Billie Eilish (ビリー・アイリッシュ) 1枚目のアルバム「WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO? 」。
2019年のベスト・アルバムと上げる人も多い1枚。ジャンルが異なるミュージシャンからも、評価をされているのも特徴となっています。
ポップスだから、ロックだからなどではなく、音楽をして聞いた時の評価がされているからでしょうね。実際、出てくる音も歌詞も興味深いアルバム。
1枚目のEP「don’t smile at me」も独自の世界観、不思議な魅力を聞かせてくれましたが、さらに引き込まれてしまう内容になっています。
一気にではなく、じわじわと心に入り込んでくるようなアルバムです。
WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO? 収録曲概要
「WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO? 」収録曲は以下の通り。
- !!!!!!!
- bad guy
- xanny
- you should see me in a crown
- all the good girls go to hell
- wish you were gay
- when the party’s over
- 8
- my strange addiction
- bury a friend
- ilomilo
- listen before i go
- i love you
- goodbye
曲名を見て印象的なのは、全て小文字になっている点。前作となるEPでも「COPYCAT」を除いて小文字でしたが、曲数が多いことで印象的に見えます。
アルバム・タイトル「WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO? 」は全て大文字であるのも、より印象度が上がっていますね。
「私たちが眠りに落ちる時、どこに行きますか? 」と、日本語にしても不思議であり、聞く前から世界に引き込まれてしまいそうです。
bad guy
![]() | 「bad guy」 フルMVをApple Musicで観る |
聞いていると不思議な感覚がする「bad guy」。(2曲目)
「bad guy = 悪い男、悪いやつ」。女性が歌うから悪い人だとは思っているけれど心が引かれてしまう感じと思いきや、男性目線の曲。
だからこそ、俺は悪いやつ。この曲の面白さになっています。
I’m only good at being bad, bad
I like when you get mad
I guess I’m pretty glad that you’re alone
「俺は悪いこと。悪いことだけが得意。君が怒る時が好きで、君が1人でいるとすごくうれしいんだ」。表現が面白く、本心で悪い人には思えない歌詞。
この曲で出てくるのは実際にいる人ではなく、自分の心の中にいる人物が男性なのかな? なんて思ってしまいました。自分で悪いやつなんて言いませんし…。
時折出てくる印象的な演奏のメロディーも、心の中のことだから怪しんでいるようにも聞こえました。聞いていて不思議な感覚が、おもしろい曲です。
xanny
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問題提議の曲である「xanny」。(3曲目)
xannyとは抗不安薬Xanax(ザナックス)のことで、不安だからこそしてしまう行動、思いを感じられる曲。何かに頼りたくなり気持ちが分かります。
I must be missing something
「私には何かが足りない…」。この何かが足りないというのがとても重要で、何かがわからないからこそ、不安が深まって行くのでしょうね。
ビリー・アイリッシュがインタビューでも語っていましたけれど、薬を使わないで! ではなく、適切で安全にという意図が込められている曲でもあります。
安全というのは「もう友人には死んで欲しくない」から…。思いが強いです。
ザナックスをはじめとする薬やタバコなどもそうですが、一時的な不安の解消ではなく、根本的な理由の認識と解決を期待しているようにも思えます。
MVがシンプルな構図ではあるけれど、衝撃的になっているのも特徴です。
you should see me in a crown
![]() | 「you should see me in a crown」 フルMVをApple Musicで観る |
いろいろな解釈ができる「you should see me in a crown」。(4曲目)
単に見るのではなく、冠を見るというのが特徴的。自分が聞いている限りでは「裸の王様になっていない? 」問いかけているように聞こえました。
you should see me in a crown
「あなたは私を冠で見る必要がある」。曲名でもあり歌詞にも出てくる言葉ですが、「冷静に客観的に自分を見てごらん? 」と言っているかのよう。
曲を聞いても思いますけれど、MVを見るとより自分を見直してみる必要があるんじゃない? という気持ちにさせれられました。あなたはどう聞こえますか?
