Doja Cat (ドージャ・キャット) 1枚目のEP「Purrr!」。
洋楽を聞くのであれば好き嫌いは別として、今やその存在を知らない人がいないであろう彼女の始まりの1枚。
現在とは異なるようでつながる表現もあり、興味深く面白いサウンドです。
Purrr! 収録曲概要
「Purrr!」収録曲は以下の通り。
- Beautiful
- Nunchucks
- So High
- No Police
- Control
このEPで特に面白いのが、収録曲の大半がオンライン上で見つけたインストゥルメンタルを元に歌詞とメロディーを付けているということ。
そのイメージで言えば「ルパン三世のテーマ」に、後から歌詞が付いたのと同様。原曲を変えずにという部分も、手法としては似ていると言えます。
そのクオリティーは異なりますが、多くの人が小さい頃に行うであろう替え歌や、メロディーにオリジナルの歌を乗せる。面白い手法です。
現在も過去楽曲のオマージュを、うまい具合に取り入れているドージャ・キャット。その原点はこの始まりのEPにあったと言えるかもしれません。
Beautiful
私は「Beautiful」。(1曲目)
日本でであれば成立しないであろう譜割りが面白く、いかにも曲先行であるのが分かる形。聞いていると、不思議な感覚に陥ってしまいそうになります。
I’m a cutie-patootie but don’t mistake that for hoochie
「私は可愛い子だけど、軽い女だとは思わないで」。強気でもありますが、この後に続く言葉が、この思いを証明しています。
‘Cause even if you think you knew me
A woman changes with the seasons
「あなたが私を知っているつもりでも、季節で女は変わるの」。時と共に別の姿を見せる女性。一面だけじゃないからこそ、美しくなれるのかも…。
男性への不満も垣間見れる曲は、耳に集中すると怖くもあり面白いです。
Nunchucks
Mndsgn「Legwarmrs」がベース「Nunchucks」。(2曲目)
このEPの中で、描かれる世界が一番難解な曲。横に揺れる音が、男女関係は一筋縄にはいかないものと、強く表現しているようです。
With the nunchucks
Rolling in your hood
「ヌンチャクとあなたのフードで転がる」。チェーンだったら強く絡み合うという気がしますが、ここではヌンチャク。少しイメージが難しい。
But I wonder why I still feel so alone
「でも、私はなぜこんなに孤独を感じるの」。すぐそばに相手はいるはずなのに、感じる感情。イメージとリンクしないのが、その理由かもですね。
オフィシャルで、オーディオのみをYouTubeにアップ。背景が64のコントローラーというのが面白い。男女の関係はゲームのようということなのかも…。
So High
![]() | 「So High」 フルMVをApple Musicで観る |
Evil Needle「Falling Leaves」がベース「So High」。(3曲目)
あなたは私をハイにしてくれる存在。言葉のニュアンス違いかもですが、恋するドキドキとは少し異なる感覚のように聞こえます。
I know you ain’t a drug but, you get me so high
「あなたは麻薬ではないけれど、私をとてもハイにしてくれる」。日本人的な感覚だと気分が高まるのは分かるけれど、麻薬という比喩はあまりしない表現。
国が異なれば見る機会がイメージも異なるでしょうけれど、逆にその違いが興味深く感じてしまいます。面白いですよね。
また、EPのタイトル「Purrr!」。猫がのどをゴロゴロと鳴らす擬音を意味しますけれど、曲中に入る泣き声は自分の思いを代弁する音なのかもです。
このEPから作成された雄一のMV。ハイのなり方が、現実化しているよのも興味深い形。MVの効果的な見せ方が、最初からできていたということですね。
No Police
Dream Koala「We Can’t Be Friends」がベース「No Police」。(4曲目)
ハイのなり方は、「So High」より危険なもの。「Xanax = 抗不安薬」を飲んでのことだから。それは警察要らずというか、きてほしくないかも…。
Them bars put ease to your crazy past so
「それらのバーはあなたの狂った過去を楽にしてくれる」。単に薬と言うと「なんで? 」となりますが、飲む経緯を知ると一概に悪いとも言えない状況。
ハイになるのが目的ではなく、過去と決別して前に進むために。強制させて変わるのではなく、手は借りるけれど自らの手で。
薬を推奨しているわけでもないし、聞くほどにイメージの変わる曲です。そして、そんな状況になってしまうことが、悲しく感じてしまいます。
Control
あなたも私も自分自身での「Control」。(5曲目)
機械ではないからこそ、意思を持つ人間。指示されるからこそ嫌々行動してローに入るのではなく、自らの意思で動くことでハイに。
感情の部分が多く出てくるEPですが、必然な気持ちの高め方と言えそうです。
Anything you know, you might have every idea
「あなたと知っていることは、なんでも考えを持っているでしょ」。誰かにコントロールされるのではなく、自らの意思での行動。
当たり前のと言えばそれまでですが、思いの他に深いことかもしれません。良くも悪くも自分の意志が薄く、指示待ちでないと動けない人が多いですから…。
「それは違うでしょ!」と自分で気付いて欲しい、問題定義の様に聞こえます。
あとがき
突出的に抜けている曲は含れてはいないですが、軸がインストにあるというのが全体を面白くしているEP。不思議な感覚も、その理由を知ると納得です。
また、リリース時は18歳のドージャ・キャット。その歌声は今と大きくは変わりませんが、ぱっと見で分かるのはビジュアルの違い。
いい意味で垢抜けていないですが、時を経るをことで今の彼女になる。男性もですが、特に環境の変化で変わってくる女性。とても興味深いです。
注目されて見られるというのは、一番の美容法なのかもしれません。音だけでなく、ビジュアルも含めて魅せる彼女だからこそ、面白く感じてしまいます。
ここから時を経てリリースされるアルバム「Amala」「Hot Pink」が彼女の本質なのは言わずもがなですが、原点も聞いてみるとなかなか興味深いですよ。
以上、『Doja Cat:Purrr! ~都度うまく気持ちよくなってしまえばいい~』でした。
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2014/8/5 release 1st EP
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JOE (ジョウ)
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