HYDE (ハイド) 4枚目のアルバム「anti」。
言わずとしれたL’Arc〜en〜Cielのボーカリスト。ソロアルバムとして10年振り。オリジナル・アルバムで言えば、「FAITH」から実に13年振り!
その間にL’Arc〜en〜CielやVAMPSの活動があったので、ソロでの活動はそんなにも久しぶりなんだと、確認をしていてびっくりしました。
また、CDは6月19日。サブスク配信は1カ月以上前の5月3日に開始されたという、他にはない珍しいリリースの方法が取られたアルバム。
曲単位の先行配信は珍しくはないですが、アルバムをまるごと1カ月以上前に全てというのは面白い試みであり、挑戦的でもあります。
リリース戦略だけでなく、とがったカッコいいロックアルバムです。
anti 収録曲概要
「anti」収録曲は以下の通り。
- WHO’S GONNA SAVE US
- MAD QUALIA
- SICK (feat. Matt B)
- ANOTHER MOMENT
- FAKE DIVINE
- AFTER LIGHT
- OUT
- ZIPANG (feat. YOSHIKI)
- SET IN STONE
- LION
- TWO FACE
- MIDNIGHT CELEBRATION (II anti mix)
- ORDINARY WORLD
1、2,5、6,8曲目はシングル。12曲目はカップリングのアルバムバージョン。13曲目もカップリングで、Duran Duranのカバー。
また、カバーがアルバムに収録されるのは、今作が初となっています。既発曲の収録が多いからこそ、配信を早めることができたのかもしれませんね。
また、配信ver.で特徴なのは、全曲英語詞での収録であること。
1枚目のアルバム「ROENTGEN」も後から全曲英語詞ver.も発売されましたが、最初からと後からでは違いがありますよね。今回の方が圧倒的に自然です。
BARKSのインタビューでもHYDE本人が語っていますが、海外での活動を意識したアルバム内容。特にアメリカでの活動を意識していますよね。
海外の活動は意識しつつ、好きな範囲内というのは、実にHYDEらしいです。
MAD QUALIA
![]() | 「MAD QUALIA (Japanese Version)」 フルMVをApple Musicで観る |
12枚目のシングルで、ゲーム「デビルメイクライ5」イメージソング「MAD QUALIA」。(2曲目)
モダンメタルといっていい、素直にカッコいい曲。「MAD QUALIA」と叫ぶ部分に、曲名通りの怒りの感覚が感じられます。
冷静になれずに自分を見失うほと加速していく感覚に襲われて、自分は狂っているんじゃないか? と感じても、答えはない…。暗闇に落ちて行くんです。
難しい歌詞をいろいろな歌い方でも感情表現をしているのに、グッと心が引かれる曲。怒りに加えて嘆いているのに、美しさを感じます。
リフがカッコいいので、ギタリストは気になる人が多いと思いますよ。
AFTER LIGHT
![]() | 「AFTER LIGHT」 フルMVをApple Musicで観る |
9枚目のシングル「AFTER LIGHT」。(6曲目)
日本語で「答えは苦痛の先に」と英詩の中に出てくるのが、印象的な曲。「AFTER LIGHT = 光のあと」であるのに、破壊と再構築をすると続く。
暗闇から抜け出てもまた暗闇へと戻るからこそ、破壊と再構築を繰り返すというのは、ロックならではの切ない思い。また、コーラスの叫びが切ない…。
そのまま聞いても切なく聞こえると思いますが、歌詞の意味を考えてみると、より寂しさが増し、心に響く曲になるのは間違いありません。
痛いけれど、やり切れない思いが詰まった思いに、ロックを感じさせます。
OUT
自分に発破をかけることで、恐れることをやめた「OUT」。(7曲目)
ミディアムテンポの重い曲。日本的な部分も残しつつ、海外のバンドの音に近いイメージ。とはいえ、海外のバンドであれば、デスボイスで歌いそう…。
HYDEを知らない人が聞いたら、日本のアーティストだとは思わないかもしれません。ズバッとくる形ではないですが、じわじわとくる曲。
