GARNiDELiA (ガルニデリア) 5枚目のアルバム「起死回生」。
4枚目「響喜乱舞」から2年2カ月。一昨年末にベスト盤「GARNiDELiA BEST」をリリースし、ユニットとして新たなる音の表現。
途中に配信シングル「star trail」「Secret Party」を挟さみつつ提示されたのは、GARNiDELiAならではのデジタルポップな音。
一聴のインパクトは恐らくあえて抑えたような形になっていますが、聞くほどにジワジワと耳から侵食してくるようなサウンドです。
起死回生 収録曲概要
「起死回生」収録曲は以下の通り。
- 起死回生
- IDENtity
- Light your heart up
- Beyond the sky
- 怪物の夢
- Secret Party
- 宵闇胡蝶
- Never ever
- star trail
- タカラモノ
- LoveLifeLogic
配信はありましたが、CDの盤としてのシングルが収録されないのは、アルバムとして今作が初。音楽を聞く環境の変化が表れている形。
ユニットとしても新たな表現の始まりであり、既存のことに拘り過ぎてしまうと一気に後退してしまうのも、音楽業界。厳しい環境でもあります
そこを「起死回生 = 一気に良い方向に立て直すこと」というアルバム・タイトルにしたのは、ユニットとして進化して、前に行く思いを感じました。
四文字熟語は扱いが難しいと思いますが、すごくいいタイトルを付けたのではないでしょうか。前作「響喜乱舞」もでしたが、提示の仕方がうまいです。
起死回生
アルバム・タイトル曲「起死回生」。(1曲目)
一つの世界が終わり、新しい章に踏み込んでいく。ベスト盤で一旦の区切りを見せましたが、またGARNiDELiAとして続いていくよのメッセージがある曲。
新しい章に向かって起死回生というのは、私たちの望んでいるものは届いていないんだ! とう野心のような思いを感じさせます。
Let’s start from end in another way
We can be anything we like
「別の方法で終わりから始めてみるよ。私たちは何にでもなれるから」。ここから上がるしかないし、どんな姿にも変わっていけるんだの思い。
今までの見せてきた状態だけではなく、変化することを恐れないということではないでしょうか。意思表示として必要である曲で、アルバムであるのかも…。
英詩の部分に本質が描かれているような形の歌詞が、興味深い曲です。
IDENtity
私だけの人生を生きる「IDENtity」。(2曲目)
GARNiDELiAとしての意思も感じさせる曲。誰かに左右はされないし、私は誰かでもないからあなたに殺すことはできないというのは、強い意思でしょうか。
聞き方によって、いろいろな意味合いを感じさせてくれる曲です。
圧倒的に絶対的に
主人公は私しかいない
自分勝手ではなく、絶対的な自分。アーティストにとって必要な部分。その言葉だけでなく、曲としてしまうことに聞いていて面白みを感じさせます。
人のよって好みはあるとはいえ、こんなのどうですか? や、とって付けたような言葉の歌なんて、なんの魅力も感じさせないですから…。
代わりがいくらでもいるのではなく、私だから。自らで発破をかける思いでもあるようにも聞こえます。想像ができる部分が多く、考えるほどに面白い曲です。
Beyond the sky
キミの声は届いているよ「Beyond the sky」。(4曲目)
お互いの距離は離れてしまったけれど、消えることのない思い。この時点で分かれるのは必然であったとしても、また出会えと思っている感情が聞けます。
消えそうでも聞こえてる僕を呼ぶ声が
幻聴ではない、僕だけに聞こえるキミの声。気持ちがお互いにリンクしているからこそではないでしょうか。ちゃんと聞こえているよというのが、優しさです。
1つの壁ではなく、空を越えて届いているというのがポイントではないでしょうか。続きが描けそうな曲は、今後の展開に期待してしまいます。
怪物の夢
ただ愛されたかった「怪物の夢」。(5曲目)
周りには人がいるのに、自分が他とは異なるからこそ感じる孤独。特別な事を願うのではなく、ただ誰かに愛されたかったという思いが寂しい歌。
怪物とありますが、実際の人間社会でもあること。だからこそ、聞いていて余計に寂しさを感じてしまうのかもしれません。
いない物にしないで叫ぶ私を
抱きしめて
愛されたい、抱きしめてという思いの言葉が出てきますが、それは大きな夢。孤独の状態から抜け出したい! というのが、本来の思いのようにも聞こえます。
また、愛されないのではない。自分が愛することをしていないから今の状態であるのかなという気もしました。聞いていて情景の浮かんでくる歌。
がっつりとバンドアレンジにしたら、もっと映える曲になりそうです。
宵闇胡蝶
あなたのためだけに暗い闇の中で蝶になる「宵闇胡蝶」。(7曲目)
読み方は「よいやみこちょう」。調べなければ読めなかった…。胡蝶は蝶の異称。宵のうち月が出なくてくらいこと。意味が分かると、なるほどねです。
琴とデジタルが融合した音は、聞いていて面白みがあります。
どこまでも暗い地の果てまで
私、あなたのとならは堕ちてゆきたい
闇の中で光る蝶になるのは、あくまでもあなたのため。自分が輝く存在になるのではなく、ただ一緒にいるためにと考えると切なさでいっぱいになります。
当人にとっては幸せであるのでしょうか、他人からは理解できない形。二人だけのものというのが、儚いものであっても必要なことなのかもしれません。
和楽器とデジタルでビートが効いた音は、聞くほどにクセになります。
LoveLifeLogic
アルバムの最期にあることに意味を感じさせる「LoveLifeLogic」。(11曲目)
喜びも悲しみもあるけれど、その中で私たちは生きている。同じ時と物、人なんでいないからこそ、自分にできることをするんだの思いではないでしょうか。
僕らは生きていく
今日もまたどこかで
自分のだけの視野で見てしまうと小さい世界も、実際は大きいもの。僕はではなく、”僕らは”になっていることに、生きていく意味が隠されている気がします。
ただ生きるだけでなく、自分だからこそできることを。人に伺いを立てるのではなく、違う生き方もできるんじゃない? と問いかけてもいるようです。
と同時に、きっと自らの戒めの言葉でもあるのでしょう。
あとがき
ベスト盤で一区切りだけでなく、レベールも変わってリリースされるアルバム。「起死回生」は言葉だけでなく、もっと大きな意味を持っていそうです。
ギターをもっと前に出してもいいかも? と感じる曲が多いのも特徴かも…。
また、意図しているかどうかは分かりませんが、これからの意思表示ともとれる曲が多く含また1枚。今後にどう変化をしていくか、楽しみでもあります。
デジタルが主体でありながら、一聴のインパクトは抑えられた音。聞いて楽しむだけでなく、歌詞も含めて深く入り込んでほしいようにも感じました。
「起死回生」に続くものが、どんな表現になっていくのかが楽しみです。
以上、『GARNiDELiA:起死回生 ~変化を恐れずに這い上がっていく~』でした。
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JOE (ジョウ)
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