Bon Jovi (ボン・ジョヴィ) 15枚目のアルバム「2020」。
前作「This House Is Not for Sale」から3年11カ月。正確に言えば3年と333日。発売延期などもあって意図はないでしょうけれど、気持ちのいい3並び!
タイトルからして、今年にリリースすることに意味のあるアルバム。派手さはなくても歌に込められた言葉と、大人の深みが聞けるロックな1枚です。
2020 収録曲概要
「2020 (Deluxe)」収録曲は以下の通り。
- Limitless
- Do What You Can
- American Reckoning
- Beautiful Drug
- Story of Love
- Let It Rain
- Lower the Flag
- Blood in the Water
- Brothers in Arms
- Unbroken
- Do What You Can (Bon Jovi & Jennifer Nettles)
- Shine
- Luv Can
10曲目までが本編で、以降はボーナス・トラック。
当初のリリース予定は5月。現在の状況から発売が延期となる中で、曲順や収録曲も変化。発表済の物が聞き手に届く前に変わるというは、珍しいかも…。
「Shine」「Luv Can」が当初の位置では、聞こえ方が変わってくるアルバム。
それだけバンドで提示したいもの、聞かせたい形が変わったんでしょうね。「2020」のタイトルの通り、今のリアルを音に込めた内容に変わりました。
本編を最後を締める「Unbroken」。先行シングルの時よりも、持っている意味合いに加えて、印象が強く聞こえるようになっているのも特徴です。
Limitless
![]() | 「Limitless」 フルMVをApple Musicで観る |
アルバムリード曲「Limitless」。(1曲目)
「Unbroken」が先に配信はされていますが、リリース当初はアルバムとは関係ない形の予定。MVも公開されて時間も立ってますし、馴染みが強い曲。
「Limitless = 無限、無制限」。タイトル通りのポジティブさは、正にボン・ジョヴィ。ただし純粋な明るさは、続く「Do What You Can」の2曲のみ。
だからこそ、アルバムの中で印象強く聞こえるのかもしれませんね。
It’s worth the risk
Life is limitless, limitless, limitless, limitless
「リスクに見合う価値はあるよ。人生は無限、無限、無制限」。ただ待っているだけじゃない。チャレンジすることに、意味は必ずあるんだの思い。
例え失敗しても、諦めさえしなければ先は見えてくると想像させます。背中を支えてくれるというよりも「行ってこい! 」と、跡が付きそうな強いプッシュ!
始まりが「Limitless」で、終わりが「Unbroken」。曲順としてもアルバム全体を聞いた印象としても、多きな意味を持つ2曲です。
Beautiful Drug
曲目だけ見てドキッとしてしまう「Beautiful Drug」。(4曲目)
聞いていてドキドキ感が増すのは、Nirvanaの名曲「Smells Like Teen Spirit」にちょっと似ているからかも…。あえて狙ってした感もあります。
Love is a beautiful drug
「愛は美しい薬」。ロックでドラッグというと問題のある方を想像しちゃいますが、歌詞を見ているとなるほどです。引っかかっちゃたという感じ。
本当に病気になってしまったら思いではどうすることもできないですが、気持ちの部分を指しているのかもしれません。病は気からとも言いますし…。
アメリカで同じような表現ってあるのでしょうか? ブルージーなロックは、大人だからこそ表現ができる気がしました。
Story of Love
恋ではない、家族への愛情「Story of Love」。(5曲目)
淡々と状況を歌う形は、親が本を読み聞かせるかのよう。物語にもなっていて、現状はMVなど映像はないですが、聞いていると情景が浮かんできます。
Fathers and daughters and mothers and sons
As one story ends another’s, another’s begun
「父、娘、母、息子。一つが終わりを告げても、また別の物語が始まる」。いつかは誰もが訪れる、別れや死。ただm1つの形は終わっても、続くものもある。
対象は変わったとしても愛情は終わらないし、親から子へ引き継がれていくということを伝えたいのかも…。包み込むような思いが、とても優しい歌。
実際に親である人ほど、思いが伝わってきそうです。
Let It Rain
祈りと嘆きを歌った「Let It Rain」。(6曲目)
聞いていて寂しさを感じる曲。歌詞が悲しく救いがないままで終わるのが、余計に切なさが増しています。キーは明るいからこそ、より印象的に。
本来はあまり組合わない形。曲を作る人は、参考になる部分も多そうです。
If you’re out there, Christ I’m calling
Who’s gonna stop the rain from falling down?
