ABBA (アバ) 9枚目のアルバム「Voyage」。
前作「The Visitors」から39年11ヶ月。3曲を配信し、これでもかと期待が高まった中でリリースされるまさか新たなるアルバム。
どこを切ってもABBAというサウンドは、聞いていて気持ちがいいです。全体を通して長く楽しめる1枚になることは、間違いがありません。
Voyage 収録曲概要
「Voyage」収録曲は以下の通り。
- I Still Have Faith In You
- When You Danced With Me
- Little Things
- Don’t Shut Me Down
- Just A Notion
- I Can Be That Woman
- Keep An Eye On Dan
- Bumblebee
- No Doubt About It
- Ode To Freedom
先行配信された「I Still Have Faith In You」「Don’t Shut Me Down」「Just A Notion」。中心にはなっていますが、その他も良曲揃い。
10曲で37分とコンパクトですから、つい繰り返して聞いてしまうというのもポイント! 自然と耳に慣れ親しんだような音に変わっていきます。
映像を見ると年齢的に老いている面は見えますが、音楽には陰りが見えない内容。一気に約40年という月日を取り戻してしまうのですから、興味深いです。
また、ムダなフレーズがないのも印象的。単に短くしただけではないギュッとした形は言葉としてがかんたんでも、中々できるものではありません。
聞くだけでもいいですが、音楽を奏でる側としても学びが多い1枚です。
When You Danced With Me
![]() | 「When You Danced With Me」 Lyric VideoをApple Musicで観る |
今思い出す「When You Danced With Me」。(2曲目)
人生の中で必ずある出会いと別れ。またね! と別れても、出会うことのない人がいる。それは悲しいではなく、楽しい時だったと思い出す歌。
個人的に親の仕事関係で転勤族だったので、より世界に入りやすかったです。
And the years went by and I’m still here
「何年も時は過ぎたけれど、私はまだここにいるよ」。会えないのを嘆いているのではなく、今も私はここにいるから。
いつでも戻ってきてねと、心から願っているようです。
I miss the good old times when you danced with me
「あなたと一緒に踊った古き良き時間が恋しいよ」。楽しい思い出というのは、時を経ることでフィルターがかかり、より美しい形に。
そのことが懐かしく、またいつかの励みになるのですから、美しいです。
なんとなくフォークダンスのような雰囲気を持つ曲。幼い純情な頃、かわいい女の子と手をつないだぬくもりを思い出してしまいそうです。
今の小中学生は、フォークダンスって授業とかキャンプでするのでしょうか?
Little Things
![]() | 「Little Things」 フルMVをApple Musicで観る |
クリスマス・ソング「Little Things」。(3曲目)
シャンソン曲「Ah! Vous dirais-je, Maman」。日本では「きらきら星」として知られるメロディーを取り入れた曲。これでもかと優しい歌です。
Oh, what joy Santa brings
Thanks, old friend, for packing
「サンタが運んできてくれる喜び。古くからの友人よ、荷造りしてくれてありがとう」。持ってきてくれるのは物でもあり、幸せな時間。
その存在を古くからの友人としているのも、サンタへの親しみを感じさせます。
Little things
Like the precious jewels on rings
Or a music box that will fit in socks
「ささいなこと。指輪の貴重な宝石や、靴下の中に入るオルゴールのように」。ほんの小さなことであっても、それが広がって大きな幸せとなる。
クリスマスでキラキラと楽しくなる思いは、小さな積み重ねがたくさんあるからなのかも…。馴染みのあるメロディーだからこそ、すっと耳に入ってきます。
I Can Be That Woman
![]() | 「I Can Be That Woman」 Lyric VideoをApple Musicで観る |
泣かないで、だって「I Can Be That Woman」。(6曲目)
恐らく女性ならではの、男性には分かりづらい感情。本当に求めているのは別の人で、例え代わりであったとしてもあなたのためにという献身的な思い。
優しいからでは、表現が難しい思いがあります。
I say I love you and I know it’s true
「私はあなたを愛していると言うだけでなく、それが真実だと知っているの」。愛してしまったからこその思い。自分には少し分かりづらいです。
仕事的な物なら全く問題ないですが、恋愛において誰かの代わりになれるかと言ったら難しいかも…。男として求められるのは自分であって欲しいですから。
男女でも、人によっても受け取り方が異なってくるであろう曲です。
Keep An Eye On Dan
![]() | 「Keep An Eye On Dan」 Lyric VideoをApple Musicで観る |
私はずっと「Keep An Eye On Dan」。(7曲目)
前曲「I Can Be That Woman」とは形が異なるけれど、寂しさが漂う曲。その場を去っても、Dan(人名)に気をかける思いが切ないです。
But I said goodbye
And I did not cry
Though my heart ached
「でも、サヨナラを言ったけど、泣かなかった。心は傷んだけれど」。泣かないではなく、泣けなかったというのが実情かも…。同じ世界にはいないから。
I’ll be back on Sunday to get him
「日曜日には彼を迎えに行く」。Danの命を引き取りに行くというのではなく、協会でお祈りをする日に、彼の元に慰めに行くという感じでしょうか。
見えないし、言葉も交わせないけれど、空から見守っている。実際にこういう事があるのかは分かりませんが、ないとも言い切れない出来事。
生ある者は必ず死ありではるのは必然とはいえ、寂しさがあります。その理由は死して尚というのは、心残りであるからとも言えますから…。
