Lady A (レディ・エー) 9枚目のアルバム「What A Song Can Do (Chapter One)」。
前作「Ocean」から1年7カ月。ジョージ・フロイド 暴行死事件の後、人種差別を想像させるということで、20年6月にLady AntebellumからLady Aに改名。
途中「Ocean」「On This Winter’s Night」デラックス版のリリースはありましが、Lady A名義になってからは、初のオリジナル・アルバム。
「What A Song Can Do = 歌ができること」のタイトル通り、切なさから楽しさまで、いろいろな可能性を秘めた気持ちのいい音を聞かせてくれます。
What A Song Can Do (Chapter One) 収録曲概要
「What A Song Can Do (Chapter One)」収録曲は以下の通り。
- Talk Of This Town
- What A Song Can Do
- Like A Lady
- Things He Handed Down
- Fire
- Chance Of Rain
- Worship What I Hate
リリース時点でLady A名義として、初の配信シングル「Like a Lady」。結果的に今作の先行シングルとなっているのも、興味深いところです。
Lady Aとして20年以上活動していたAnita White(アニタ・ホワイト)との商標問題で、まだ決着したとは告知されていない裁判の行方。
シングルはリリースしてもアルバムは状況が落ち着くまで難しいかなと想像していましたが、いい意味で裏切る形でのリリース。
とは言っても7曲ですので、EPという扱いにしても良かったはず。それでもアルバムすることに、きっと大きな意味を持っているのではないでしょうか。
またアメリカ国内のみですが、21年7月10日から10月10日まで37本のツアーを実施予定。完全に前に進むということを、提示しているかのようです。
Talk Of This Town
したくはないんだ「Talk Of This Town」。(1曲目)
タイトルからはハッピーな思い出かな? と思いきや、全く逆の形。自分が住んでいた街の話をしたくないというのは、少し寂しさを感じさせます。
I don’t wanna be the talk of this town anymore
「もうこの街を話題に話したくないんだ」。過去を振り返りたくないのは、苦い思い出が残っているから。その土地を見て振り返ることって確かにあります。
自分は親元にいる時転勤族だったので、余計にそうなのかも…。
だたし、この曲で歌っているのは過去の思い出したくないことを悔いているのではなく、これからの未来に同じことをしないようにということなのかなと。
一度体験していることは、反面教師にすればいいのですから。
Baby, I could get over you
「あなたを乗り越えられた」。途中に出てくる歌詞からも、そうなのかなと。
完全に乗り越えられた時、今は話したくないに変化がでてくるかもです。
What A Song Can Do
アルバム・タイトル曲「What A Song Can Do」。(2曲目)
音楽ができる素晴らしさを歌った曲。詩だけではなく、音と絡みあいメロディーとなり、曲になる。多くの人の心を揺さぶらせてくれるのが音楽。
聞くだけではなく、プレイし、曲を作る喜びも表現しているのもポイント! やっぱり、作る側が楽しんでいないと、聞いた側には伝わらないですから。
Makes you wanna take a Sunday drive
「日曜日にドライブをしたくなる」。冒頭にあるこれに限らずですが、歌を聞くからこそ行動をしたり、何かをしたくなるもの。
感情を動かすというのは、歌の持つ不思議な力ではないでしょうか。
Crazy what a song can do
「曲ができることはすごいんだ」。何かを思い出す時も、その情景とともに浮かんでくることのある歌。逆に何か聞いて、思い出すこともありますよね。
改めて歌詞として見ると、音楽の持つ力はすごいなと感じてしまいます。
何よりそれを知っているミュージシャンが歌として表現するからこそ、音楽はより感情を揺さぶられるのではないでしょうか? なるほどねと感じる世界観です。
Things He Handed Down
![]() | 「Things He Handed Down」 Lyric VideoをApple Musicで観る |
これが「Things He Handed Down」。(4曲目)
その対象は異なっても、誰にでもいるであろう影響を与えてくれた人。「He = 彼」であること、歌詞の内容からすると、その対象はお父さんかなと。
一番最初に影響を受けるのは通常は家族ですから、余計にそんな感じです。
