て聞いていくと、寂しくもあり、怖い世界が表現されていました。
それでも心に入り込んでくる内容。このアルバムが気に入ってしまう人は、分かっていても寂しさを求めているのかもしれませんね。
あとがき
制作時点では間に合っていませんが、MVとツアーからバンドに参加して後に加入したJohn 5。黄金期に移行するという意味でも、重要なアルバム。
今はなき、東京ベイNKホールで「Mechanical Animals」に伴う日本公演が行われましたが、見に行って衝撃を受けた記憶があります。派手さと説得力。
また、John 5がテレキャスでなく、Ibanez のAX series を使用していたのも、印象に強く残っています。結局買わなかったですが、めっちゃ検討したので…。
で、今も持っている j.custom を購入した気がします。前過ぎて記憶が曖昧ですが、自分の名前にも含まれる「J」が入るのが確か決め手になったような…。
話を戻して、近年のソロのイメージではなく、バンドが根本にあるということも、この時期にMarilyn Mansonが輝いていた理由の1つではないでしょうか。
定期的に聞くたくなるアルバム。その理由は出す音が他に対象がないでなく、ポップでカッコいいというのが理由な気がします。今からでもオススメです。
以上、『Marilyn Manson:Mechanical Animals ~心は永遠に壊れたまま…~』でした。
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