Amaranthe:Massive Addictive ~体中に毒が回り侵食されたんだ~

Amaranthe:Massive Addictive洋楽レビュー
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Amaranthe (アマランス) 3枚目のアルバム「Massive Addictive」。

前作「The Nexus」から1年7カ月。スクリームボーカルが、アンドレアス・ソルヴェストロームから、ヘンリク・エングルンドにチェンジ。

デスボイスに重みが増すと同時に、バンドの出す音も太くなった形に。デジタル要素が強いからこそ軽くなりやすい部分が変化。着実に進化が聞ける内容です。

Massive Addictive 収録曲概要

「Massive Addictive」収録曲は以下の通り。

  1. Dynamite
  2. Drop Dead Cynical
  3. Trinity
  4. Massive Addictive
  5. Digital World
  6. True
  7. Unreal
  8. Over and Done
  9. Danger Zone
  10. Skyline
  11. An Ordinary Abnormality
  12. Exhale
  13. Trinity (Acoustic)
  14. True (Acoustic)

Acoustic ver.の2曲はボーナス・トラック。これがどちらもいい感じ。アルバム本編とは異なるのですが、この形はありだなと思わせてくれるクオリティ。

前作「The Nexus」までは勢いで押し切るという感じでしたが、それだけじゃないんだぜ! というのを見せてくれる内容。進化という言葉が似合います。

男女3人のボーカルがいる時点で他とは異なるバンドですが、その特色を生かしてより面白くなってきたという感じ。変化がとても興味深く感じる1枚です。

Dynamite

アタックが強くインパクトがある「Dynamite」。(1曲目)

上モノの音が倍テンポになっていて、ドキドキする感じが正にダイナマイト! 新体制での一発目であり、アルバムのオープニングにもピッタリな曲。

Like the fire in the sky, I am dynamite!

「空の炎のように。私はダイナマイト!」。完全に私は目覚め、爆発的な力を持っていくんだというが、ストレートでカッコいい!

脇を固める男性2人のボーカルが、うまいことハマって、エリーゼ・リードの歌を支えています。1人だけでは出せない、歌声の深さですね。

実際はミディアムテンポであるのに、とても早く聞こえる曲。デジタルのうまい使い方だなと聞くたびに感じるのは、楽器を弾く人の特有の感覚かも…。

Drop Dead Cynical

分かっていての計算の意図を感じる「Drop Dead Cynical」。(2曲目)

最初に聞いた時は、Marilyn Mansonの「The Beautiful People」? なんて感じさせる曲。きっと自分だけでなく、多くの人が思ったことじゃないでしょうか?

We’re drop dead cynical

「私たちは皮肉屋だ」。 曲名にもかかる部分ですが、あえての部分を感じずにはいられません。聞いた印象は似ているのですが、中身は異なるのもポイント!

きっとパクリという感覚ではなく、面白いなと感じる人が多いのではないでしょうか。

Trinity

「三位一体」。Amarantheをそのまま表すような「Trinity」。(3曲目)

生きる時も死の場面での、私たちは1つなんだの意思を感じる曲。アルバムの中の1曲ですが、バンドとして深い意味を持っている気がします。

One makes three in this chemistry

「この科学が1が3となる」。男女の3人のボーカルがいる、まさにAmaranthe。他にあまりいないからこそ、化学反応を楽しんでいそうです。

多くのアーティストがプロモーションの手段として行うことが増えてきた、リリックビデオ。2014年の時点でこの出来というのは、ある意味ですごいかも…。

ボーナス・トラックのAcoustic ver.がまた別の形として楽しめるのも、聞いていて興味を引かれます。変化も大きく、歌詞の意味も異なって聞こえますよ。

Massive Addictive

アルバム・タイトル曲「Massive Addictive」。(4曲目)

ミディアムテンポで最初は弱ささえ感じますが、徐々に深みを増していく曲。歌詞にも含まれる毒。知らないうちに侵食されるという表現が合っていそうです。

Scared of losing my mind

「心を失っていくのが怖い」。避ける意思は持っているのに、 なすがままになっていく。「Massive Addictive = 大規模な中毒性」。ぴったりなタイトル!

