降幡愛 (ふりはた あい) 1枚目のミニ・アルバム「Moonrise」。
声優でAqoursのメンバーでもある彼女。それぞれのメンバーのソロが活発なグループですが、その表現の面白さとすると断トツで一番の音!
古くからある既存曲ではなく、オリジナルでシティ・ポップを表現しています。
Moonrise 収録曲概要
「Moonrise」収録曲は以下の通り。
- CITY
- シンデレラタイム
- Yの悲劇
- ラブソングをかけて
- プールサイドカクテル
- OUT OF BLUE
ジャケットにもレトロ感がありますが、タイトルも同様。今よく見る形とは異なるからこそ、トラック・リストを見ただけでも面白さがあります。
その上で聞くとさらにですから、面白い表現をする子です。また、始まりとして1度でも聞いてしまったら、右から左には抜けてはいかない音になっています。
CITY
夜の街が私を変えていく「CITY」。(1曲目)
少女から大人の階段を登っていく。そのきっかけとなるのは、昼間とは異なる姿を見せる街というのが、興味深く感じてしまいます。
魅惑的な夜に誘われて
ボンネットは煌きだしたの
シティ・ポップでなければ、収まらないであろう歌詞。それでありつつ、見えている世界が変わってきたことも分かるのですから、面白く思ってしまいます。
この気持ちは なに?
今までには感じてこなかった、気持ち。疑問ではなく分かった時には、完全に大人になっているのかもしれません。
全然曲調も異なれば世界観も異なるのですが、この曲を聞くとCOMPLEX「恋をとめないで」を思い浮かべてしまいます。恐らくは歌詞からでしょうね。
シンデレラタイム
私にとっての「シンデレラタイム」。(2曲目)
言葉の意味として夜の肌をキレイに保つための重要な時間でも使われる、死んでれたタイム。この曲ではそうではなく、限られた時間という意味なのでしょう。
貴方と踊りたい
Cinderella Time
この時が永遠に続けばいいのに! と感じさせる楽しい時間。明るさのある音が、その思いも含めて表現しているようで、興味深い表現の方法です。
ふたりを繋ぐ時間は永遠じゃなかった
楽しい時間というのはずっとではなく、終わりがくるもの。最後に唐突にこの言葉がくるからこそ、寂しさが漂います。かつ、イントロにもつながる切なさ。
その他が明るい音の表現だけに、より印象的な音として聞こえます。
Yの悲劇
止まることのない「Yの悲劇」。(3曲目)
オールディーズで、今作のハイライトを言える曲。その音もですが、表現されている世界が面白いです。今の彼の元彼女からの、しつこい連絡は確かに悲劇。
音楽に恋愛の曲は多いですけれど、あまり少ないタイプかも。ドラマならありそうですが…。MVがあったら、すごく面白い形になりそうです。
鳴り止まないコールは公衆電話からの非通知
元彼女からの、止まない電話。非通知でも分かるからこそ怖い…。少し面白いのが、ナンバー・ディスプレイが始まったのは1997年ということ。
十分に昔のことですが、シティ・ポップの表現と言っても、全盛の時代に物事を限定していないのが面白い。こんなこと気にする人は少ないかもですが…。
P.S, 彼を渡さないわ
元彼女の執念でもあり、私からの返答でもありそうです。
「Yの悲劇」の”Y”は曲中のYADAにもかけているでしょうけれど、彼に逃げられた元彼女 = your の悲劇でもあるのかもですね。
しても意味のない、やっていることを彼に知られたら嫌われることをしなければやっていられない状況になっているということですから…。
ラブソングをかけて
お願いだから「ラブソングをかけて」。(4曲目)
音使いと思いに可愛らしさのある曲。思いに甘えがあるからこそ、そう感じてしまうのかも。また、”かけて” というのは、音楽ならではの表現ですね。
ねぇ、おねがいよ
子守唄のように
今夜はラブソングをかけて
スタッカート強めに歌うからこそ、お願い感が高まっているのもポイント!
恐らくマリンバかシロフォンだと思いますが、打楽器でのメロディー表現というのは面白いです。インストなら問題なくても、歌入りだと場所を選ぶので。
子守唄と歌詞にも出てきますが、うとうとしている時に聞いたら寝てしまうかも…。優しくて、心地のいい音という意味で。
プールサイドカクテル
絵になるのは2つあるからこその「プールサイドカクテル」。(5曲目)
別れを切り出すはずだったのに、やっぱりできない私。嫌いはなれなかったのは、好きだったからこそと気付くのが、恋なのかもしれません。
Lonely night swimming, Lonely night swimming
「孤独な夜の水泳」。側にいないからこそ、相手がよく見えるというのはあること。大切な存在だと気付くには、少し間を置くというのも必要なのかもです。
今までもありがとう
私もついてゆくわ
本当の思いを知ることで、感情が深くなっていく。正に恋ですね。
それにしてもプールサイドでカクテル。しかも夜となると、バブルを感じさせます。自分もよく知らないのですが、なんかそんな風に思ってしまいます。
OUT OF BLUE
もう貴方は私の隣にはいない「OUT OF BLUE」。(6曲目)
以前のようには、もう戻れないからこその思い。単に関係が終わったのか、それても別の世界に旅立ったのか分からないのが、またいい感じです。
個人的に英語で好きな表現の「OUT OF BLUE = 突然」。意図していないことだからこそ、完全には会えない状況。別の世界であるのかも…。
いつも同じマフラーの音がすると振り返ってしまうの
音や後ろ姿が似ていると、ついっていうのはあるもの。そこにいるのは違う人とは分かっていたとしても、してしまう行動というのはあります。
自分も赤のダッフルコートの女性を見ると、「もしかして?」と思ってしまうことがあります。この曲と状況は異なっても、ある意味突然の別れだったので…。
後にも先にも貴方ほど
全てを愛した人はいないのだから
幻影を求めてしまう。似たものを見たり、特に音は独特ですから、思い出してしまうのは必然のことなのかもしれません。
今また同じ関係に戻ることはないと知っていても…。振り返ったりして確認してしまうのは切なさであり、習性に近いかもです。思い出があるからですね。
あとがき
シティ・ポップブームは、海外を中心に起こっていること。オリジナルが見直されていたり、Rainychのように既存曲をカバーするのも、1つの手法。
その中で彼女が行っているのは、全てがオリジナルということ。レトロ感を出す音使いは行うアーティストが増えていますが、さら上を行く形です。
シティ・ポップというと、20代の彼女には世代的には完全にずれているはず。どういうきっかけかは知りませんが、面白いジャンルの選択をしてきたものです。
しかも完全に消化して、自分の形を表現しているのも面白いところ。分かりやすくありながら、今とは少し異なる音。聞いていて心地良いのもポイントです。
以上、『降幡愛:Moonrise ~夜の灯りが私を大人に変えていく~』でした。
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