ギヴン 1枚目のミニ・アルバム「gift」。
表記は英単語に変わりますが、劇中に登場するバンド「given」の曲をまとめたもの。音が重要となるアニメでしたから、出るべくしてリリースされた音源。
ギブンは今までにもあったバンドだけでなく、ボーイズラブも描いた作品。少し特殊な世界だからこその、切ない思いも詰まった歌が聞けます。
gift 収録曲概要
「gift」収録曲は以下の通り。
- 夜が明ける
- へたくそ
- ステージから君に捧ぐ
- 冬のはなし
- まるつけ
- 夜が明ける -Instrumental-
- へたくそ -Instrumental-
- ステージから君に捧ぐ -Instrumental-
昨年両A面シングルとしてリリースされた4、5曲目に前の3曲が追加された形。経緯だけ見ると味気なさを感じるかもですが、とてもうまくはまっています。
また、5曲で20分というのは多くの場合、MCを含めて対バンの持ち時間に収まる形。ギヴンの世界を忠実に表現するという意味でもぴったり!
意図があるかは別として、この形になるためだったというような内容。リリース前に先行で1曲づつ配信されましたが、まとまることでより強力に聞こえます。
夜が明ける
「映画 ギヴン」劇中歌「夜が明ける」。(1曲目)
自分の意思とは関係なく時間は進み、開けていく夜。明日がくるのは未来でもあるのに、寂しさが伴う曲。変えたい思いも聞けるのが、逆に切なくも感じます。
まだ誰も叶うか分からぬ願いを
人は希望と呼ぶ
確かにという感じ。そでも希望があるからこそ、人は強くなれるのも事実。毎日夜は開けていくのだから、たまにはいつもと違う日があってもと感じさせます。
「夜が開けた」ではなく、「夜は明ける」。結果としては同じことであってもその思いは異なるというのが、興味深く感じました。
ミニ・アルバムの1曲目として、聞いた人のつかみはバッチリです。
へたくそ
タイトルからして目を引く「へたくそ」。(2曲目)
思うように素直になれない心を表現した曲。誰かに言われるのではなく、自分で「下手くそ」と表現するのが面白い! また、悲観した思いではないのもポイント!
いつも僕は下手くそ
きっと君も下手くそ
どうせ僕ら下手くそだろ
自分だけじゃない。「君もきっとそうだろ?」というのが、救いというよりも喜びなんじゃないでしょうか。曲名からしてですが、面白い表現方法です。
ライブ映えもしそうですし、学園祭とかでコピーして披露しても面白いかも…。
ステージから君に捧ぐ
スタッカートが印象的な「ステージから君に捧ぐ」。(3曲目)
がっつりと音を切ってくるので、最初に聞いた時にインパクトを残す曲。ステージは特別な場所。だからこそ、捧げられることがあるという感じでしょうか。
飲み込んでは 溜め込むぐちゃぐちゃも
リズムに乗せて今君に投げつける
思いを投げつけるだけでなく、君の過ごした日々の話しを聞かせてと続くのが興味深い。誰でもない、君にだけは届いてほしい思いと、受け止めたい感情。
死んでしまったES330の前の持ち主 由紀への思いかなと。もう会えないのだけど、ステージという特別な場所からなら、声が届くよね? という感じです。
ストーリーを知っているからこそ情景が想像でき、ギュッとした思いを感じる曲。このミニ・アルバムを聞いて気になった人は、アニメも見てほしいです。
また、音をがっつりと切らないと全く違う形になるので、個人でのミュート練習。音がうまくまとまらないバンドは、練習曲に向いていますよ。
冬のはなし
テレビアニメ「ギヴン」劇中歌「冬のはなし」。(4曲目)
アニメのライブシーンで、重要な位置をしめた曲。歌詞もできず、インストゥルメンタルになることろでしたが、ステージ上で最後まで歌いきった詩。
演奏後に真冬がステージからはけ、上ノ山との口づけは衝撃的でした。正直いえばインストになるような曲ではないですが、そこは見ないのがいいんです。
離れた誰かと誰かがいたこと
ただそれだけのはなし
歌ってはいるけれど”ただ”ではない思い。それでも過去を引きずるのをやめて乗り越えるのは、未来を見るために必要なこと。複雑な思いが絡みあった曲。
今と形は変わるけれど、永遠に心の中で生きるという思いに救われます。普通の人からしたら特殊な恋も、純粋な思いであるのは変わりませんでした。
また、曲終わりにアンプからのノイズをボリュームを絞って消すのが1つの終わりであり、新しい恋の始まりを感じさせます。ノイズのうまい表現方法。
感情がのった歌声は、当事者でなくても情景が浮かんでくるかのようです。
まるつけ
テレビアニメ「ギヴン」エンディング・テーマ「まるつけ」。(5曲目)
センチミリメンタル 1枚目のシングル「キヅアト」のカップリングでは温詞ボーカル、ピアノ演奏アレンジだったのに対して、こちらはバンドの音。
同じ曲であっても、異なる感覚で聞けるのもポイント! 変化が興味深いです。
僕らはどうかな 上手いこと
「恋愛」出来てるかな
自分の思いだけでなく、確認したいのが恋ですね。アニメを見ているのも影響しているでしょうけれど、歌詞の重要となる部分が異なって聞こえるのも面白い。
「。 = まるつけ」。これからも続いていくかもしれませんが、文章でいえば一区切りとなる場面。いろいろな想像をできる部分がある、いいタイトルです。
あとがき
バンド givenのボーカル兼ギター 佐藤真冬役の声優「矢野奨吾」。歌声が大きく揺れるのですが、そこがまたメッセージの強い感情を表現しています。
女性だとRoselia、Poppin’Partyなど、リアルバンドの注目度も高いアニメ音楽。男性もいますが、givenがガチで存在できたら突出したものになりそう…。
アニメだからこその良さというのもありますが、リアルgivenの存在も期待したくなってしまうミニ・アルバムの出来でした。
また、映画館は滅多に行かないのですが、「映画 ギヴン」が気になります。今が出かけやすい状況ならば別ですが、これは迷いどころですね。
とはいえ、もっぱら自宅のテレビで見る人が、映画館に行くことを検討してしまう内容の1枚。普段はアニメを敬遠する人にも、聞くのをオススメします。
以上、『ギヴン:gift ~僕らの音を記録した君へのプレゼント~』でした。
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JOE (ジョウ)
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