AS I LAY DYING:The Powerless Rise ~弱いからこそ開放された~

AS I LAY DYING:The Powerless Rise洋楽レビュー
洋楽レビュー

AS I LAY DYING (アズ・アイ・レイ・ダイング) 5枚目のアルバム「The Powerless Rise」。

前作「An Ocean Between Us」から約3年弱ぶりのリリースとなったアルバムは、憤りからの切なさがこみ上げてくるような内容になっています。

HUNTER×HUNTER ネテロ会長がメルエムとの戦いに敗れ、心停止とともに発生した「貧者の薔薇(ミニチュアローズ)」に似たジャケットが特徴的です。

ネテロ会長の死に方にはなんともいえない切なさがありましたが、このアルバムも同じような感じの切なさを感じずにはいられない内容となっています。

デスボイスとクリーンボイス。歪んだギターの音が突き刺さってきますよ。

The Powerless Rise 収録曲概要

「The Powerless Rise」の収録曲は以下の通りです。

  1. Beyond Our Suffering
  2. Anodyne Sea
  3. Without Conclusion
  4. Parallels
  5. The Plague
  6. Anger and Apathy
  7. Condemned
  8. Upside Down Kingdom
  9. Vacancy
  10. The Only Constant is Change
  11. The Blinding of False Light

曲名だけを見ても、切なさを感じる曲が多くなっています。メタルバンドなので激しく攻撃性のある曲が多いですが、その中に切なさが混在しているんです。

AS I LAY DYINGが支持をされるのは単に激しいだけではなく、音がクリアであり、このアルバムに限らずなんともいえない切なさがあるからの気がします。

Beyond Our Suffering

オープニング曲「Beyond Our Suffering」。(1曲目)

2分50秒という曲の短さもありますが、激しい曲調とともに、一瞬で過ぎ去ってしまうような曲です。曲名の通り、苦しみをこえるための勢いがあります。

音数も多く、ギターもかなり歪んでいるのに各パートがしっかりと聞こえるのは、さすがAS I LAY DYINGという気がします。

普通のメタルバンドでデスボイスとなると、ぐちゃぐちゃな演奏になってしまうであろう曲です。流れるようなリフもカッコいいので、熱くなれる曲ですね。

Anodyne Sea

失うものは何もない。自分の墓を見つけたと歌った「Anodyne Sea」。(2曲目)

6年ぶりの復活の曲となった「My Own Grave」もそうですが、「Grave = 墓」がAS I LAY DYINGの曲にはよくキーポイントとして出てくるんです。

自分の死ぬ場所として「Sea = 海」を選び、海の名前は「Anodyne = 痛み止め、鎮痛の」というのは、死して安らごうというのが伝わってきます。

海に向かうのは、後退して消えていくためだというのですから、ギターのメロディーもですけれど、切なさを大きく感じる曲です。

前半が嘆きであり、後半が自分悟りであるような感じなのが、曲でよく表現されています。歌詞を見ることで、少し印象が変わる曲だと思いますよ。

Parallels

ザ・リフといった曲の「Parallels」。(5曲目)

「Parallel = 平行な、距離が変わらないこと」ですけれど、人は同じように見えて同じではないと歌っています。メッセージ性が感じられる曲です。

何がという具体例はほぼ入っていないので、聞く人によって受け取り方が変わってくるであろう歌詞の曲となっています。

クリーンボイスが入ることで、俺たちは同じはないという気持ちが強くなっている気がしました。同じがいいとは言っていないのも、ポイントになっています。

ギターリフ、ハーモニクスの使い方など、ギタリストは参考になる部分が多い曲です。メタルが好きなギタリストは、特にコピーをオススメします。

Anger and Apathy

切ないイントロのメロディーが特徴的な「Anger and Apathy」。(6曲目)

曲名の通り怒りと無関心を歌った曲は、怒りはあるのにどうしようもならないという、憤りを感じさせてくれます。権力が強いものが強すぎるという…。

曲の最後にドラムのみになる部分に言葉はないですけれど、この曲で伝えたい部分が詰まっているような感じがしました。アルバムの中でも特に切ない曲です。

弱い存在の人がいくら怒りや解決策を訴えても、権力が強い人が無関心であれば、多くの小さな声よりも1つの大きな声が勝ってしまいます。

聞けば聞くほどにカッコいいのですが、切なさを感じる曲になっています。

The Blinding of False Light

アルバムのラストを飾る「The Blinding of False Light」。(11曲目)

「The Powerless Rise」というアルバムを、象徴するような曲です。この曲がなければ、なければこのアルバムは完結しません。

曲も5分10秒とアルバムの中で最長で、ライブでメインになるような曲ではないですけれど、このアルバムのラストにはこの曲が必要ですね。

フェイドインからフェイドアウトで終わるのも、この曲ならではという感じがします。意味のあるフェイドインと、フェイドアウトです。

「In weakeness we are freed = 弱さで私たちは開放される」というのは、アルバム・タイトル「The Powerless Rise」そのものである感じがしました。

あとがき

AS I LAY DYINGの中でも印象的な赤いアルバム・ジャケットのこのアルバムは、聞いていて多くの切なさを感じるアルバムです。

曲を聞くだけでも嘆きや痛みの部分は伝わってくると思いますが、歌詞に注目してみるとより深い切なさを感じられるアルバムになっていますよ。

歪んだ音で音数も多く音が密集しているのに、クリアに各パートが聞こえてくるのもポイントのアルバムです。演奏も参考になるのは間違いありません。

特に今の日本のメタル寄りのビジュアル系バンド。グチャッと音がなっているバンドが多くいますので、参考になる部分が多いアルバムになると思います。

激しさと、切なさの両立と、クリアな音は一緒の音になれるんです。

 

以上、『AS I LAY DYING:The Powerless Rise ~弱いからこそ開放された~』でした。


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JOE (ジョウ)

Guitar、F1を筆頭にモータースポーツ全般、野球(巨人)が好きな、ジャンルを問わない音楽マニア。日々記事更新中で、SNSは基本オマケ。 もっとプロフィール & あぶまいについて

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