幾田りら (いくた りら) 2枚目のミニ・アルバム「Jukebox」。
前作「Rerise」から、1年半。YOASOBIではikuraとして活動する彼女。ユニットの結成月であり、飛躍となった「夜に駆ける」の前月にリリースされた1枚。
未完成な部分は多々ありますが、その歌声から魅力の片鱗を聞かせてくれます。
Jukebox 収録曲概要
「Jukebox」収録曲は以下の通り。
- おまじない
- 通り雨
- ロマンスの約束
- ラブレター
- 真夜中の君と
YOASOBIでのコンポーザーはAyaseですが、ソロは全て彼女自身によるもの。タイトルからして女の子っぽいかわいらしい形が、とても新鮮に見えます。
リリース当時はまだ19歳。未完成な部分は聞いていて感じ取れますが、シンガーソングライターとして着実に前へと進んでいることが伺える内容です。
また、収録された5曲で、全て異なる音の表現。任意でいろいろな音楽を楽しめる「Jukebox」とタイトルにしたのは、すごくいい選択ではないでしょうか。
人は日によって感覚が異なるからこそ、その時々で好きな曲を聞いてほしいな! の思いが込められているようにも聞こえました。
おまじない
もう私にはいらない「おまじない」。(1曲目)
いかにもシンガー・ソングライターっぽい曲。ポップで前に走り続けることを選んだ思いは、ライブでも映えるのは間違いないでしょう。
かんたんで、ギター初心者でもコピーしやすいというのも、大きなポイント!
重ねた手で三角を作った
飛行機に願いを込めるような
おまじないはもういらない
見た目的にそれっぽいけれど、願っているだけでは叶うことはない現実。おまじないを否定するのではなく、今の私にはいらないというのが前向きです。
十分な勇気はもらったからからこそ、後は私が自分でなんとかするよ! という感じではないでしょうか。曇った空が晴れてしまいそうな、明るさがあります。
通り雨
忘れてしまっていた思い「通り雨」。(2曲目)
ザーッと降るけれど一瞬で通り過ぎるからこそ、その存在をつい忘れてしまう通り雨。感情にも同じことがあるからこそ、比喩として表現するのが興味深い。
ただ与えられたものと歌うのではない、シンガー・ソングライターとして必要な資質。自分の言葉で歌えるというのは、その言葉への意味合いが強くなります。
あの時強がって泣けなかった
熱い雫が頬をつたう
その瞬間ではなく、後から思いだすからこそ出る涙。勢いはその場の雰囲気でないからこそ、熱いだけでなく濃い雫になっていることでしょう。
ついその存在自体を忘れてしまうけれど、時として表れる「通り雨 = 思い出」。楽しいだけでなく、寂しいことも急に出てくるのが、ギュッときます。
リズムと演奏の音には危うさがありますが、そこに心情が表現されているようにも聞こえますし、何よりも言葉のセンスを感じさせてくれる曲です。
ロマンスの約束
二人だけの「ロマンスの約束」。(3曲目)
一緒に道を進むことを選んだ君と、ずっと同じ時を過ごすための約束。束縛や拘束のような強いものではなく、思いがあればできることなのが優しさでしょう。
実に女の子らしい思いは、聞けばギュッと抱きしめてしまいそうです。
天秤はいつも傾くけど
今夜だけは同じでいたい
好き同士であっても、常に同じ状態ではあるとは限らないのが恋。いろんなことは一緒に過ごす中で起こるけれど、大切な時は感覚が一緒でありたいかなと。
今夜はいつもの夜というよりも、特別タイミングを表している気がします。
ずっとずっと君と一緒にいたい
約束をする理由。シンプルかつ、愛するからこそのロマンスの約束。お互いに特別な存在だからこそ、頭の片隅にでもあれば破ることはなさそうです。
強過ぎず、かといって弱くもないのは、誰かではないあなたへ恋をしているからでしょう。何回も繰り返して聞くことで、ジワジワとくる思いです。
ラブレター
この恋が実ることはない「ラブレター」。(4曲目)
現在進行系ではなく、恋を教えてくれたあなたへの手紙。叶わなかった恋こそずっと覚えているものですし、寂しいけれど大切な思い出。
心だけでつないだあなたとの恋は
実際ではなく、恋をした時に多くの人が人がするであろう想像。イメージの中だけでは恋人であり、特別な存在であったことが分かります。
Dear どこかのあなた いつまでも元気ていて
「dear = 親愛な」に続くは、通常はこない「どこかのあなた」。知らないや今ではない、恋をした当時のあなただからこその表現ではないでしょうか。
ラブレターはよく曲のテーマーになりますが、あまりないタイプの表現。無理やりな形でなくこの表現ができるのは、才能の片鱗を感じずにはいられません。
真夜中の君と
夜だけに現れる「真夜中の君と」。(5曲目)
君とは誰のことなのか、想像をわき立てる曲。聞く人によって変わってくる部分だと思いますが、誰もが寝静まった深夜というのがポイントになりそうです。
足りないのは君だけだよ
私だけが起きている深夜に訪れる君。その上で足りないよというのは、きっと想像の存在だからこそじゃないかなと。欲しいからこそ、想像するのでしょうし。
頭の中ではクリアに存在するけれど、実際には中々手に入ることはない君。いつか想像が実現すればいいとのと同時に、君とは自分がなりたい姿なのかも。
曲頭のコップの音など、深夜で他の存在がいないのを表現しているのも興味深い! きっと昼間であれば、大きくは響く音ではないですから。
あとがき
歌声はYOASOBIで感じる通り、実に魅力的! プラスして彼女自身のシンガー・ソングライターとしての表現が、とても興味深いのが特徴的です。
特にアレンジや演奏はもっとよくできるかなという部分があっても、「あっ! これは」と気付かせるには、十分過ぎるものを感じされてくれます。
その理由は誰々みたいや、取って付けたではなない、重要となる独自な個の部分があるから。表現者として、あるなしでは大きく変わってくる部分です。
小説を歌で表現するYOASOBI。コンポーザー Ayaseの担う部分は多いですが、そのイメージをリアルに表現できたのは、歌声とプラスがあったからでしょう。
たらればですが、例えYOASOBIの活動がなかったとしても、別のタイミングで見つかってであろう事は想像に難しくありません。そうなるのが自然な存在。
また、一旦は止まっていたソロも、並行した活動も現在は再開されています。経験も増えた中で、個人としてどんな音を聞かせてくれるのか楽しみです。
以上、『幾田りら:Jukebox ~1つずつで全て異なる思いの表現~』でした。
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