KATZE (カッツェ) 4枚目のアルバム「LOVE IS HERE」。
前作「Good Times Bad Times」から8カ月。「BLIND」でデビューし、短期間で嵐のようの駆け抜けていったバンドのラスト・オリジナル・アルバム。
円熟味が増し、活動の中での全ての要素が含まれている1枚です。
LOVE IS HERE 収録曲概要
「LOVE IS HERE」収録曲は以下の通り。
- LIBERTY
- BRAND NEW DAY
- RIOT (OF THE WORLD)
- DEAR LOSERS-見事な弱者
- SILENT
- STAY OR GO!
- CLOUDY LATER RAIN
- HELLO, I LOVE YOU
- 僕の顔 (WE ARE THE CHILDREN)
- AGAIN
- LOVE IS HERE
これまでの3枚とは異なり、1曲目はインストゥルメンタル「LIBERTY = 自由 」。アルバム・タイトルが「LOVE IS HERE = 愛はここにある」。
結果からの後付にはなってしまいますが、収録されている曲を含め、KATZEとして最後のアルバムになることが分かっていた内容に聞こえます。
ジャケットも、ここに俺たちの足跡を残しておくよという感じ。リリース翌年に発表、解散となったのは、結果を分かっていても変化を期待していたのかも…。
聞く人により感覚は変わってくるとは思いますが、4枚の中で一番ストーリーを感じるアルバムです。
BRAND NEW DAY
聞けばポジティブにならずにはいられない「BRAND NEW DAY」。(2曲目)
新しい日を楽しもうという思い。しかも誰かにすがるのではなく、自分たちの手で切り開いていく。自然な形で、無理やり感がないのがすごくいい感じです。
New Day, New Time,
New Love, New world
始めよう 何だってできるさ
過去にあったものではなく、全てが新しい。誰だって始められるし、できそうな気がしてきてしまいます。コーラスをうまく使った、本当に楽しい曲。
今の沈んだ状況にこそ、この曲にある思いが必要なのかもしれません。
DEAR LOSERS-見事な弱者
サブタイトルも含めての曲名が印象的な「DEAR LOSERS-見事な弱者」。(4曲目)
アコースティックのセッションという感じが、カッコいい曲。自分たちは決して強くなんかない。弱いと知っているからこその、思いがこもっています。
見事な弱者なんて、踏み続けらているだけではなれません。
どんな所にだって幸福はくるさ
僕の所にも そうさ 君の上にも
自分に何ができるか知り、下を見続けることはしないからこその未来。単に待っているだけではないというのも、ポイントではないでしょうか。
アコースティックでシンプルなのですが、すごくパワーを感じる曲です。
SILENT
ベース高山克彬が歌うロックバラード「SILENT」。(5曲目)
好きな女性の前で格好つけるのではなく、素直な思い。男気のあふれたラブソングは、大人になってから聞いた方が心に響いてきます。
誇れるものは
何もないけど愛してる…
愛することに理由なんていらないし、自分が優れているわけではないのも知っている。それでも君を愛しているんだというのに、聞いていてぐっときます。
少しクセがある声ですが、そこがいい! 男性がこの曲を聞いていると、好きだった、好きな女性を思い浮かべてしまうと思いますよ。
STAY OR GO!
聞けば「行くしかないでしょ!」 となることが間違いなしの「STAY OR GO!」。(6曲目)
2分50秒の短い尺の中に、ロックならではの思いがこもっている曲。くだらない事を考えたり、するだけで留まっていていいの? と感じさせてくれます。
プライドを売り飛ばし
もうけた金はいらない
冒頭での歌詞はテーマとしてだけでなく、実際にメンバーが感じていたことなのかも…。華やかに見えるロック・バンドだからこそ、いろいろありますよね。
見えない 探して
もがきつづけるより
僕を愛してたい…
誰かに愛されるよりも先に、自分自身を。ここには偽りの姿でないようにという思いが、含まれているのかもしれませんね。
他のバンドでは表現が難しい、KATZEならではのロックナンバーです。
僕の顔 (WE ARE THE CHILDREN)
セッションの感じが実にロックな「僕の顔 (WE ARE THE CHILDREN)」。(9曲目)
シンプルなアレンジだからこそ、生きている曲。聞いていると手拍子と同時に、一緒に歌いたくなってしまいます。今あまりないタイプの曲かも…。
僕の顔はどんな顔だろう
本当の顔はどんな顔だろう
きっとぶさいくな顔だけど
僕はそいつが大好きさ…
特別にカッコよくないかもしれない。それでも自分が大好きさというのが、カッコいい! 僕の顔とはなってますけれど、ナルシストじゃなく、”心”ですね。
ライブ感のある曲は楽しくもあり、カッコいい! この思いはいいですね。
AGAIN
3枚目のシングル「AGAIN」。(10曲目)
ポップでありながら寂しさがあり、”また”という思いが心に響く曲。祈るような願いが切ないのですが、そこがまたいいんです。
愛する友よありがとう
愛する君よありがとう
また もう一度
僕が僕になれる気がする…
いろいろな思いがこもったありがとう。繰り返される「Again = 再度、再び」は叫びであり、祈りがこもっているように聞こえます。
本来の僕になるために、解散という道を選んだのかも…。KATZEの背景まで考えるとより切なくなりますが、寂しさがあるからこその哀愁が聞けます。
全ての言葉に感情がのっている歌は、ロックだからこそ表現ができる世界じゃないでしょうか。
LOVE IS HERE
ラストを飾るアルバム・タイトル曲「LOVE IS HERE」。(11曲目)
迷いがあるからこそ考えることをし、明日を迎えることができる。弱いからこそ強くなれるという思いは、文章のための言葉ではなく、本心なのでしょう。
僕がほしい物は
いつでもここにあるさ…
このあとに続くのが「LOVE IS HERE = 愛はここにある」。カッコつけているのではなく、その言葉しかなかったという感じでしょうか。
最後のオリジナル・アルバムでの最終曲。うまく収まりすぎ。もうちょっとカッコつけていいから、バンドが続いてほしかったと感じずにはいられません。
あとがき
既発の3枚のアルバムで生まれた、KATZEだからこの魅力。全ての集大成を集めたらこの内容になりましたという形の1枚。カッコいいロックが聞けます。
多くの人に影響を残しつつ、短命に終わってしまったKATZE。正直に生き過ぎてしまったからこそ、きっと嵐のように過ぎ去っていってしまったのでしょう。
ロック過ぎる活動は、今であってももったいなさを感じます。それでもバンドが残していた楽曲は、今も変わらずに輝き続けている。実にロックです。
KATZEは1枚ではなく、全てのアルバムを聞くからこそ真価が現れるバンド。どれも今からでも遅くありませんので、通して聞くことをオススメします。
以上、『KATZE:LOVE IS HERE ~俺たちの思いをここに残していくよ~』でした。
KATZE 関連記事
1988/10/21 release 1st Album
KATZE:BLIND ~今も目をつぶると君が見える気がした… ~
1989/6/1 release 2nd Album
KATZE:STAY FREE ~あなただけは変わらないままでいて…~
1990/3/21 release 3rd Album
KATZE:Good Times Bad Times ~同じ時間なら楽しんじゃおうぜ! ~
1990/11/21 release 4th Album
KATZE:LOVE IS HERE ~俺たちの思いをここに残していくよ~ ←今ココ
JOE (ジョウ)
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