「I’m not afraid = 怖くない」と何回も繰り返すのが、印象に残ります。
ZIPANG (feat. YOSHIKI)
![]() | 「ZIPANG (Japanese Version)」 フルMVをApple Musicで観る |
11枚目のシングル「ZIPANG (feat. YOSHIKI)」。(8曲目)
YOSHIKIのピアノが曲を引き立ててます。以前コラボをした「Red Swan」でも分かる通り、YOSHIKIとのコラボが悪くなるはずがありません。
ピアノはYOSHIKIなんですけれど、作曲はしていないことが分かるかららこそ、聞いてとても興味深い。終わりの、消えて行く感じがたまりません。
今作のシングルは日本語バージョンもある曲がありますが、元は同じでも歌詞の内容が違うのも特徴。特にZIPANGは、内容の違いが結構大きく感じました。
日本語から英語に変更しただけで、てっきり歌詞は同じだと思っていました。違いを比べてみると、より楽しめる曲になるのではないでしょうか。
TWO FACE
今回のアルバムの中で特に気に入った「TWO FACE」。(11曲目)
「TWO FACE = 2つの顔」ですけれど、歌詞が面白い曲。人が2人いるのではなく、1人の中の別の顔があって、自分の一部と歌っているんです。
人によって解釈は変わってくると思いますが、とても面白い歌詞。特に英詞で歌詞を表示してくれるのは、個人的にとてもありがたい対応。
英詞は特にしっかりと耳を傾けて聞いていても、歌になると聞き取れない場合があるので…。知らない言葉が出てくると、どんどん聞き取れなくなります。
また、聞くだけでなく、歌詞を見て世界観が分かる楽しみがあります。カラオケなどで歌うきっかけにもなるので、歌詞の表示は今後はマストかなと。
「TWO FACE」が1番今回のアルバムでいいと思ったのは、ガツンとロックしているだけでなく、HYDEの声がめちゃくちゃにセクシーであること。
特にサビの音域はHYDEの声のおいしい音域になっていて、しびれますよ。
ORDINARY WORLD
アルバムのラストを飾るのは、Duran Duranの名曲「ORDINARY WORLD」(13曲目)
名曲のカバーというのは知っている方も多い反面、オリジナルを100として比較をされて聞かれるので、思っている以上にリスクもある選曲方法。
何年も前にカバーが全盛の頃があって、誰もがこぞってリリースをしていた時期がありました。ですが、大抵はひどいコピー曲ばかりでしたよね。
カバーは名曲であればあるほど、安易に手を出すと痛い目にあうんです。
その点、HYDE ver.の「ORDINARY WORLD」はとてもいい感じ! アレンジを必要以上に変えることはせずに、さも自分の曲のようにしてしまっています。
声質もあってますし、原曲を知らない人が聞いたら、オリジナルで通りますよ。
アルバムのラストにカバーを持ってくるのは、出来に絶対的な自信がなければできません。実際に聞けばめっちゃくちゃカッコいいのですから、納得!
あとがき
ソロとして13年ぶりのオリジナル・アルバム。L’Arc〜en〜Cielというよりも、VAMPSの流れを組んだ、ロックアルバムとなっていました。
とはいえ、VAMPSでも同じことができたかというと、そうは思いません。やっぱり13年ぶりとなる今作は、HYDEならではのソロアルバムだと言えます。
近年のL’Arc〜en〜Cielは、ポップな感じが強くなっていますよね。かっこいいですけれど、ロックなHYDEを聞きたい方には、特にオススメができます。
既発曲は多くても全体を通して聞くと、異なった印象をきっと感じるのではないでしょうか? 自分は大きく変わりましたよ。
邦楽を代表するロックアルバムとして、とてもかっこいいアルバムです。
以上、『HYDE:anti ~世界を震撼させる準備が今できた~』でした。
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JOE (ジョウ)
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