Lamb of God:Lamb of God ~止まったのではなく時計は再び動き始める~

Lamb of God:Lamb of God洋楽レビュー
洋楽レビュー

Lamb of God (ラム・オブ・ゴッド) 8枚目のアルバム「Lamb of God」。

Burn the Pries名義での「Legion: XX」を挟みましたが、前作「VII: Sturm und Drang」から約5年ぶり。バンドの原点に立ち返るべく、セルフタイトル。

クリス・アドラーが抜けたということで不安要素もありましたが、想像していた以上にがっつりとしたメタルを聞かせてくれます。

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Lamb of God 収録曲概要

「Lamb of God」収録曲は以下の通り。

  1. Memento Mori
  2. Checkmate
  3. Gears
  4. Reality Bath
  5. New Colossal Hate
  6. Resurrection Man
  7. Poison Dream (feat. Jamey Jasta)
  8. Routes (feat. Chuck Billy)
  9. Bloodshot Eyes
  10. On the Hook

8枚目にしてセルフタイトルというのは、メンバーの意気込みが伝わってきます。その証拠に、10曲の全てがMVまたは、リリックビデオを制作。

ポップスならわりとあることですが、メタルでは珍しい。しかもリリース時に全ての曲がそろっているというのは、勝負であり、自信作なんでしょう。

10曲で45分とコンパクトであるのに、メッセージ性の強さもありますが、聞き終わった時にグサッと疲労感のあるアルバムです。

Memento Mori

オープニング曲「Memento Mori」。(1曲目)

ラテン語で「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」、「死を忘るなかれ」の意味を持つ「Memento Mori」。静かな始まりが不気味に感じる曲。

バンドとして回帰するためにもぴったりで、アルバムの始まりにふさわしい。

I fight it the same, don’t waste this day
Wake up, wake up, wake up

「俺も戦う。今日を無駄にするな! 起きろ、起きろ、目を覚ませ!」。人生には限りがあるのだから、テキトーな時間はないんだと言っているかのよう。

バンドとして提示するだけでなく、自分たちに言い聞かせているのかもですね。

Checkmate

メッセージ性が強く、先行配信されていた「Checkmate」。(2曲目)

アメリカのバンドだからこその思いを、包み隠さずに表現した曲。詰みというのではなく、このままじゃダメだから声をあげようぜ! という感じでしょうか。

悲鳴でもあり叫びのような歌声がメッセージとともに、グサグサと耳から心へと突き刺さってきます。

Repeat, echo, refrain
No, never again
The American scream
Never again

「繰り返し、反響、断つ。二度と来ない。アメリカの叫び。二度とない…」。文章として見せるのではなく、単語として繰り出すからこそ、より強い思いに。

曲の最後に「二度とない」は、今のことであって、全ての終わりではないように聞こえます。アルバムジャケットに通じるMVは、見逃せません。

Gears

聞く人によって捉え方が変わるであろう「Gears」。(3曲目)

社会の中でギア(仕組み)に組み込まれるのが当然という方もいれば、不満となってたまっていく人もいる。だからこそ、興味深いテーマを持った曲。

この曲で表現しているのは不満が強いからこそ、強い叫びの声です。

(So scared to lose it all)

「全てを失うのは怖い」。歌声ではなく、ささやく部分。不満には思いつつも、反旗を上げることで全てを失うことは避けたい、ずるさであり弱さ。

強さだけでないからこそ、人は感情を持っているということなんでしょうね。

Routes (feat. Chuck Billy)

TestamentのボーカルChuck Billyをフィーチャリングした「Routes (feat. Chuck Billy)」。(8曲目)

アルバムの中で一番ヘビーメタルな曲。だからこそChuck Billyに参加することになったのかも…。どのバンドで、フィーチャリングであっても変わらない。

ある意味では不器用ではあるけれど、芯の強さがこの曲に似合います。

In the night, drums are beating
On and on, never ending

「夜になると太鼓が鳴っている。終わらずに絶え間なく」。「Routes = 道、経路」であるから、繰り返すというのが必然なのでしょう。

歌詞にあるような状況が続いていくのは、決して良いとはいえなくても…。

On the Hook

アルバムのラストを飾る「On the Hook」。(10曲目)

最後に問題提議の曲。窮地に陥っているいる人たちのことを歌っているからこそ、重さがあります。最後にスパッと終わるのは、はかなさの表現でしょうか。

Prescription for a homicide
They’re never worth a second look

「殺人の処方箋。彼れらは二度と見ることのない」。殺されて死ぬから同じものを見られないのは当たり前なのですが、逆に怖さを感じます。

他のバンドであれば、続く物語が作れそうな曲。Lamb of Godの場合は分かりませんが、グサッと突き刺さったままでない、続きが聞いてみたいですね。

あとがき

アルバムを聞いて感じるのは、ドラムの音の変化。ドラマーが変わっているので当然なのですが、音質は意図的に変化させた部分もありそう…。

クリス・アドラーの時よりもHIghが全面に出てくる感じは、熱心にバンドを追ってきた人ほど、変化を強く感じるのではないでしょうか。

セルフタイトルであるのは原点に回帰というのは戻るというだけでなく、ここからまたバンドが新たに始まるということなのかもですね。

アルバム・ジャケットの時計の時間も、時が戻ったのだけではない、また新たに進み始めたというのを表現しているように感じました。

ヘッドホンで聞いていると顕著な、聞いた後の残る疲労感。それでも最後まで途切れずに聞きたくなるからこそ、メタルの中でトップランナーなのでしょう。

 

以上、『Lamb of God:Lamb of God ~止まったのではなく時計は再び動き始める~』でした。


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