Bumblebee
![]() | 「Bumblebee」 Lyric VideoをApple Musicで観る |
聞こえてくる音の主は「Bumblebee」。(8曲目)
まず最初はバンブルビーと聞くと、自分と同様に映画トランスフォーマーのキャラクターを思い浮かべる方が多いと思いますが、マルハナバチのこと。
その飛ぶ姿を見て、のんびりと幸せであることを感じる。特別なことではなく、何気ない出来事が喜びであるんだよと言っているようです。
Oh yes, for now, I’m in my garden
Watching clouds sail with the breeze
「そう、今は庭にいて、そよ風に揺れる雲を眺めてる」。のんびりとした時が流れている中、せっせと働くマルハナバチ。
蜜を集めるだけではなく、受粉も行うからこそ、新しい花が生まれます。自然のサイクルが流れているのが、私たちが望むべき姿だと。
また、「sail = 帆、航海」ともなりますから、アルバム・タイトルにもつながっていそうです。飛び回るのはマルハナバチの航海という感じで…。
Inside a world where all is changing
「全てが変わる世の中で」。一つのウイルスで、変わってしまった世界。言葉が交わせる人は対応ができても、虫などはそうは行きません。
感染はしなくても環境の変化が急激にあったでしょうから、思いもよらないことも多く起こっていたはず。人だけが被害を被ったわけではないですよね、
だからこそ早く今までの日常に戻りますように! と願った曲であるようにも聞こえます。
No Doubt About It
![]() | 「No Doubt About It」 Lyric VideoをApple Musicで観る |
きっと「No Doubt About It」。(9曲目)
イントロはバンジョーの音でしょうか? 楽しげな雰囲気が増し、いろいろな曲中の「No Doubt About It = 間違いない」の印象を強めています。
I messed it up, alright, and there’s no doubt about it
「私はそれを台無しにしたの。それは間違いない」。誰であっても完璧な存在な人はいないから、ミスを起こすもの。巻き戻せないからこそ、した後が大切。
やっちゃった! と認めることが、次のミスを防ぐことにもなりますし、間違えるからやるのを断然することもなるのではないでしょうか。
But you know me, this isn’t where it ends
「でもあなたは私を知っているから、ここで終わらないわ」。誰かが間違いを起こしても、寛大な方はいます。全てが成功するとは限らないですし…。
この曲で言いたいのは、もう少し気楽に行こうよ! ということなのかもです。楽しくなろうとしていたら、笑顔になれるのは間違いないですし。
終わりやダメだと諦めさえしなければ、終わることはないとも言えそうです。この楽しい曲は、CD時代ならリカットされたのは間違いがないことしょう。
Ode To Freedom
![]() | 「Ode To Freedom」 Lyric VideoをApple Musicで観る |
これから広がっていく「Ode To Freedom」。(10曲目)
タイトルを訳すならば「Ode To Freedom = 自由への頌歌」。「Voyage = 航海」をした先にあるのは、全ての人に対してのでありますように。
最後にあるだけでなく、アルバムのジャケットにも大きく関わっている曲でありそうです。
I would like to think that freedom is
More than just a word
In grand and lofty language
「自由とは単なる言葉ではなく、壮大で高尚だと思うの」。今は特にいろいろと制限がかかることがあるからこそ、より感じること。
自由とは当たり前ではなかったんだと、感じさせてくれます。実際に行うには何気に普通が一番難しいのと同様のことかもしれません。
アルバムを締めでありながら、その先を感じさせる曲。まだまだABBAの航海は多くの方が思っている以上に、長くなるのかもしれませんよ。
あとがき
新曲が出るとは長いこと言われてきましたが、こうして話が発展してアルバムがリリースされる。リアルタイム世代ではないですが、感慨深いものがあります。
音楽ファンであれば、ABBAを聞いたことはないはまずないので…。しかも期待を裏切らない出来となっているのは、健在さも示してくれています。
メンバー曰くこれで最後のアルバムとインタビューで語っていましたが、今作に未収録の2曲があるということ。これは! と、どうしても感じてしまします。
その理由は、今作も元はと言えば数曲のシングルの予定がアルバムになっていますから…。
これは「Voyage」の反応や、今後の状況によっても変わってくると思いますが、今作聞いてしまうと何かを期待するなというのは無理かもしれませんね。
メロディーがキレイな曲は気持ちがいい。今作はそんなアルバムです。
以上、『ABBA:Voyage ~この旅はこれかもきっと続いていく~』でした。
ABBA 関連記事
2021/9/2 release Digital Single
ABBA:I Still Have Faith In You ~信じ続けることができたから…~
2021/9/2 release Digital Single
ABBA:Don’t Shut Me Down ~まだこれからするべきことがあるの~
2021/10/22 release Digital Single
ABBA:Just A Notion ~人は少しづつ異なるからこそ楽しいんだ~
2021/11/5 release 9th Album
ABBA:Voyage ~この旅はこれかもきっと続いていく~ ←今ココ
JOE (ジョウ)
最新記事 by JOE (ジョウ) (全て見る)
- Red Hot Chili Peppers:Tippa My Tongue ~より深く絡ませて~ - 22年8月19日
- 東京スカパラダイスオーケストラ:Free Free Free ~その先へ向かって~ - 22年8月18日
- あいみょん:瞳へ落ちるよレコード ~どう見えるかは別として~ - 22年8月17日
- Arch Enemy:Deceivers ~自分を含め、周りにいる全ての人が~ - 22年8月16日
- Maggie Lindemann:self sabotage ~あなたが行っているのは…~ - 22年8月15日
コメント