Daughtry (ドートリー) セルフタイトルで1枚目のアルバム「Daughtry」。
現在5枚のアルバムをリリースしていますが、今作は2006年リリースの始まりの1枚。特にこの1枚目は、魅力がこれでもかと詰まっています。
ドートリーはケリー・クラークソンや、アダム・ランバートと同じくアメリカン・アイドル出身のアーティスト。とはいえ、他の誰かではない歌が特徴。
クリス・ドートリーのソロですが、ドートリーはバンド名義でもあるので、BON JOVIと同じような形といって間違いありません。
バンドでの曲と歌を大切にしたアルバムですので、特に楽器を弾く人ににオススメ! というよりも、聞かないのはもったいない内容になっています。
Daughtry 収録曲概要
「Daughtry」収録曲は以下の通り。
- It’s Not Over
- Used To
- Home
- Over You
- Crashed
- Feels Like Tonight
- What I Want
- Breakdown
- Gone
- There and Back Again
- All These Lives
- What About Now
収められている12曲の曲調はさまざま。切なさから優しさ、激しさまでを難なく歌いこなしていることに、聞いていて驚かされます。
どれか一部分に強いというのはあることですけれど、このレベルの高さを幅が広い曲で。しかも1枚目のアルバムで歌えるボーカリストは貴重です。
その歌を生かすも殺すも曲が大切になりますが、このアルバムに収録されているのは、ドートリーの歌をこれ以上なく持ち上げている楽曲しかありません。
歌のために遠慮があるわけでもなく、相乗効果を感じるバチバチ感があるのも、アルバムのクオリティーを上げています。聞いていると心を奪われますよ。
よく最初の音源は名刺代わりや、名前だけ覚えてもらえればという例えをしますが、このアルバムの力強いインパクトにはびっくりさせられます。
It’s Not Over
オープニング曲「It’s Not Over」。(1曲目)
終わっていない、やり直そう。この曲はドートリー自身の事を歌ったように聞こえます。養子を迎え、音楽の道を諦めようとしていたドートリー。
妻の応援もあってアメリカン・アイドルに応募、4位になることで歌唱力の高さと楽曲の選択のセンスの良さで、デビューへの道をつかんでいます。
This love is killing me, but you’re the only one
It’s not over
「この愛は俺を殺しても、あなたが唯一の人。まだ終わらない」。あなたを音楽と考えると、苦しめもされたけれど関係が終わらないにもつながります。
聞き手の解釈でしかないですけれど、想像できる部分があるのが面白い!
また、もって生まれた声質の良さはありますが、絶え間ない努力と諦めなかったことが結果につなげたのは見習いたい部分ですね。
切ない曲であるからこそ諦めずによかったですし、状況が伝わってくる曲です。
Used To
友情を歌った「Used To」。(2曲目)
「At least there’ s you = 少なくともあなたがいる」。「and At least there’ s me = そして、少なくとも私がいる」。すごくいいなと思ったフレーズ。
しかも、プラスしてかつてのようにお互いで必要になりたいと歌っている。ニュアンスは異なったとしてもいわれたらうれしいし、言ってみたいですよね。
男女の恋とも聞ける歌ですが、自分には友情の歌のように聞こえました。聞く人によっていろいろな考え方ができるのも、この曲の魅力の1つです。
Home
戻るべき場所に帰るんだと歌った「Home」。(3曲目)
1人ではなく、帰る場所があることに感謝している思いが感じられる曲。思い描く最良の場所ではなくても、感謝を感じるのがいいですね。
I’ve not always been the best man or friend for you
but your love remains true
「俺はいつもあなたの最高のパートナーや、友だちではなかった。でも、あなたの愛は真実のまま…」。ありがとうの言葉はなくても、感謝の気持ち。
帰るべき場所があることに「ありがとう」の気持ちを思い出す曲。シンプルで当たり前な思いですけれど、決して忘れてはいけない感情ですよね。
聞いていて安らぎを感じるのは、優しい歌い方に加えて、この曲に込められた歌詞の思いがあるからでしょう。
Over You
ミディアムロックバラード「Over You」。(4曲目)
別れの曲で君がいなくなったことを乗り越えたと歌っていますが、それでも一緒にいた日々を忘れているようには聞こえない曲。
That you never were the best for me
「あなたは俺にとって最高の人ではなかった」。男ならではの強がり。本当は最高の人だったからこそ、口にする言葉ではないでしょうか。
男性の弱さを歌った曲であるのに、聞いていてその気持ちが痛いほどに伝わってきます。表では強がりをいっても、弱さが残るのが男性というものです。
このアルバムはオンタイムで聞いていますが、一番最初に心を動かされたのがこの曲。「Over You」で表現される哀愁は、好きな日本人は多いはず…。
メロディも歌詞も言うことなしで、ドートリー中でも一番オススメする曲です。
There and Back Again
ベースで始まるイントロが特徴的なロックナンバー「There and Back Again」。(10曲目)
帰るべき理由があるという、同じ戻るでも「Home」とは対極にあるような曲。
Now shine
Here’s your moment to shine
「今輝く。あなたが輝く瞬間だから」。帰るべき場所であり、戻ってやるんだ! という強い意志を感じます。輝くためであったら、意地でもですよね。
行動としては同じでも異なるというが、興味深く面白い。アルバムの中でも1番ロックしている曲で、演奏がカッコいいのも特徴です。
聞いてベースを弾きたくなるのは、もはや必然ではないでしょうか?
What About Now
アルバムのラストを飾る「What About Now」。(12曲目)
「What About Now? = 今はどう? 」と問いかける切なくも優しく問いかける、聞いていて心に響く曲。とにかく優しい歌声です。
女性ボーカルであればこの曲のような優しさを感じる人はいますが、男性ボーカルとなると海外を含めて、ここまで優しく歌える人は少ないように感じます。
ラストにバラードというのはよくあるパターンですけれど、このアルバムほどうまくはまっているのは、たくさん音楽を聞いてきた経験でも少数。
優しい歌声を聞いて満足で終わるだけでなく、また最初からアルバムを聞きたくなってしまうステキな曲。ここまで歌えたら気持ちがいいでしょうね。
あとがき
現在はアメリカン・アイドルは番組が終了していまいましたが、ドートリーを含めていいアーティストが続々と誕生したオーディション番組でした。
歌のオーディション番組といっても全員とはいいませんけれど、カラオケでものまねがうまい日本の番組とは質が全く異なっています。
Alice in Chainsに誘われても、断ったドートリー。Queenで歌っているアダム・ランバートだけを見ても、実力が本物なのが明らかですよね。
歌は誰にでも歌えますが、心に響く歌声を聞かせてくれてロックとなると、極端に少なくなります。特に経歴なしで出てくる、日本人男性ボーカルは少ない!
少ないからこそドートリーを聞いていると、日本人でも世界をいきなり変えてしまうような男性ボーカリストが誕生するのを、期待しちゃいますね。
全体を通して何一つ突っ込みどころがない、カッコいいアルバム。リリースからは時間がたっていますが、ドートリーの1枚目はぜひ聞いておきましょう!
以上、『Daughtry:Daughtry ~強烈過ぎなファーストインパクト~』でした。
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Daughtry:Daughtry ~強烈過ぎなファーストインパクト~ ←今ココ
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Daughtry:Leave This Town ~もう僕はこの場所にはいない~
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JOE (ジョウ)
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