Dream Theater (ドリーム・シアター) 14枚目のアルバム「Distance Over Time」。
1989年のデビュー・アルバム「When Dream and Day Unite」から、間隔が空いても3年というコンスタントなリリースには、頭が下がります。
過去にはメンバーチェンジもありましたが、活動期間で見ると回数は少ないですし、海外のバンドとして珍しいくらいの安定感と現役を感じさせるバンドです。
過去ではなく、常に今が最高なんだ! というのを見せてくれていますよ。
前作「The Astonishing」はコンセプト・アルバムで、曲数も多く収録時間も長かったですが、今作はアプローチがかなり異なるアルバムとなりました。
コンセプト・アルバムというと身構えて聞いてしまいますが、今作は普通に楽しめますので、今までのファンはもちろん、1枚目としてもオススメします。
Distance Over Time 収録曲概要
「Distance Over Time (Bonus Track Version)」の収録曲は以下の通りです。
- Untethered Angel
- Paralyzed
- Fall into the Light
- Barstool Warrior
- Room 137
- S2n
- At Wit’s End
- Out of Reach
- Pale Blue Dot
- Viper King (Bonus track)
10曲目「Viper King」が含まれると1時間1分になりますが、本編で1時間未満になるのは、2枚目のアルバム「Images and Words」以来です。
それでも他のバンドと比べると今も曲は長いですが、長尺の曲が多いDream Theaterとしては、かなりコンパクトにまとめられたアルバムといえます。
収録時間が長くても問題なく聞けてしまうDream Theaterですが、このアルバムは特に聞きやすいので、リピートして聞いてしまう回数が多いですね。
アルバム・タイトル「Distance Over Time 」の通り、時間の経過が重要になっているのは、アルバム・ジャケットにも現れています。
ロボットの手に頭蓋骨というのは、進化の先にあるロボットと、時が止まってしまった頭蓋骨というのは時間そのものですから、収録時間も関係ありますよね。
メタルではよく使われる頭蓋骨ですが、Dream Theaterとしてはジャケットに出てくるのは初だったりします。だからこそ、余計に意味を感じてしまいます。
Untethered Angel
アルバムのリード曲でありオープニング曲「Untethered Angel」。(1曲目)
過小評価されがちな James LaBrie (ジェイムズ・ラブリエ)のボーカルが、すごく肝になっている曲です。歌詞の世界感をここまで普通は歌えないですよね。
この曲に限らずアルバム全体で歌が重要になっているので、このアルバムの中でのJames LaBrieの活躍の度合いはかなり大きく、歌の聞き所が満載です。
イントロのシンプルなユニゾンのパートは、思わずコピーしたくなります。曲全体はやっぱり難しいですが、部分であれば断念せずにコピーができますよ。
Paralyzed
私は麻痺していると歌った「Paralyzed」。(2曲目)
麻痺しているのは体ではなく、痛みを感じなくなっている心というのが、切ない曲の感じとマッチしています。心がなくなってしまったら、ただの機械です。
MVが印象的で、機械としてあなたをコピーすることはできても、心がないインプットしたデータしかないから、同じではないと言っている気がしました。
AIの発達で近未来に起こることなのかもしれませんが、警告を鳴らす曲ともいえます。心が麻痺するというのは、生きているとは言えないのかもしれません。
演奏はシンプルですので、アルバムの中で1番コピーがしやすい曲です。短い切ないギターソロは難易度も高くないですので、手始めとしてオススメします。
Fall into the Light
今の状態でいいのかい? と問いかけた「Fall into the Light」。(3曲目)
ギターが特に重要な曲なので、ギタリストはアルバムの中でも特に気になる曲になっています。ギターのパートも、使われている音色もかなり多いです。
ライブでどう再現して表現がされるのか、1番気になってしまいますね。アウトロの余韻を残すような弾き方がカッコいいので、聞き逃しをしませんように!
At Wit’s End
このアルバムで一番長尺の「At Wit’s End」。(7曲目)
普通のバンドであればなるべくコンパクトな曲を求めてしまいますけれど、Dream Theaterの曲になると、長尺の曲があると安心してしまいます。
9分20秒と長い曲であるのに長さを感じさせずに最後まで聞かせてしまうのは、必要があるからこその長さと、実力があるからに間違いありません。
この場所から消えていってしまうからこそ、私から離れないでという歌詞には寂しさを感じます。曲の終わりがフェードアウトで終わるのが、また切ないです。
Out of Reach
ロックバラード曲「Out of Reach」。(8曲目)
今は思い通りにはならずに手が届かなくても、昨日よりも自分は強くなっているから、いつかは手が届くのでないか? と感じさせてくれる曲です。
絶望するような中にも自分を奮起させる歌詞には、背中を押されるという人は多くいるのではないでしょうか。自分がやらなければ、先はないんだという。
James LaBrieのこの曲で聞けるウイスパーボイスもですが、Jordan Rudess (ジョーダン・ルーデス)の鍵盤は、シンプルでも力強さを感じます。
無理やりではない諦めさえしなければ先はあるんだというのは、聞いていて静かなる闘志がわいてくるような曲になってる曲です。
この曲は特にじっくりと耳を傾けて聞くのを、強くオススメします。
あとがき
Dream Theaterがリリースをしてきた14枚のアルバムの中でも、かなり上位にくるカッコいいアルバムになっているのではないでしょうか?
聞きやすく、何回もリピートして聞けるからこそ、アルバムの世界感がより感じやすい内容になっています。プレグレ要素はありますが、複雑過ぎないです。
今からDream Theaterを聞いてみようという人にどのアルバムから? と聞かれたら、ます最初にオススメできるアルバムになっていますよ。
過去の名作を聞くのはは、このアルバムを聞いてからでも遅くはありません。
また、ドラムのMike Mangini (マイク・マンジーニ)が加入してから4作目ということで、 Mike Portnoy (マイク・ポートノイ)の影も大分消えた気がします。
またいつか一緒に活動している姿は見てみたいですが、Mike Portnoyがしている活動を見ると、別々の活動をしているのが必然のような気がしました。
まだ決定はしていませんが、このアルバムの出来を聞いてしまうと、アルバムを引っさげての来日公演は見に行きたくなってしまいますね。
以上、『Dream Theater:Distance Over Time ~時間と距離の先にあるもの~』でした。
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1992/7/7 release 2nd Album
Dream Theater:Images and Words ~先を見据えたからこそ見える景色~
2019/2/22 release 14th Album
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JOE (ジョウ)
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