Don’t mix wine with whiskey
「ワインとウイスキーを混ぜちゃダメだよ」。見た目はワインでも、アルコール度数がウイスキーで高いから、調子にのると悪酔いしちゃうということなと。
すっごく重要なこともあるけれど、正直知らなくてもいいことまで教えてくれる。憧れの影響ではなく、関係性の深さも感じさせてくれます。
It’s his words that mean most to me now
「今自分にとって意味のあるのは彼の言葉なんだ」。影響があった人のことを思い出す。これは遠くに住むというよりも、同じ世界にいないという感じかなと。
毎日でなくても、何かのタイミングで思い出す。歌で表現して思い出すからこそ、歌詞には含まえれていない”ありがとう”を伝えているようにも聞こえます。
Fire
自分は「Fire」。(5曲目)
いろいろな意味がある「Fire」。英語の面白い部分でもありますが、この曲で表現しているのは火や炎だけではないのが、興味深く感じてしまいます。
同じ言葉でもパートによって意味を変えてきているのが、実に面白い曲です。
You’re gonna find what you’re made of walking through fire
「火の中を歩くことで、自分が知ることができる」。捉え方次第で、いろいろなことが考えられる部分。追い詰められているようで、そうでもない気もする。
面白いなと感じる同時に、歌だからこそできる変化を表現しているのかも…。自分の英語力がもっと上がっていけば、さらに楽しめる曲になりそうです。
Chance Of Rain
まだ自分にあるのは「Chance Of Rain」。(6曲目)
メロディーとハーモニーがキレイですが、描かれている世界は非常に難解な曲。何を表現しているのか、自分には分かり得ないからこそ、逆に興味がわきます。
‘Cause a chance of rain
「雨になる可能性があるよ」。雨降って地固まるということかなと。すごく何気ないことを歌詞にしているからこそ、逆に解釈が難しい…。
でも、こういう曲があるからこそもっと英語を頑張らないと! と感じてしまうのも事実。歌詞だけはもちろん、歌になっても難しいから、知りたくなる。
逆にそこを面白なと感じてて追ってしまう自分は、マゾなのかもです。
Worship What I Hate
タイトルが印象的な「Worship What I Hate」。(7曲目)
嫌いなのに崇拝するすから…。タイトルのインパクトでは、グループがこれまでに発表してきた曲の中でも、トップクラスかも…。
ですが、曲を聴きながら歌詞も見て行くと、納得してしまいます。
When it really needs grace
「本当に恵みが必要な時」。神頼みであるのか、それとも別な対象なのかはわかりませんが、祈りをする際に何に対してというのはなくちゃいます。
軽く何かをお願いではなく、本当に必要な時なんて、特にです。
My eyes couldn’t look away
I didn’t even realize I worshiped what I hate
「目をそらすことができなかったの。嫌いなものに崇拝していることにも気付かなかった」。本来だったら相手にもしないけれど、今は関係なく崇拝する。
本頭に必要が単に言葉ではなく、鬼気迫るものであることが分かります。
どうしもようなくなって祈りたくなるというのは、多くの人にとってあること。現在の状況も加味したのを感じるからこそ、思いがよりリアルに聞こえます。
文字ではなく、歌にするからこそ伝わる情景の表現。興味深く聞ける曲です。
あとがき
アルバム・タイトル「What A Song Can Do = 歌ができること」。内容を含めて納得しちゃいますが、気になるのは続く言葉の「Chapter One」。
あえて記述するからには、twoがあってもおかしくはありません。ジャケットもLP的ですし、収録時間の25分というのも含め、続きを期待してしまいます。
今作はレコードでいうところのA面だと考えると、何か納得してしまうものがあります。それでいてボリューム不足かと言えば、全く異なります。
また、初期のカントリー色が強い楽曲もポイント! 今作は改名後の初のオリジナル・アルバムですから、本質は変わらないという意思もあるのかも…。
聞いていて心が休まる内容のアルバム。正に「What A Song Can Do = 歌ができること」。既存ファンはもちろん、初めて触れるのにもいい1枚です。
以上、『Lady A:What A Song Can Do (Chapter One) ~その力を感じて~』でした。
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JOE (ジョウ)
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