「あなたがもしそこにいるのなら、私はキリストを呼んでいる。誰が雨を降るをのを止めてくれるの? 」。自分が歌詞を見ていて、引っかかった部分。
「Let It Rain = 雨を降らせて」と先に歌っから、続くんです。どっちだよ! というのではなく、求めるものは常に変わっていくんだと表現をしていそう。
それでも思い通りにはならないからこそ、神に祈り、嘆きにもなるのでしょう。人間の闇の深さも感じられますし、思っている以上に深い物がありそうです。
Lower the Flag
アメリカで起こった銃乱射事件への思い「Lower the Flag」。(7曲目)
具体的な地名が出てくるからこそ、悲しい出来事だったと思い浮かぶ形に。日本にいる自分でも、場所で何が起こったのかすぐに分かります。
「gun = 銃」とは、歌詞に出てこなくてもです。アメリカ在住の方であれば、もっと明確に思い浮かべてしまうのではないでしょうか。
When I lay my head down
What if it was your loved one
「頭を横にしたとき。それがあなたの愛する人だったらどうする? 」。睡眠ではなく、永遠の眠り。やりきれない気持ちになるでしょうね。しかも銃で。
避けようと思って逃げれるものではないですし、数秒前まで元気で笑っていた人が、一瞬で亡くなってしまうのですから…。聞いていて寂しくなる曲。
数字ではなく、さっきまで生きていた人。それでも目をそむけてはだめなんだ! 現実を見よう。繰り返してはいけないことなんだと伝えている気がしました。
Blood in the Wate
「水中の血」という印象的なタイトル「Blood in the Wate」。(8曲目)
聞く人によって、見えるもの、感じ方が変わりそうな曲。それぞれで情景が変わってくるのが、ポイントかも。あえて言い切っていない部分を感じさせます。
Now there’s blood in the water
Blood in the water
「今、水の中に血がある。水中の血」。水の中で一瞬は赤くなっても、周りに溶け込んで見えなくなる血。また、切れた指などを入れると、一気に流れる血。
痛みのあることは多く起こるのに、人はすぐに忘れてしまうことを言っているのかも…。自分とは異なる捉え方をする方も多いでしょうし、興味深い曲。
タイトルも印象的ですが、聞いて、歌詞を見るとより感じるものが多くなります。
Brothers in Arms
歌詞の内容としても「Let It Rain」と共通点を感じる「Brothers in Arms」。(9曲目)
もしかしたらテーマは同一のもので、パターンが別なのかも。曲を作る人がよくやる方法ですよね。実際はどうなのかは分かりませんが…。
ブルージーなロックは、年代が上がるほど好きな人は多そうです。
We’re brothers in arms
「俺たちは腕の中で兄弟」。君は一人じゃないだろ? という感じで、兄貴がぴったりと支えてくれているという感じでしょうか。状況が興味深い。
「Let It Rain」にはなかった救いがある曲。続きがあるよというのが、面白く感じました。曲順は離れていますが、あえてつなげて聞いてみてもいいかも!
Do What You Can (Bon Jovi & Jennifer Nettles)
![]() | 「Do What You Can」 フルMVをApple Musicで観る |
ジェニファー・ネトルズとのデュエット「Do What You Can (Bon Jovi & Jennifer Nettles)」。(11曲目)
イントロに追加部分があったりと、演奏も若干変わっていますが、女性の歌声が入ることによる変化は大きいですね。歌詞は同じですが、面白いアプローチ。
When you can do what you do
You do what you can
「自分のことができるようになってから、あなたはできることをする」。1人の時も印象的な部分でしたが、互いに力を合わせての形が強くなりました。
ジェニファー・ネトルズ、所属しているSugarlandも知らなかったのですが、めっちゃいい歌声の持ち主。ジョンと愛称がいい響きであるのもポイントです。
Shine
ボーナス・トラック「Shine」。(11曲目)
囁きけけるようなう歌声と、伝える思いが優しい歌。あなたは輝きであり、僕も愛を届けたい。大人の男性だからこそ、思いが強くなります。
We’ll never have to say goodbye, love
「別れを言う必要なんてないよ」。全体の歌詞を見ての受け取り方は人それぞれだと思いますが、あなたは別の世界に行ってしまうからことの言葉かなと。
だからこそ、あなたを思う気持ちは強くなるし、優しくなれるのかなと。いなくなってしまうからこそ、寂しさや弱みを見せない意思でもありそうです。
Luv Can
ボーナス・トラック「Luv Can」。(12曲目)
「Shine」の続きを感じさせる曲。その理由はあなたはもう手で触れることのできない世界へ行ってしまっているから。いなくなったからこその愛の歌。
I wish I could fix your broken
Wish I could fill your empty
「壊れたものを直せたらいいのに。あなたがいないのを埋められたらいいのに」。隣にいてくれていたはずのあなたがいないからこそ、心にできる隙間。
「Shine」では抑えていた弱い部分が出るのが、寂しさを深く伝えてくれます。
Let me live again
「もう1度生かさせて」。現実ではもう起こらないからこその思い。分かっていても声として出さずにはいられないことに、愛の深さを感じさせます。
つながりのある思いの2曲が、ボーナス・トラックに。選択の理由として分かる気がしました。それにしても、このレベルが本編から外せるボン・ジョヴィ。
ソングライティングの高さを、改めて気付かせてくれます。
あとがき
カントリーや、ブルージーな要素。表現しようとさえ思えば、ギター1本で弾き語りができるであろう曲が集まったアルバム。派手さは決してありません。
アルバム・タイトル「2020」が表すように、世界中で暗くなっている1年。無理に明るくするのではなく、今そのままを表現した形になった気がします。
それだけに、言葉が重い内容の1枚。ただし、暗さが多く明るさは少なくても耳を傾けて聞き入ってしまうのは、歌声に優しさと光を感じるからでしょうか。
誰かと一緒にや、大音量ではなく、一人でヘッドホンかイヤホンで。これが一番「2020」というアルバムが生きてくる聞き方になりそうです。
世界中や、アメリカで起こった問題。暗く寂しい1年だったからこそ、もう後は改善しかないであろう状態。次のアルバムはめっちゃ明るい音になるかも…。
以上、『Bon Jovi:2020 ~今この時を明日の教訓に変えていくよ~』でした。
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