最初は流してしまうかもですが、繰り返して聞いてみることをオススメします。

Digital World

曲名通りにデジタル色が強い「Digital World」。(5曲目)

曲の構成もですが、歌詞も変わらずに繰り返されるのが面白い! デジタルな世界を全体として繰り返されるのことに意味を持ち、それゆえの怖さを感じます。

You will never have to cry, cause the future is sold
You can never die and you’ll never grow old

「あなたは泣く必要はない。未来が売られているから、死ぬことも、年を取ることもない」。データであるデジタルならではですが、これでいいのでしょうか?

不老不死を求める気持ちは分かります。ですが、形のあるものはいつかは朽ちていくのが自然であり、美学なのかもしれません。

歌詞まで見ていくと、聞く人によって異なる感覚になることでしょう。

True

自分の中にある本当の思いに気付いていく「True」。(6曲目)

鍵盤の音が冷たさでもあり、芯の強さをも感じさせます。誰かに歌うのではなく、自分に言い聞かせるような歌声も印象的に聞こえる曲。

This is the time for chasing my desires
What’s in my heart is true, ooh

「欲望を追いかける時。心にあるものが真実だから」。誰でもない自分だけのもの。曲調としては静かですが、自身で気付いたからこその強さを感じます。

ボーナス・トラックのAcoustic ver.はキーも変わっていますが、オリジナルを聞いた予想よりも大きな変化があるのも、聞き所です。

Over and Done

ロックバラード「Over and Done」。(8曲目)

このアルバムの隠れた名曲といって過言ではない、Jake Eのボーカルが肝になる曲。従来の疾走感だけではない、Amarantheが聞けます。

MVを作成したり、もっと強いアプローチ。もしこのタイプの曲が増えていたとしたら、Jake Eが抜けることはなかったかも…。切ないけれど、心に響く曲。

Why am I on the run? And so let’s turn this around
Before we’re over and done

「なぜ私は逃げているの? 戻せたらよかった。終わってしまう前に…」。寂しい思い。これから先に起こる決別にも感じてしまうからこそ、興味深い。

メインとはならなくても、バンドの振り幅を大きくしている曲。オススメです。

Exhale

本編のラストを飾る「Exhale」。(12曲目)

サビでの重なる歌声が印象的な曲。コーラスではなく、複数のボーカルが専任でいるからこその曲。Amarantheの強みにもなっていくことでしょう。

You’ve taken the ascendancy

「あなたは支配権を手に入れた」。その理由は誰かのいいなりになるのではなく、自分の意思を吐き出したから。思いを出すことは強くなれる。

それでも、曲全体にある切なさは、内を指しているのかと想像を沸き立てます。何かを手に入れるには、失うものもあるんだよという感じでしょうか。

聞いていて寂しくもなるのですが、いいアルバムだなと感じる終わり方。余韻を残さずにすっぱっと終わりとなるのも、いい感じです。

あとがき

セルフタイトルの1枚目、2枚目「The Nexus」もよかったですが、一気にバンドとして進化を踏み出したアルバム。

ロックバンドの鬼門になることが多い3枚目。守りに入るどころか攻めに転じたことが、うまい形になってハマっています。素直にいいなと感じる内容。

勢いのみで押し切らずとも変わらずに、最後まで聞かせきる。3人ボーカルという特殊な構成でも、それぞれの歌声が生きてきたのが理由なのかも。

エリーゼ・リードがバンドの顔に変わりはなくても、男性ボーカルの2人が脇を支え、地味に演奏も太くなっている。バンドとしてお手本のようなあるべき姿。

たまにふと聞きたくなるのは、間違いなく完成度が高いからでしょう。単純にリスナーとしても、演奏まで深く突っ込んでも楽しめるアルバムです。

 

以上、『Amaranthe:Massive Addictive ~体中に毒が回り侵食されたんだ~』でした。


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JOE (ジョウ)

Guitar、F1を筆頭にモータースポーツ全般、野球(巨人)が好きな、ジャンルを問わない音楽マニア。日々記事更新中で、SNSは基本オマケ。 もっとプロフィール & あぶまいについて

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