アルルカン 1枚目のミニ・アルバム「BLESS」。
2枚目のアルバム「Utopia」から2年2カ月。間にシングル7枚(内1枚は再録の音源集を含むという珍しい形)を挟んでリリースされました。
通常なら満を持してしてのフルとなるところですが、ミニ・アルバム。しかもシングルは含まれない形。興味深いことをしてきてくれます。
また、リリースの方法がだけでなく、音も面白い1枚。内容にも注目です。
BLESS 収録曲概要
「BLESS」収録曲は以下の通り。
- 世界の端
- 黒犬
- Rem
- 好奇心、僕を生かす
- 消えてしまいたい夜に
- if
シンプルではあるけれど、引っかかりのある曲名。ビジュアル系バンドというと副題が付いたりと長くなることがありますが、そうはしない選択。
どちらがいいかはケース・バイ・ケースでも、長過ぎるとぼやけるのも事実。曲名も覚えづらくなりますし、アルルカンの選択はありな気がします。
ちゃんと聞いた時に、タイトル以上の興味を引かせるのもいい感じです。
世界の端
浮遊感の中に重さがある「世界の端」。(1曲目)
歌メロはポップなので自然と聞けてしまうのですが、構成が変わっていて面白い曲。単にマニアックに持っていかないというのは、興味深い手法です。
「はじめよう」
「終わらせよう」
さぁ 行こうか
メロの頭文字に意思を言い聞かせるような重要となる言葉。世界の端とは、地球上のという意味ではなく、行き詰まってしまった自分だけのものなのかも…。
低音は深く強めですが、音がつぶれていないのも興味深く聞けました。
黒犬
意図的だと思いますが、「世界の端」とイントロのリフがそっくりな「黒犬」。(2曲目)
似ているからこそつながりがあり、自然と切り替わっています。黒犬というタイトルもですが、混乱と葛藤を描いているのも興味深く面白い。
忘れてしまわないで
やりたいのは 間違い探しかい?
聞く人によって捉え方が変わるであろう部分。誰かの重箱の隅をつつくようなことをするとも、不満があるのに変わらない日々を過ごすのかい? とも取れます。
どちらにせよ、それでいいの? という感じ。問いかけの対象が重要。
また、犬といえば飼い主に従順。黒は他の毛色よりも似たようにも見えます。「自分という個を出していこうよ!」というように、自分には聞こえました。
曲名も特徴的ですが、描いている世界も面白い曲です。
Rem
このミニ・アルバムのリードトラック「Rem」。(3曲目)
弱さや迷いを感じる中で、今を変えたいという思いが行動となる。誰かに言われてではなく、自らの意思ということで、強さと小さくても光を感じる曲。
心から望む明日がある 光 差す方へ
変えたいと祈るだけでなく、希望を見て先に進む理由を持っているのがいいですね。曲名もですが、ミニ・アルバムのタイトルと多くがつながる曲。
ボーカル暁は力強さはないのですが、聞いていてクセになる歌声です。
好奇心、僕を生かす
自我が目覚めて深みにはまっていく「好奇心、僕を生かす」。(4曲目)
誰かに言われた一言からモヤモヤが生まれ、「なぜ? 」という思いが生まれる。1度疑問に思ったらそのままにはできないのが、ある意味で当然のこと。
それでも一線を越えて深みに入ると、闇になるのが興味深く感じます。
“諦める”時までは このまま ずっと
フィルター越しに0721愛を欲しがって
言葉の使い方が面白い部分。疑問は好奇心に変わり、欲望になるという感じ。しかも自分だけが気持ちがいいという、他人は一切関係ない自分本位な思い。
曲名も面白いですが、闇が深い曲。歌詞だけでなく、間奏が面白いのも特徴です。特別なことはしてはいないのですが、混沌した気持ちを表現していますよ。
消えてしまいたい夜に
誰もが1度は考えたことがあるであろう「消えてしまいたい夜に」。(5曲目)
ポップなメロディーに軽くはない思いがのっている曲。文字としてでなく、歌だから表現できる世界なのかも。途中のデスボイス部分は、完全に闇ですね。
「本当のこと」だけ残して
それ以外 さようなら バイバイ
この「本当のこと」の意味は、事実ではなさそう。きっと「自分にとって都合のいいこと」じゃないでしょうか。気持ちは分かるけれど、切ない思いの曲。
歌として吐き出すからこそ、「さいようなら バイバイ」できるのでしょう。出来上がりを聞いているからなるほどですが、曲を作る時の思いが気になります。
if
“もし”の希望を歌った「if」。(6曲目)
ポップだけど、ちょっぴり切ない思いの詰まった曲。「if」という言葉は個人的に好きなのですが、その理由はこの曲のように寂しさがあるからでしょうか。
ギタリストは大抵は上昇フレーズが好きですが、奈緒 作曲。妙に納得!
愛しい 明日への
ないものねだりをただ続けていけるかな
結果を求めるんじゃない。過程が大切なこと。物事によっては逆になる場合もありますが、”もし”と考えて続けられるのが何よりも喜びであるのかも…。
バンドコンセプトの「次世代名古屋系」。この曲の持つ切なさは、ROUAGEに似てるかもです。マネではなく、消化してブラッシュアップしてるのもいい感じ!
あとがき
バンドの存在は知っていましたが、音をしっかりと聞いたのは3枚目のアルバム「The laughing man」。こんな面白いバンドだとは思っていませんでした。
すでに音源が揃っているからこそ、自分のような掘り下げていく人にはいろいろ発見があって面白い! 見た目が気になった時点で聞いとけばよかったですね。
まあ、それでも自分にとっては今がアルルカンを聞くタイミングだったんでしょう。オンタイムもいいですが、後から気付く。これも音楽の面白さです。
楽器隊がしっかりしているのも、興味を持つ理由になっていますよ。
以上、『アルルカン:BLESS ~祈ることで見えてくるのはきっと…~』でした。
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2018/8/29 release 1st Mini Album
アルルカン:BLESS ~祈ることで見えてくるのはきっと…~ ←今ココ
2020/8/19 release 3rd Album
アルルカン:The laughing man ~自分らしい道を切り開いて進んで行く~
JOE (ジョウ)
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