all the good girls go to hell
![]() | 「all the good girls go to hell」 フルMVをApple Musicで観る |
曲名の時点で興味深い「all the good girls go to hell」。(5曲目)
「all the good girls go to hell = 全ての良い女の子は地獄へ行く」。天国ではなく、地獄へ行くという発想力は、心が引かれてしまいます。
歌詞にも出てきますが、地獄は多くの人がイメージする閻魔大王のいる地獄ではなく、カリフォルニアであるのも、いろいろな想像をかきたてられます。
現代にいることが、地獄である。だからこそ、全ての良い女の子と考えると、歌詞の面白みが増していきます。地獄は本当の地獄ではないかもしれません。
その理由は「自らで変えていることができるから」。聞いていてそう思わずにはいられない、面白みの多い曲。考えられる要素があるのがいいですね。
8
ハワイアンでタイトルと歌い方も、この曲ならではが面白い「8」。(8曲目)
8の意味が複数含まれていて、とても面白い曲。アルバムの中で唯一と言っていい、明るさを感じられる曲でもあります。
Da da da da da
Da da da da da da
特に意味は持たない歌詞ですが、意味を持たないからこそ、1番意味を感じてしまう部分。年齢の8歳を表しているように感じました。
自我が目覚める前の微妙な8歳という年齢だからこそ、「あなたはどう変わっていくの? どんな感じ方をしているの?」 と、問いかけている感じがします。
I just never know how you feel
Do you even feel anything?
「私はあなたの気持ちを知らない。あなたは何が感じる? 」。実際に8歳の子に問いかけるのではなく、自分自身を振り返って問いかけている言葉のよう。
「8」というシンプルな曲名の中に、いろいろな思いが感じられますよ。
ilomilo
iloとiloを出会わせるゲームの名前が曲名になっている「ilomilo」。(11曲目)
ゲームをテーマにするのは、若い世代だなと感じさせてくれる曲。歌詞や曲調から大人に思えますが、ビリー・アイリッシュはまだ10代ですよね。
意味がわかるとそういうことね! となりますけれど、どういう意味だろう? と曲名から気にさせてしまうのは、やっぱりセンスの塊であるのが分かります。
ゲームっぽい音楽であるのに加えて、わからない部分を解いて進行していく面白さを感じる部分のある曲。
ゲームの音楽って印象的で、耳に残って離れないいつになっても忘れられない思い出となる曲がありますよね。少し音を聞くだけで思い出がよみがえる感じで。
I don’t wanna be lonely
So tell me you’ll come home
Even if it’s just a lie
「私を1人にしないで。帰ってくると言って。それがウソであっても」。iloとiloを出会わせるゲームを例えにして、思いが伝わってくるよう。
思いだけではなく、ウソでも言葉にしてというのは、切ないけれど本心ですよね。ビリー・アイリッシュはどんな恋愛をしているのか、興味がわく曲です。
i love you
同じ「I love you」でも他とは異なる寂しさがある「i love you」。(13曲目)
こんな切ない「I love you」は、他ではなかなか聞けません。 愛していると本当の思いに気づくのは、さよならだからこそというのが寂し過ぎる…。
いろいろな解釈ができますが、さよならはきっと永遠が付与されるもの。
I can’t escape the way, I love you
I don’t want to, but I love you
「逃げられない。愛してる。したくはないけど、愛してる」。切ないです。無理やりな切なさでないのも、この曲のポイントになっています。
同名の曲は今までにも多くありますが、思いが切ない「I love you」です。
あとがき
聞いていると不思議ですが、繰り返して聞いてしまう魅力がアルバム。ビリー・アイリッシュのささやくような歌声が、心に入り込んできます。
「don’t smile at me」はもう1度聞いてみようかな? の要素でしたが、このアルバムは知らないうちに、繰り返して聞いているというパワーアップ版ですね。
歌詞も見た方がより楽しめますので、注目するのをオススメします。英語でも難しい例えはほとんどない点も、オススメポイント!
ビリー・アイリッシュは本当に興味深く、面白いアーティストです。
以上、『Billie Eilish:WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO? ~心もそこにある? ~』でした。
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